Swami Sivananda Radha, 2004, Hatha Yoga – The Hidden Language, Symbols, Secrets, and Metaphor, Jaico Publishing House, Munbai
初版は、序文の B.K.S.Iyengar の署名サインからすると1985年。版を重ねているようです。
175インドルピーで、約500円。
内容は、副題がそのものズバリ。ヨガの22ポーズが持つ、シンボルとしての意味、隠喩など、いわばウンチクをしています。
ヨガセッションでは、グルが、アサナ(ポーズ)を順に誘導していきますが、体の動かし方や、吸気と排気とともに説明するのが、ここで語られるポーズの意味するものです。
22のポーズは次です;<組み立て>山、頭倒立 headstand、肩立て shoulderstand、三角、座位での屈伸、背骨ひねり、<道具>鍬、弓、<植物>木、蓮、<魚類・爬虫類・昆虫>魚、コブラ、亀、さそり、<鳥類>鶏、孔雀、鷲、鶴、白鳥、<哺乳類>牛、ライオン、<死体>死体。
ヨギ見習いの、ぼくのお気に入りの「木」のポーズについては、たとえば次の15の文献から引用した説明があります。
Eliot, Alexander, 1976, Myths, McGrraw-Hillは、木の象徴的な意味を「世界の山の頂上に立つ、天国に届く、生きている軸として、世界の中心」といいます。
Gaskell, G.A. 1960, Dictionary of all Scriptures and Myths, Julian Pressからは、「人間、あるいは全ての次元の人類の象徴。神のイメージで創られた人間の、小さなレプリカ。神はこの世に生きる木であるから、人間にとっても同じ」。「王国の意。神が発展して形作られた、種が育ち、芽を出し、根を張り、幹をなし、枝を張り、葉をつけ、花を咲かせ、果実をなすように、宇宙のプロセスの典型。宇宙の源泉であり、その中心にいる創造主に拠って維持されている宇宙の現象の元型。」(このキリスト教的な理解はヨーガには合わない感じ)
Gubernatis, Angelo de., 1978, Zoological Mythology, Arno Pressでは、「ドラゴンに守られて、蜂蜜や不老長寿のクスリを実らせる、金のリンゴやイチジクの木についての伝説は、インド・ペルシア・ロシア・ポーランド・スウエーデン・ドイツ・ギリシア・イタリアなど、各国にある」(んだって・・・さてルーツはどこなんだろう?)
The Holy Bible, Psalms (旧約聖書詩編)には、「信仰のある人とは、季節になると果実を実らせ、葉が枯れない、水の流れの脇に植えられた木のようなものである」(正式な翻訳はどうなってるかな・・・?)
The Holy Bible, Matthew(マタイによる福音書)
Freund, Philip., 1964, Myths of Creation, Transatlantic Arts
Frazer, James G., 1963, Golden Bough(金枝篇), Macmillan
Churchward, Albert., 1913, The Signs and Symbols of Primordial Man, George Allen & Co.
Campbell, Joseph., 1959, Primitive Mythology, Viking Press
Campbell, Joseph., 1974, The Mythic Image, Princeton University Press
Encyclopedia of World Mythology, Octpus Books 1975
Bayley, Harold., 1912, The Lost Language of Symbolism, Rowman & Littlefield
Cooper, J.C., Encyclopedia of Traditional Symbols
Cooper, J.C., 1978, Illustrated Encyclopedia of Traditional Symbols, Thames and Hudson などは、上記と重なるので略します。
The Questions of King Milinda, Vol.35 & 36 of Sacred Books of the East. Translated by T.W. Rhys Davids. 1984
(「ミリンダ王の問い」は、AC2世紀北西インドを支配したギリシア系の王メナンドロス、パーリ語でミリンダと、仏教僧ナーガセーナ長老との仏教教理についての問答を記した、インドの仏教経典。)
そこでは、「大志を抱く人が持つ木の第1の長所は、束縛からの解放という花であり、また苦行の果実である。木が花と果実をつけるように。第2の長所は、ちょうど木がやってくる人に木陰を投げかけるように、大志を抱く人に身体的な欲望と宗教的な必要性に配慮した、やさしさを提供する。第3には、ちょうど木はその影に来る人を区別しないように、大志を抱く人は差別することなく、すべてをやさしさで接する。」
分析の夢解釈の象徴論と同じですね、人類が類として長い期間をかけて、積み上げてきた共有部分(ユング的かも)を感じます。
ヨ-ガで木をするとき、瞑想の中でのイメージが広がり深まっていきます・・・
自分のための、ウンチク本です・・・
ちなみに、ハタヨーガとは、肉体の機能を保ち、精神を安定させるために、さまざまなポーズをとり、呼吸の統制を行うヨーガの一種です。
ヨーガと言っても、ポーズはせず、瞑想によって精神のエネルギーをコントロールしようとする、ラージャ・ヨーガという、伝統的な流れもあります。隣の隣がラージャヨガ道場で、毎朝1時間、老若男女が50人は集まります。
また、ヨガでポーズを意味するアサナという語の原義が、「修行や苦行」であったことは発見!
ところで、ぼくの木についての自由連想は、「伸びる、高い、緑いっぱい、枝が折れやすいかも・・・」かな。
注;以上、定義や意味については、広辞苑を参考にしました。