心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

「人道的」支援を考える(1)

2012-11-15 02:16:21 | 国際協力・保健/リハ/心理学分野
講演会があった。
「国境なき医師団 日本創設20周年 なぜ国境なき医師団は証言するのか」
早稲田大学大隈講堂。

内容は、1970年代から今日までの「医療は中立で守秘義務がある」という支援から、「医療支援で得た現地事情を証言して、広く注目を得て、現地に必要なプレッシャーを与える」に変化してきた経過の説明であった。

今年、MDFは「Humanitarian Negotiations Revealed」を出版しており、その日本語訳が「人道的交渉の現場からー国境なき医師団の葛藤と選択」として、12月初めに日本でも出版されるという背景がある。

開発途上国の精神保健支援に関わって来て、その目的はナニか?いかにして達成できるか?というのは避けられない課題だ。

政府による支援 ODA=Official Development Assistance は、支援する国側の利益が主目的である。
相手側の事情はあくまで2番目だ。

では、民間によるNGOの場合はどうなのか?
相手に役立つことを目指しているはずだ。
しかし現実はそう単純ではない。
相手の依存性を高めるだけであったり、する側の自己満足でしかないものが、現場では目に付く。
予算を取ったから(効果はどうであれ)やるしかない、という局面もある。

では最も困難な環境、災害後や内戦中などの事態への介入はどうであろう?
緊急支援に入ったら、じつはカゼや慢性疾患などの診療ばかりだったという話もある。
現地で長い間在り続けている(健康をめぐる)課題への介入が本当は必要なのだ。
しかし、そこへの正面切った介入は長期的になるし、資金も莫大になるし、外部者には関わる限界もある。
そこで実施は課題を絞って期間を絞って支援介入する(これをProjectと言う)ということになる。

きょうの講演者 MSF人道問題研究所CRASHのMichael Neuman氏は、上記書籍の著者の一人でもあるが、次のように述べた。
「たくさんの誤りはあった。全体主義的な政府に利用されるだけだったり、被益者が少ないまま支援を終了したり、現地政府の問題点を指摘しないまま活動の継続を優先させたり、組織を割ることになったり。ただ現在は、
・民間人に犠牲が起きる事態には協力しないこと、
・医療支援を口実に軍事介入する事態も拒否すること
・政治や宗教とは無縁で独立した活動であることを鮮明にすることだと考えていると説明し、
いつもジエントルマンではいられない」と。

それと大切なこと、MSFはその活動資金の90%を個人からの寄付に拠っているという、だから遠慮なく自分たちの考えで活動できる。
資金を提供するドナー(団体)の顔色をうかがう必要はない組織であることはすばらしい!

人道的な介入 Humanitarian negotiation といっても、状況によって同じではないということだろう。
止めることが必要な局面がある。

あすも関連のシンポジウムがある。
これまでの関連の報告書もネットで検索しつつ、上記の2つの図書も読んで、さらに考え続けたい・・・

(はるばる出かけて行って)人に支援するとき、効果的に行う条件、また阻害する要因はナニなのだろうか?






シリアのアサド政権打倒グループの大同団結は続くか?

2012-11-12 11:19:37 | いろいろ
きょうの注目ニュースは、ばらばらだったシリアの反政府勢力がついに大同団結したらしいこと;

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統一組織樹立で合意=アサド政権打倒へ大同団結―シリア反体制派
時事通信 11月12日(月)6時7分配信
 【カイロ時事】内戦が続くシリアのアサド政権打倒に向け、反体制派の有力連合体「国民評議会」など各派は11日夜、カタールの首都ドーハで続けてきた協議で、統一組織の樹立で合意した。国際社会に承認を呼び掛けるとともに、武装闘争の指揮命令系統を担う最高軍事評議会や暫定政権を設置する。
 アサド政権崩壊後の受け皿となる統一組織の名称は「反体制派とシリア革命の国民連合」。今夏にシリアから脱出した穏健派イスラム聖職者モアズ・ハティブ師を議長に選出した。分裂してきた反体制派が大同団結したことで、アサド政権への圧力が強まりそうだ。
 国民連合はアサド政権の打倒を目指し、体制側とのいかなる対話も拒否。反体制派支配地域の事案を扱う司法委員会を設置し、政権崩壊後には移行政権を立ち上げる。 
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なぜ一枚岩になれなかったのかについてのわかりやすい説明は、次;

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質問なるほドリ:シリアの内戦、なぜ終わらないの?=回答・鵜塚健
毎日新聞 2012年09月08日 東京朝刊
 <NEWS NAVIGATOR>
 ◇周辺国武器支援で激化 イスラム教宗派間対立あおる
 なるほドリ シリアで政府軍と反体制派の戦闘が続いているけど、なんで始まったの?
 記者 昨年春に始まった中東の民主化要求運動(みんしゅかようきゅううんどう)「アラブの春」に刺激され、地方住民らが抗議デモを展開し、政権側が武力弾圧したのがきっかけです。争乱前は、人口の1割強のイスラム教アラウィ派に所属するアサド大統領が、独裁的に君臨(くんりん)する国でした。父のハフェズ氏が約40年前から作り上げた体制です。人口の約7割を占めるスンニ派は、長年の少数派支配(しょうすうはしはい)に不満を強めていました。
 Q 衝突は悪化するばかりみたいだね。
 A 周辺国の関与が一因です。アラウィ派に近いイスラム教シーア派の国イランやレバノンのシーア派組織ヒズボラがアサド政権を支持。サウジアラビアやトルコなどスンニ派諸国は反体制派を支援しています。支援国は各陣営に武器や資金を流しており、宗派間対立(しゅうはかんたいりつ)の様相が強まっています。国連の潘基文(バンキムン)事務総長も「代理戦争(だいりせんそう)」と表現し、武器支援の停止を求めています。しかし、死者は2万人を超え、解決の糸口すら見えません。
 Q 国際社会は?
 A 戦争を止める役割を担う国連安全保障理事会(こくれんあんぜんほしょうりじかい)は、アサド政権側に立つロシア、中国と、反体制派を支援する米英仏に割れ、機能停止(きのうていし)の状態です。アナン前国連事務総長が停戦調停に乗り出しましたが失敗。今月1日に後任になったブラヒミ特別代表は「(停戦は)ほぼ不可能」と厳しい見方を示しています。
 Q アサド政権を倒せば問題は解決するの?
 A 外国が軍事介入(ぐんじかいにゅう)してアサド政権を倒しても、反体制派はまとまりがなく、混乱が進むとの見方があります。反体制派には、イスラム教を厳格に解釈する原理主義勢力(げんりしゅぎせいりょく)も含まれます。国民の中には「アサドの独裁は問題だけど、イランのような宗教層支配(しゅうきょうそうしはい)の窮屈な国になるのは嫌だ」と考える人もいます。
 Q シリアって悲惨な歴史ばかりなの?
 A いいえ。紀元前3000年ごろから文明が始まり、シルクロードや地中海の交易拠点(こうえききょてん)として栄えてきました。農産物が豊かで商工業もある程度発達し、観光客を引きつける世界遺産(せかいいさん)も多いのです。かつての輝きを取り戻してほしいですね。(テヘラン支局)
++++++++++++++

常見忠2012「忠さんのスプーン人生」地球丸

2012-11-10 16:13:15 | トレッキング・釣り・テニス
11月5日発行のホヤホヤの本。

しかし内容は、ルアー釣りのパイオニアが釣り雑誌などに書いてきたものの編集本。
初出をみれば、1979年から、亡くなった2011年までに及ぶ。
ぼくには、開高健を通して知った常見忠さんだけど、じつは桐生市在住以外は詳しくは知らなかった。

かつて働いた太田市の病院理事長I先生と同年生まれ桐生中学同学年であるのには驚いた。
常見は1968年にルアーに初めてであったこと。
開高健は翌年に旅先ドイツでルアーと出会い、バイエルンとオーストリアでパイクとマスを釣ったこと。
1974年には、もう銀山湖ではルアーを追わなくなったこと。

所;
銀山湖
丸沼
北海道
アラスカ・キーナイ
モンゴル
カムチャッカ
シベリア・ハバロフスク

さかな;
イワナ
ヤマメ
ニジマス
ブラウントラウト
イトウ
アメマス
サクラマス
サケ
オショロコマ
セイゴ
フッコ
スズキ
クロダイ
バス
キングサーモン
レッドサーモン
チャムサーモン
ピンクサーモン
シルバーサーモン
パイク
パーチ
レノック
グレーリング
タイメン

開高健のモンゴル道具;
ロッド:8.5ft
リール:アンバサダー7000
ライン:ヂュポンストレーン30ポンド
スプーン:忠さんのバイト、13~20g。メップス。ハイローマグナム。タドポリー。

開高健の著作はやっぱり感動や場面の表現に味があり、文学なんであろう。

一方、この本は、技術面の記載があって、釣り好きにはたまらない!





シリア難民の心理支援をしたい

2012-11-09 18:23:47 | 国際協力・保健/リハ/心理学分野
シリア内戦が大変なことになっていて、収まる気配がない。
内戦の死者2.5万人とか。
もともと少数派が専制的に国家運営をしてきた歴史がある。
反政府運動が一枚岩ではない。

地球の人類にとって今日的な課題のひとつとなっていると思う。
難民数32万人(UNHCR 2012.10.4)
日本のNGOも11月から動き出し、まずはニーズ調査などを開始したと聞いている。

東日本震災、陸前高田・気仙沼でのこころのケアで1年間お世話になったNICCOも現地で動き出した。
参照 http://www.kyoto-nicco.org/give/menu-syria.html
冬物衣料、燃料などの配布が始まったようだ。
ただまだ、こころのケアは始まっていない。

勧められて、MSF(国境なき医師団)に心理士として登録することにした。
書類審査と面接は終了したけど、いまはまだ登録手続き途上。
MSFは現地では集団生活、ちょっと辛いかも。
3月以降になるらしい・・・(ただし確約はない)

ぼくの内戦後の心理ケア経験は90年代後半のカンボジアだけ。
しかし2010年のコロンビアのMSF報告を読むと、よく似ているという印象がある。
・それまでのコミュニティから強制移住させられる根こそぎ体験や、
・移住先での排除体験、
・両派が疑心暗鬼になって直接的な暴力をふるう被害体験・・・
こうした部分への、言い換えるとPTSDやうつ症状への医療+心理療法的な介入、つまり個別的な支援は必須だが、狭すぎる心理支援だと思っている。

地域社会からの排除には、避難民を理解し受容する態度が形成されるように介入することは重要だ。
社会制度からの差別も、たとえばこどもが学校教育をまた受けられるようにするなど、支援の視野に入れる。
こうしたあるべき社会制度からの支えを作る視座が必要だ。

いろいろ学びを広げ深めていきたい。
現地情報をネットや本、BSTVなどで。
英語のブラッシュアップや、現地言語であるアラビア語への挑戦(アラビア文字、大変!)もしよう!

体調の維持も大切。
きょうはクルマ20数分で登り口に行ける、お手軽な、裏高尾の景信山720mの標高差約400mを2時間ほどで往復した。
ちなみに紅葉はまだ一部。

完了するには3か月ほどかかる予防接種には着手始めた。
持参する本が少なくなるよう、電子ブックにもっと慣れたい。

まだ当分、待ちになりそうだな・・・

2012年シーズン幕開け、諏訪湖ワカサギ460g298匹

2012-11-05 19:56:44 | トレッキング・釣り・テニス
今年2012年のワカサギシーズン明け。
待ちに待ってた諏訪湖へ行った。

朝4時に横浜からやってくる、今夏の脳梗塞を素早い救急搬送で乗り越えたPさんと我が家駐車場で待ち合わせ。
カトマンズで出会った彼とは3度目の諏訪湖、4度目のワカサギ釣り。
電気器具修理とかお世話になってきた。

うれしくて(道路が空いていたのではなくて)1時間前には早到着。
それからクルマを乗り換えて寝惚け眼で中央高速を飛ばして5時過ぎには着いてしまった。

朝7時から午後2時半まで。
ドーム船。
周りはほとんどが電動リールになっている中、ぼくたち2人は手巻きで頑張る。

朝は寒くて分厚いジャンバーを羽織っていた。
でも手が悴むほどではなかった。
陽が射してきて、徐々にいい気候に。
ジャンバーを脱ぎ、その後にはベストも脱ぎ、ついにはネルシャツも脱いでTシャツ1枚になる暖かさ、というか暑さになった。

2時半に1時間早上がり。
現地で、手に付いたうろこを洗い落としながら、計量したら460g。

女工哀史のなかの福利厚生施設であった片倉館の立ってしか入れない深くて大理石の豪華な温泉で冷えた体を温める。

そして帰宅。
数えたら・・・298匹。
ヤッタ!

全体的に当年モノで小型だった。
でもいつものように香りがよく、唐揚げで超おいしい!!!

まずは狂犬病Rabies予防接種

2012-11-01 02:52:49 | 日本で・・・
2004年にドミニカ共和国へ行くときにした予防接種。
A型肝炎 Hepatitis A
B 〃 〃 B
破傷風 Tetanus toxoid
そして狂犬病、各2回。

まずは Rabiesを接種。
B型肝炎チェックのための採血も。

1週後に Tetanusをやって、採血の結果を。

基礎免疫接種としての初回接種を2回するとして、
その後、最終接種から2年以上経過しているとき、追加接種を1回にするか2回にするかは、検討が必要らしい。

10月26日公開「アルゴ」に行ってきた

2012-10-31 17:28:06 | 日本で・・・
公開されたばかりの映画に行ってきた。

アルゴ。
http://wwws.warnerbros.co.jp/argo/ 参照。

監督が主演というのは気合が入っているせいか、ぼくには長いはずの上映時間の2時間がアッという間だった。
実話というので、見るほうは惹きこまれたのかも。

やっぱりアメリカはヒーロー好きだね・・・
裏を掻かれた相手は、マヌケで悪者ということになるのだろうか?

3か月以内には中東で生活を始めている予定。
初めてのイスラム圏。
相手を理解したいと思っているので、余計、この映画にあるアメリカの対決主義が気になった。

エンターテインメントとしてはよくできている映画であることは確か。

大多賀政昭・河東仁・空閑厚樹・佐藤太2009「つながる喜び-農的暮らしとコミュニティ」現代書館

2012-10-21 01:22:58 | 
大多賀政昭・河東仁・空閑厚樹・佐藤太2009「つながる喜び-農的暮らしとコミュニティ」現代書館

帯にはこうある;
「自分も他の人も楽しい、人間も動物も植物たちもうれしい、カラダにも心にも気持ちいい、そんな生き方があるだろうか…」

++++++++++
内容;
「家からあまり遠くない距離に田畑があり、そこでの作業が生活の重要な部分を占めているような生活」が「農的暮らし」と定義する。
そういう生活に入った元旅人。
競争社会に決別して。

「安心や豊かさをお金で買う」ことを止めて、「自分で生きる、共に生きる」ことにした実際。

「英雄として」「直線的に」「もっと高く、もっと遠くへという生き方をし始めたギルガメッシュ」の悲劇と、「地母神のもとで死と再生を繰り返す円環的な時間に取り込まれたさまざまな穀物神」との対比。

生活共同体の例;
内戦後に他の民族との出会いと融合の場になった「ボスニア・ヘルツェゴビナのコミュニティガーデン」。
風や鳥、草花と出会う庭を「アトリエ土里夢(どりむ)」として開放する横浜の越川さん。

コミュニティの定義は、マッキーバーの「地域性と共同生活の存在、共属感情」のある特定の地理的空間というものが始まり。
「仲間になること」をさす「アソシエーション」。
ソサイエティは、その両者の上位概念。
個人化が進む社会という問題。
「インテンショナル・コミュニティという意図的につくられる共同生活様式」。
「共同生活型コミュニティとしてのコミューン」。
カトリック宗教的背景を持つものとして、ラルシュ。
宮崎と毛呂山の「新しき村」。
富士宮の「木の花ファミリー」。
個人の自由で自立を前提をしながら生活の一部の共同化・共有化をする「コレクティブハウジング・コウハウス」。
「コーポラティブハウス」
「パーマカルチャー活動に裏付けられたエコビレッジ運動」は、オーストラリア、イタリア、スコットランド、インドなどへ広がっている。

「幸せ」、再考。
「お金、偶然、物語、医・食・農・想、感謝と謝罪」などを手掛かりに。

性という課題。
ハンディを持つ仲間。
++++++++++

ぼくは、批判や否定ではなくて、肯定的な具体策を持っているのがホンモノの倫理だと思う。
もう先も長くないし。
”人生下り坂(BSNHK火野正平より)”というイメージに共感するこの頃。

可能なときにいくつかの実践を覗きに行ってみよう・・・

MH支援の長期展望・国際シンポ

2012-10-20 11:32:24 | 日本で・・・
あすは、これに参加します。
支援の長期的展望って、必須と思う。

帰りには、あだたらの紅葉とくろがね小屋の温泉かな!?

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NPO法人 相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会
2012年度 第2回国際シンポジウム 「災害後の長期的メンタルヘルスケア」
※医療保健福祉従事者及び学生限定

1. 日時
10月21日(日) 13:00~16:30

2. 会場:福島県立医科大学 8号館 N301

3. 演者
「災害と災害後の長期的ケア」
山本 あい子先生(兵庫県立大学地域ケア開発研究所)

「東日本大震災と米国の日本支援―ニューヨークの経験」
Dr.Robert Yanagisawa(マウントサイナイ医科大学)

「9.11被災者から東日本大震災被災者へ捧げるメッセージ」
Mr.Lee Ielpi(ニューヨーク9.11家族会)

「災害メンタルヘルスにおける長期的展望:2001年エルサルバドル地震から9.11テロ攻撃まで」
Dr.Craig Katz(マウントサイナイ医科大学国際精神科)

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大連大会が中止になった

2012-10-11 18:33:48 | いろいろ
「自然災害と心理学 - 日本からの報告 および中国からの報告」の日本側のシンポジストを引き受けていたところ、きょうになって下記のような中止の連絡が入った。
 例の領土問題が背景だ・・・

年明けへの延期だと、たぶん、ぼくは参加できなくなる・・・
東日本震災支援と四川震災への支援との重なる部分、異なる部分については、関わってきた心理家同志で学んでみたいと考えてきた。

中国側のリーダー選挙関連のご都合主義で湧き上がさせられた政治マターに振り回されるのは、残念だ。

++++++++++
第48回日本臨床心理学会 大連・東京大会《大連会場》にお申し込みの皆様

 大変、残念なお伝えをしなければなりません。
皆様のご協力のお蔭で順調に準備が進んでまいりました本大会ですが、この度、延期しなければならない事態になりました。

大連市は親日家が多く大連大学からの協力の申し出もあり、今の日中関係の混乱とは関係なく、大会が実施されることになっておりました。
しかしながら大連市におきましても、日中の交流の大きなイベントのほとんどが延期となりました。

大連大学の副学長である宋協毅先生ご自身は何とか実施できるよう各方面で動いてくださり、中国国内の臨床家への案内も積極的に行ってこられました。また現在も実施できるよう動いていただいております。しかしながら、10月半ばには渡航費のキャンセル料金が発生する時期に入るなど、これ以上、決断を遅らせることはできず、この時期の開催は断念せざるを得ない状況になりました。

日本における心理臨床の実践を中国に紹介できる絶好の機会であり、日本の臨床家と中国の臨床家が公に交流できる素晴らしい場となるはずだったのですが、残念ながら延期とさせていただきます。ご参加いただくご予定の先生方には、ご準備や日程の調整でご迷惑をおかけしますことを心よりお詫び申し上げます。

実施時期につきましては今後の情勢を見て大連大学と密に連絡を取りながら、運営委員会において検討していきたいと存じます。開催の際はどうぞよろしくお願いい申し上げます。

尚、参加費、宿泊費等、本学会事務局にお振込みいただいたお金につきましては近日中に、全額返金させていただきます。
渡航の手続きに関しましては、旅行会社エヌオーイーでストップしていただいております。個人的に予定通り大連へ渡航される方がおられましたら、恐れ入りますが早急にご連絡をいただけますようお願い申し上げます。

大会委員長
酒木保
+++++++++++

尾瀬の朝はマイナス1℃

2012-10-10 21:40:59 | トレッキング・釣り・テニス
10月8日連休の最終日、案の定、その日正午まで規制されていたクルマが鳩待峠までそのまま入れた。
テント泊のための荷がどっさり入った65リットルザックを背負って、山の鼻に下り、エスパースを張る。

9日は尾瀬ヶ原をゆっくり横断して見晴へ、尾瀬沼を往復し、尾瀬橋とヨッピ吊り橋を渡り、つまり群馬から福島、そして新潟を回って戻る。
早朝7時から午後4時までかかった。

一面、茶色になった原。
陽の当たる水面で日向ぼっこするアブラハヤの群生、100超の群れ。
人影を恐れずのんびりゆったり泳ぐイワナ。
紅葉は沼へ乗越す白砂峠1600mあたりがよかった。

10日の朝はビジターセンター前の温度計でマイナス1℃、3シーズンの薄い寝袋だと朝方には手先や首元が寒かった。
もうすぐ小屋も閉まり雪の季節がやってくる・・・四季がある日本。

帰国、1カ月ぶり。グッピーとポトス、生き延びてくれた!

2012-10-04 07:28:33 | 日本で・・・
涼しげな小雨の成田にきのう帰国。

シェムリアップ、プノンペン、カトマンズ。
ひさびさの知人たちとの邂逅、うれしかった!
時間を作ってくれて、ありがとう!

今日は一転、陽が出てきた。

3匹のグッピーは、陽の当たるベランダ脇で丈を伸ばし育った水草を食べて生き抜いてくれた!
水温は26℃、ヒーターなしでちょうどいい季節。
緑に濁った水を1/3ほど替え、汚れたフィルターも新品に交換。

ポトスは水を張って入れておいた食器洗いカゴ一杯にさんざん茎と葉を伸ばして繁茂!
水栽培用に小分けする。
多過ぎ・・・

クルマのバッテリーも問題なく、一発始動!
少し走らせてきた。
サカナの臭いも取れている感じ。

10月21日には福島医大であるという「災害後の長期的メンタルヘルスケア」の第2回国際シンポの案内が郵送で届いていた。
今度は、NYとエルサルバドル、そして日本。
相双の、「なごみ」の皆さんにまた会える。
陸前高田へも足を延ばしてみるかなあ・・・

その1か月後には大連での日中震災ケアシンポに出ることになっている・・・この中国との騒ぎが続いているけど、実行されるのだろうか?と少し心配。

面接予約Telが入る。

来年1月からはヨルダンに行くことがほぼ決定。
難民ケア状況をネットで調べている。

グッピーもポトスもそれまでの命かも・・・許してね!

西丸震哉1974「山歩き山暮らし」中公文庫(1985年版)

2012-10-01 16:29:55 | トレッキング・釣り・テニス
懐かしい本だ!
学生時代に何度も読んだ本。
これも、10日間逗留中のカトマンズのホテルの本棚から。

まだまだ日本に未踏コースが探せばあった時代。
峠越えや源流遡行が、下調べの資料にのっとって、試みられる。

「大賑わいの登山コースには見向きもせずに、何やら怪し気な山々を探し出しては踏み込んでいく西丸式登山術」と、表紙裏の宣伝にあるがその通り!
山の生活での工夫や考察は、現在でもそのまま通用する普遍性を感じる。

文体は、後の椎名誠の先鞭をつけたような軽さで、探検記や踏査記などにありがちな悲壮さは無縁だ。
そのうえ筆者による挿絵は椎名モノのひさし?氏にそっくり。
でもところどころに、地図や地形図などが生真面目に登場する。

そういう意味では、あることあることの記録であり、小説家のものとは一緒にはできないかな・・・
また公務員生活の合間に休みを取って出かけるというスタイルが、読む人をこの著者近くに引き込む。

「大草原のある山頂」というタイトルで、利根川水源遡行の記録がある。
沢の名前が、ぼくの遠い記憶を呼び覚ました。

ぼくの場合は職場の山好き3人で、勤務先の病院に夕方出入りしていたラーメン屋台が本業の釣り人のボートで八木沢ダムを堰堤から流れ込みまで送ってもらい、遡行を開始。
軽快な沢歩きができるのはたった1日ほど。
すぐに雪渓くぐりや岸壁のザイルを使った微妙なトラバースが始まり、渡渉や高巻、流れへのザイルでの降下など、盛夏にもかかわらずびしょ濡れで震え上がっていた日々を想い出した。
結局日程不足で水源までは行けず、ボートで送ってもらったところまで戻り、当てなく釣り人のボートがやってくるのを河原でテントを張って待ち、翌日に運よく到着した人を拝み倒してダム堰堤まで送って戻ってもらったのを想い出す。
なんという人任せ計画・・・今思うと恥じ入る・・・!

イワナ釣りを覚えたのはこのとき。
先行記録にそれに関した記事があり、安物の渓流竿を手に入れ、ミミズをひと箱準備していった。
3人だからひとり2匹で6匹、と決めると夕方にテントを張っている間に釣れてしまう、夢のような場所だった。

以来、釣りはぼくの生きるうえでの高いモチベーションになっているかも。
そういつもはうまくいかないんだけどね・・・

20数年前の、1985年の端が日焼けした文庫本で読むと、なおさらあの30代の日々が想い起される・・・
日本に戻ったらパイオニアワークとか冒険!?そのものではなくても、それを加味した山登りとか遡行とか釣りとかキャンプとかやりたいな・・・



和田信明 中田豊一2010「途上国の人々との話し方」みずのわ出版

2012-09-25 12:54:29 | 国際協力・一般
和田信明 中田豊一2010「途上国の人々との話し方-国際協力メタファシリテーションの手法」みずのわ出版

この著者が行っている研修にきのうまで参加していた「お達者クラブ」Tさんが一緒にネワール料理を突っついているときに、あまりにその具体的な内容を語るので、長いこの分野の経歴を持つ彼女がそこまで言うなら日本で読もうと思ってアマゾンで調べたらとても高価なので困っていたら、貸してもらえることになった。それで滞在中のカトマンズで読み始めた。いくつもアンダーラインを引きたくなったので、この国では普通の(日本ではいけない?)、全本コピーをしたら、450ページ+簡易製本付きで400ルピー(約400円)。

まずは、「メタファシリテーション」と彼らが名づけた、具体的な質問を重ねるインタビュー方法が紹介される。建前ではなくて、具体的な答えやすい質問で質問者が得られることが多いことや、質問される方が答えることを喜びに感じ、自らの考えも整理されるという効果が示される。たとえば、「家族は何人?」ではなくて、「いま、この家にだれが住んでいますか?」などだ。

この著者たちは、1980年代からインド・ネパール・バングラデシュを振り出しに、インドネシア・ラオス・ケニアなどでのNGOとODA双方のフィールド経験があり、今日も現場(たとえば、植林・収入向上・ささやかインフラなど)と研修などで、開発支援を仕事としてかかわり続けている人たちだ。
それで、提示される事例が豊富だ。
また分野としては、村落の総合支援という特徴がある。

プロジェクト評価について、よく整理された提示があった。
1992年のブラジル「地球サミット」で採択されたアジェンダの実例集「ローカルアジェンダ21」からとして、次の5点にまとめている。
・パートナーシップの構築 partnership building
・コミュニティに基づいた課題の分析 community-based issue analysis
・行動計画作り action plan
・実施とモニタリング implementation and monitoring
・評価とフィードバック evaluation and feedback
これらの項目化はすばらしい!実施者として、また評価者として、整理して事態をとらえることができ、共有しやすいと思う。

この本で示される情報は、開発途上国の人々と実際に触れ合う人々、開発計画を立てる人々に必須なものだ。いろいろな機会で学ばれて、無駄な、あるいは誤った支援がなされないために、身に付け肉化されることが望ましいと思う。

以降、ぼくの意見。
・「途上国の人々との話し方」は、なぜ、先進工業国の人々との話し方とは違って方法化されるのだろうか?ぼくは、異文化事態に入った先進国側の人が基本的に知っておくべき情報という意味合いと思った。差別ではなく、必要な違いの認識だ。
・「HowやWhat」を使わない質問が推奨されている。ただ、Howについては、相手が自由に自分を出しやすい質問でもあり、アイスブレーキングやラポート作りに使えるという側面が指摘されてもいいと思う。「ここへはどのようにしてこられました?」のように。ただし、次に述べる「メタ」がわかっていないと失敗もありうる。
・「メタ認知とは、認知活動を行っている自分を見ている高次の自分の働き」。対人的な仕事を成功的に行っている人は自然に大方身に付けているのではないかと思う働きだ。でも自我優先社会になった今、相手の自尊感情などのことを感じることは難しくもなってしまっている現実がある。ぼくたち心理療法家は、特に重い障害を持つ人を相手にしてきたものにとっては、これこそ本務なんだけど。開発支援者に、相手と自分の間(対人間)で起こっていることを見つめよ、ということはぼくも必須と思う。これがないと、信頼関係も築づけず、愛も汗も、技法も生きない。3部の技法解説と研修は現地語の習得と共に、NGOもODAも、派遣事前研修の必修にすればいいと思う。
・貧困を含む開発途上国の事態を、近代国家化や市場経済化、そして人口増加という視点のなかで、「状態」と捉えるのは大賛成。
・こういう風に現在の開発支援の現実を見ると、著者たちは言外に、ムダな、効果のない、自己満足的なプロジェクトが多いと指摘しているということになる。必要なところに、効果的な支援が、必要な期間長期的に行われるようになってほしいと思う。
・そして関わってきた、わが足元日本の災害地の復興は、あるいは復興支援は、この視点ではいかにして進めるべきなのか、と考えている。

夢枕獏「神々の山嶺 かみがみのいただき」集英社文庫2000

2012-09-24 21:53:24 | 
夢枕獏「神々の山嶺 かみがみのいただき」集英社文庫2000
単行本は1997年。

現在宿泊中のカトマンズ・Fホテルの書棚から。

前から手を出したかったネパールモノの小説だけど、機会がようやくめぐってきたという感じ。
昨日と今日、2日かけて上と下504P.+564P.合計1068ページを読了。

著者はぼくの世代なので、興味の持ち方が重なる。
また、一般的な山の知識、とりわけヒマラヤ山域や高度障害、などについては、そうそう!と納得しながら読んだ。
特に今いるカトマンズの地名については、足元を描写されているような、当事者感覚。
あとがきでは、そうしたことへの著者の情報収集努力がうかがえた。

地球の最高峰エベレストへの英国遠征隊のアタック隊員で1924年に死亡したマロニーのものとされるカメラ、その拾得者としての山にしか生きられないアナーキーな登山家・羽生丈二(=今風には発達障害ということかもとは連想してしまった)と出会ったカメラマン深町を主人公にストーリーは展開していく、悲劇的な長編。

薬物
中古山道具店
裏商売
貧富と社会運動家
シェルパ社会
グルカ兵
ヒマラヤ登山史
高度障害下での幻覚
女性
などなどが背景となってゆく。
そして「ノート」や「独白」が多いことも特徴だろう。

さてぼくはふつうは小説は(冗長に感じて)読めない人なのだが、こうして旅の途上では手に取り、入り込んでいって読めてしまう。

さて明日はこのホテルの宿泊客が置いていった書棚から次はナニを持って来よう・・・