心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

開発途上国で調査を行うときの研究倫理を考える

2007-09-28 19:48:16 | いろいろ
開発途上国に住んできたぼくは、日本から短期間やって来て、調査をするから、協力してほしいと要請されることがあります。

日本の所得が上がり、また空路アクセスが容易になり、
学部の卒論や、修士論文などでも、途上国を舞台にして書こうとする人たちがいます。
心理学や児童学、医学や医療関連分野、また開発学分野などで・・・
その指導をする役割のはずの大学人自身が、休暇をかねてやって来て、論文数を増やそうという意図みえみえに、安易に調査を実施しようとする人もいますから・・・

多くの場合、ぼくは協力することを断わらざるをえませんでした。
・国際的な支援を軸にできあがった、ぼくの現地の人間関係と、調査意図がかみ合わない
・時間的に余裕がない
・北と南、持てる者と持たざる者という視点がない
・被験者と調査者が対等な人間関係ではなく、断りにくい構造にある自覚がない
・先行研究の調べがないか、少なく、テーマが思いつきである
などが理由でした。
・文化的な差異を、価値観を伴って序列化しようとする意図を持つもの、
もありましたが、これは前時代的過ぎます。

断りを説明すると、
「○週間(極端なときは、○日)しか、ここにいられない!」
「○ヵ月後に卒業なので、今まとめるしかない!」
「村では英語が通じない!?通訳をやってほしい・・・通訳は有料なんですか!」
などの、当惑や、怒りと、向き合わなければならないのでした。

ぼくは、異文化状況の中で調査研究するときには、次のような視点が大切と考えています。
・調査によって得られる結果は、研究者間で共有できる質を持っているはず
・被験者や、被調査団体へは○○の謝礼を用意している
・調査結果を○○の形で被験者らに返したい
しかしながら、こうした人は稀でした・・・

まずは研究倫理の訓練が少ない学部や修士段階で、困難の多い開発途上国を舞台にした調査をするのは、やめてほしいと思う今日この頃です・・・


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