心理学オヤジの、アサでもヒルでもヨルダン日誌 (ヒマラヤ日誌、改め)

開発途上国で生きる人々や被災した人々に真に役立つ支援と愉快なエコライフに渾身投入と息抜きとを繰り返す独立開業心理士のメモ

CVTの、急増するシリア難民への心理社会ケア

2013-02-04 18:40:28 | 国際協力・保健/リハ/心理学分野
きょうは難民の心理社会ケアをしているアメリカの団体 CVT, Center for Victim of Torture のオフィスへ行ってきた。
そこの同業者と東京で会っていたので。

外国人心理士の役割や、ケアの実際などに、考えが重なり、うれしかった。

直接難民へ応対するのはこのヨルダンに住んでいて、またアラビア語を使うー厳密にはシリアやイラクとヨルダンのアラビア語はまったく同じではないー心理士らで、彼らへのトレーニングやスーパーバイズを英語で行っている。
成人や思春期、こども、そして女性などを分けた集団セッションを行い、また個別面接の需要も多いという。
身体化した訴えがやはり相談の入口なので(日本の災害地でもそう)、理学療法士(PT)を入れている。

作業療法士(OT)と共働して有効だったというぼくの被災地ケアでの経験を説明すると、この国にはOTはいなくて惜しいと。

イラク難民に加え、最近はシリア難民が急増していて、レイプや喪失体験などへの支援が急増しているという状況らしい。
この団体は、難民キャンプ内での活動はしていないらしく、そこから街に出て住んでいる人たちの通所センターを開設しているらしい。

ストーブや冬の衣類などを配る支援団体は多いが、自分ではお金がなくて燃料を追加して買えないという訴えは多いと。
CVTの他にはMSF(国境なき医師団)フランスがノルウエー人心理士を一人いれているだけで、難民総数が50万人ともいわれる現状ではもっともっと心理社会ケアをする体制が必要と思うと。
ただし精神科医師は処方をし服薬を勧めて現地を離れてしまうことが多いため、薬物の継続的な提供はもちろん、副作用や処方変更などに対応されず、医療へのアクセスが限定されている現地にはそぐわないという意見だった。

活動地への同行はチームで confidencialityの調整を終えてから、ということに。

++++++++++++

ぼくが住んでいるアンマンから陸続きで、しかもたった100Kmも行かない隣国シリアでは今も内戦が収まる様子を見せていない。
テレビでは悲惨な市民の犠牲のニュース報道が後を絶たない。

このヨルダンには、
40年後には干上がってしまうらしい死海や、
キリスト創世記や十字軍などの遺跡、
ペトラ遺跡、
渓流や森、砂漠や湿地などの自然保護区、
紅海に面したアカバほか、訪れたいところは少なくないし、
3月26日にはサッカーWC予選の日本戦もある・・・
でも、難民をめぐる情勢は喫緊の課題だ・・・と思った。

胸騒ぎ・・・そして気合!

アブドゥーンのアパートへの引っ越し終了

2013-02-03 21:50:45 | 中東
31日に引っ越した。
不動産屋のクルマを出してもらって4つの大きなバッグと食料品などの手提げが3つ。

この日は雨で、朝方にはミゾレも混ざった。
道路の排水が悪くて、靴はびっしょりになった。

家具付きアパート。
エアコン、電気温水器などの使用法を聞く。
おお!テレビが映らない・・・アンテナの不具合らしく、業者を呼ぶことに。
(夜8時になって解決して、なんと1200余チャンネルもある!・・・が、大半はアラビア語圏の国々の放送と有料局で、BBCもCNNもDiscoveryも無料にはなく、英語放送は50チャンネルくらいかな。でもNHK World とイタリアの釣りチャンネル、複数の映画チャンネルがうれしい。ちなみに日本語放送はなし。)
レンジと湯沸しのコンセントが合わないので変換コンセントが必要。
大きなベランダへの扉にカーテンがないのでお願いする。
契約の時に注文した事務デスクは新品が届いていた。

南向きでベランダがあって、朝夕には鳥の囀りもある2LK。
今の季節用に床暖房があるけど、重油が高いというので窓から陽射しを入れてガマン。
40℃になる日があるという夏には工夫が必要かも。

トイレ・シャワー室が2ヶ所、というのが日本風とは違うかな。
リビングは卓球台が置けると思ったほどで、かなり。

アブドゥーン地区のスゥェイ・フィーエよりと言おうか。
地元では、大使館が多いのでより安全といわれている地域。
10数軒が入っている4階建てアパートの3階。

さっそく日本から持参のチューリップ球根の水栽培を開始。
親しくなった日本人と、ここの管理人のムハマッドにも2個づつあげた。
ミックスサラダの栽培も持参の「増える培養土」で始めた。
プランターも準備しよう。

2日かかって、USB方式でネット環境を、ようやく。
全身真っ黒で嘴だけ黄色の、そのまんま、Blackbirdというツグミ系の野鳥も朝、隣りの庭木に発見。

アンマン市街はいくつかの丘の上にできているので、見晴らしがいい所が多い。
標高約900m。

ゲストルームがあるよ、泊まりたい人は・・・
ただしイスラム国ではお酒はTAXが高いので持参を。

3月26日午後5時からのワールドカップ予選ヨルダン日本戦の応援に来る人いる?
ぼくは駐在員のこどもと選手たちとの記念写真の係りをするらしい・・・

初めての雨、 settle in 中

2013-01-29 08:57:10 | 中東
今朝はアンマンで初めての雨、冷たい霧雨、3℃。
あす夕方まで続くと、現地 The Jordan Times 新聞にはある。
こっちの人は傘を差さずに、フードつきの雨具で歩いている人が多い。
到着12日目。

7時間の時差は、5日目の送別会をきっかけに、夜に早く休まずに起きていることができたのを機会に克服できたようだ。

携帯は離任する家族が本体を譲ってくれたので、SIMカードとプリペイドを入れて、終了。
とてもラッキーだった。

クルマは任期終了した大使館員が残していった日産サニー2007年に決めた。
日本車は故障が少ないことは体験済みで、希望が叶った。

育児を巡る相談を受けている。
駐在員はストレスフルで、その家族も影響を受けることは少なくない。
ほかにもあるけどそれはここには書かない。

初めての金曜(イスラムの休日)の25日朝、テニスを誘ってもらった。
一般市民対象の6面のコートは人でいっぱい。
日本人は企業や大使館、JICA関係者が6人。
NGOの人はいないなあ・・・
誘ってくれた日本人によると、これまでの寒い季節は疎らだったらしい。
暖かい春が近づいている・・・

ちなみにここは、3月下旬のワールドカップ予選「ヨルダンー日本」戦の会場近く。
現地応援できると思う。

引っ越しが決まった、31日(木)。
ホテル暮らしが2週ということになる、まあまあ・・・か。
住まいの決定は早かったけど、4日間の連休を挟んだため連絡や契約書類が遅れたのと、ぼくが下見の時に「植物を育てたいから南向きのベランダがあればなあ」と言ったら、真に受けて(!)広いリビングの窓の一部引っ込めるベランダ工事を5日かけてしてくれたことが、ここまで伸びた理由。

難民の虐待ケアをしているアメリカ系の団体 CVT, Center for Victim of Tortureへは4日(月)に行くことになった。オフィスはアンマン市内だが北東部で少し遠い。
精神保健ケアを専門にしている団体だ。
東京であった難民ケアWSで知り合ったカナダ人同業者と再会する。
イラクやシリアとの国境に近い町や村での訪問も、曜日を決めてしているらしい。
PT(理学療法士)をチームに入れているというのは、ぼくたちが陸前高田で創りだした被災者への精神保健ケアの具体策と重なっているかもしれない、と思っている。

今ヨルダンに着いて、予想との大違いは、こちらの人々はひげ面のいかつい顔つきとは違って、人々がとてもKindなこと。
笑顔で声をかけてくる・・・ぼくのイスラムイメージは勝手な予断だったと反省!
ただし長い駐在員によると、あれは人に近づくためで相手を値踏みしているんだからね、ということらしいけど。

さて2日後の引っ越しまでの買い物リストを作成中。
買い出しには嫌な雨だ・・・

アルコールなし送別会は初めて!

2013-01-22 14:31:56 | 
数日前に知り合いになった家族が離任間近に。
その大家さん主催の送別会に声を掛けていただいた。

駐車場だけでもフットサルができそうな広大な敷地に高級そうな車が数台あって、まだまだ余裕の敷地。
ブドウやオレンジなどの果物の樹々が、こぎれいに手入れされた敷石タイルが敷き詰められた庭のあちこちに。
そして落ち着いた4階建ての住まい。
その本館とは別の棟が会場。
トイレは、庭を横切った向こうにある。
アパートメント運営や、海外での工場経営など、大成功をしている人だということだ。
英語を普通に話す。

生オレンジジュースでひと時。
それから、食事になって、
かぼちゃのスープ、
かき揚げにそっくりなもの、
茄子のひき肉づめ、
生野菜サラダ、
白身魚のフライ、
そしてトドメはヨルダンの定番という、鶏肉炊き込みご飯。
こう書くと日本食風だけど、香辛料が違う・・・オリーブオイルとか。
それらを、ミネラルウオーターやコーラとともに食す。

危惧した通り、イスラム圏なので、アルコール類は一切なし!

アルコールなしでも結構やれるんだな!と、自分の飲食習慣を自覚。
でも帰室して水割りをたしなんだけどね・・・

帰りにはベンツ(!)で送ってくれた。
問わず語りにこの老人は、1940年代のイスラエルの侵攻で8才の時に土地も家も失ったんだと話し始めた。
1970年代のパレスチナ難民の増加以降、このアンマン高台地域に家を建てた最初の一人なんだと言う。
波乱万丈の人生に驚き、この地でシオニズム建国をした罪を思った。

++++++++++
住まい探しが3日目。
あす23日水曜は国会議員選挙で休日とか。
家探しに拍車・・・

クルマについても日産車2008年の情報あり、こちらの免許に急ぎ書き換えてから、まずは試乗だね。
アンマンは一方通行やロータリーが多くて、道路を覚えることや運転は容易じゃなさそうなんだけど、これからの生活にクルマなしの移動は大変そうだから、ガンバル!


パリ-(マイナス)9℃、アンマン10℃

2013-01-19 14:14:00 | 国際協力・一般
パリでのトランジットはシェラトン空港ホテルと豪華。
バスタブに2回目お湯を張ってしまった(!)
マイナス9度の酷寒。
黒いコート姿の列がうつむき加減に動いていた。
ヨーロッパの冬景色。

そこから4時間でヨルダン・アンマン着。
ここは10℃で暖かく感じている。
先週は3日間積雪で車が動かなかったと、寒かったらしい。
冬タイヤなんて持ってないんだろうな。

きょうは住まい探し、第1日目。

「難民のメンタルヘルス・ケア」WSと、「小朝・正蔵・三平 三人会」

2013-01-11 22:30:16 | 日本で・・・
きょうから始まった、ワークショップ「難民のメンタルヘルス・ケア」難民支援協会主催、at 大正大学 は、
あと2日続く。

講師の一人は、ヨルダン・アンマンの虐待センターに駐在半年のカナダ?オバサンの心理士ACさんだ。
MSFでも10年の経験があると。
トラウマやPTSD定義や支援の技法など、基本を押さえてる内容。
寸劇を例にしたデブリーフイングのやり方を見ると、自我を支えてるなあ、と思った。
この分野に実際に身を置いている数少ない同業者から話を聞けるのは貴重だ。

予想外に現地事情をいろいろ聴けているのも、うれしい!
豚肉は手に入らないよ・ワーキングVISAがあれば難民精神保健仕事は多いよ・東京と同じくらい寒い・心理系の研修するんだったらアラビア語でなくても英語でOK・アンマンでも女性は肌を出さない服装・・・などなど。
もっと聞こうっと・・・

会場では、Hさんと会う。
シュムリアップのプロジェクトにインターンで入ってくれて以来だから10年ぶりかも。
ロンドンから戻って、しばらくは日本だろうと言う話。
独自に生き抜いていて、すごい。

夜は日野であった「小朝・正蔵・三平 三人会」に。
生の落語はしばらく先になるだろうな・・・
思いがけずーこっちもー、TVのワルふざけ?とは違って、聴きごたえがあって、うれしかった。

ひさしぶりに、新宿「かに道楽」でコースを食す。
数年ぶりの贅沢。
とりわけ、焼きガニ、大好き!

出発前に、心置きなく勉強と日本テイスト・・・

ちなみに・・・グッピー情報;朝の12℃水温でもまだ元気!
どうしよう・・・

たくましいグッピー、心痛い!

2013-01-06 08:16:19 | 日本で・・・
12℃に下がった水温でも生きていたグッピー。
驚いて20℃くらいまで水温を上げ、そして23℃くらいまでに。
生き生きと動き出したのを確認。
ところが次に覗いたらエエー!いない!
飛び出したと思って周囲を探す探す・・・いたいた!動いている!
そっと水に戻すとまた元気・・・
数分は水なしで生きていた!

ヨルダンへの出発が10日後になったので、身辺整理中。
年明け最初の廃棄物の日に、繁茂していたポトスをまず片づけた。
かわいそう・・・もうしわけない・・・人間の勝手!

綺麗に晴れたあたたかい陽射しの昨日、グッピーの番にして、たくましく1匹残っていたのを水槽の水を汲んだドンブリに移して、水槽やポンプ、ヒーターなどを仕舞えるように掃除。
コイツは同じ水槽にいた仲間のグッピーを2匹は今までに共食いした、生命力の強い赤い尾びれのヤツ。
後ろめたさがあって、せめてもの想いで水温を23℃程度に保ってやる、日が変わる深夜まで。

朝起きて、死を確認するつもりで意を決してそっと覗いたら・・・生きていたというわけ。
そのうえ、飛び出しても生きていたというわけ。

一定期間しかいないのに生き物を飼うのはよくないか・・・?
人間の勝手、ココロ痛い!

まだ鉢植えのバラと小さなランを手にしなければならない・・・


吹雪の一日と、快晴で遠望した立山連峰

2012-12-28 10:31:49 | 日本で・・・
不幸とは突然やってくる・・・
兄からTelがあって、いとこの奥さんの通夜と葬儀に出席することになった。

中央線ー武蔵野線ー埼京線ー上越新幹線ーほくほく線=北陸線と乗り継いで4時間半。

富士は既に真っ白。
赤城も白くなっていて雪雲の中。
木枯らしのなかの関東平野から谷川に近づくと、もう雪の世界に入って行く。
積雪1mはあろうかと思う越後湯沢からのほくほく線は強風で止まること数回。
でも30分くらいの遅れで済んだ。
日本海に出ると雪は少し少なくなって10cm位かな。

久しぶりの故郷に着くと駅は改修中で出口に戸惑ってしまう。
まだ2年もかかるんだって。
北陸新幹線の駅は少し離れたところなので、改修後といっても使用者数は減るんじゃない?かと気になる。

前にも泊まったことのあるホテルまでは数分なので歩く。
消雪のための散水が歩道も水浸しにしているところがあって、普通の革靴のぼくは所々で爪先立ちで、また除雪されていないところでは滑らないように注意して進む。
雪がずっと止まなかったので、コートやアタマにうっすら雪がついた。

時間まで休んで、通夜の会場へ。
初めてのところでネットで調べたけどよくわからなかったのでタクシーの世話になる。
メーターにある代金を支払おうとしたら、「雪で混んでいて遠回りをすることになったから」と2/3ほどの金額を言う、驚き!
初めてだから、ぼくは遠回りかどうかも分かっていないのに・・・
こういうのは正直者と言っていいんだろうか?

懐かしい顔々が並んでいて、また気遣いをしてくれて、あたたかな気持ちになる。
母の生家の跡取りだけど、敷地から自宅用の野菜畑の間にある灌漑水路に渡した手製の小橋から2mほど下まで落ちてしまったんだという。
夕方だというから見にくかったというのだろうか?
いづれにしろ、一日に何回も、いつもいつも歩いているところだからと従兄は不思議がっていた。
いつもいつも働いていた様子が思い浮かぶ。
送迎を言ってくれる言葉に甘えて、雪の夜道を戻る。

翌日の葬儀の日は快晴で、朝の道路はバリバリに凍っている。
交差点などではスリップしているクルマ、対向車線のクルマを運転している人の表情はいつになくどこか真剣に見える。

遠望すると遠く立山連峰が青空に・・・くっきり!

昼には道路の雪は消えた。
いい日になったな・・・




ギリシア悲劇「トロイアの女たち」蜷川幸雄演出 東京芸術劇場

2012-12-16 08:02:58 | 日本で・・・
今回日本に戻っていて、テレビなどの間接体験ではないライブを見たくて、選んだのが演劇。

名前だけは知っていたモノだけど、内容はよく知らず、ちくま文庫を読んでから行ってよかった。
ギリシア軍によって、例のトロイの木馬を使って、殲滅されたトロイアに残された女たちの在りよう。

それが、イスラエルとアラブと日本人俳優たちがそれぞれ母国語を使って、3言語が叫ばれる舞台。
イスラエル俳優はちょっと声に迫力なく、アラブ俳優に比べると動きも少なく、年増でもあった。
ヘレネ役の宝塚出身の俳優は、早口すぎて、セリフが聞き取れなかった。
たくさんの舞台は経験しているだろうに。

白石加代子は出ずっぱりのへカベ役。
声にも姿勢にもすごい迫力がある。
多少、芝居的すぎる仰仰しさは感じるけど、約3時間飽きさせないで引きつける演技はまちがいなく本物。
蜷川演出はこの方向なのだろう。

この時代、戦争に負けると、市民レベルの女たちは戦利品にさせられたんだ、なんという・・・!

前415年初演だそうだ。
その頃の日本はまだ縄文?
前にエジプトを旅した時にも感じたけど、ギリシア世界の芸術文化的な先行性はすごい。

この作品は2週後の29日からはイスラエル・テルアビブで1週間公演だという。
今度は日本語部分がテロップになるのか。

ぼくは1か月後には、このアラブ世界ヨルダンにパリ経由で入る。
たのしみ!

++++++++++
ちなみに同じ建物の地下会場では、地元池袋の立教大学の陸前高田支援の展示会場があったので覗いてみた。
ぼくが被災地駐在を始めたころ、この大学が長期的に入るから家を探しているという話があって、たくさんの団体の一つくらいで聞き流していたけど、殆どの緊急支援が引き上げた今、これまでもこれからも大学全体で被災地と出会いかかわり続けていくのはスゴイと思った。
こうして、外部に成果を伝えていく機会を作ることも素晴らしい。
大学生たちが入れ替わりになる体制とはいえ、若い人たちが現地に役立つ工夫が今後とも続いていくことを期待したい。

感染症や母子保健対策から生活習慣病や精神疾患の対策へ

2012-12-15 13:11:07 | 国際協力・保健/リハ/心理学分野
注目記事;世界の病気の動向に変化あり。
精神保健に注目したい!
ただし、その背景をなす実際の生活に着目しながら。

+++++++++++
<世界の病気統計>途上国も病抱え長寿化 国際チーム、187カ国分析
2012年12月14日(金)18:00 毎日

 この20年間に、途上国を含め人類は幼少期の死亡が減少する一方で、生活習慣病など病気を抱えながら長生きするようになったことが、日本を含む国際チームの調査で分かった。世界全体で疾病構造が激変したことを示しており、高齢化に伴う生活習慣病を中心とした保健医療政策が求められそうだ。14日付の英医学誌ランセット(電子版)に発表した。

 187カ国の死亡や病気のデータなどを分析した。その結果、1990年の出生1000人当たりの5歳未満死亡率は男8%、女6・6%だったのに対し、2010年には男4・7%、女3・9%に減少していることが分かった。理由として、経済成長に伴う栄養の改善やワクチンの普及などを挙げた。

 平均寿命は男67・5歳、女73・3歳で、20年前より4・7歳、5・2歳延びた。特に途上国が顕著で、インドなど南アジアは男63・4歳、女67・7歳と5・8歳、8歳それぞれ延びていた。

 また、2010年のけがや病気による治療期間など苦しみを独自に指標化すると、最も高かったのは虚血性心疾患(狭心症など)で、肺炎、脳卒中と続いた。1990年の上位3位は肺炎、下痢、未熟児合併症だった。心疾患や脳卒中は肥満や高血糖などに起因することが多く、生活習慣病による社会影響が深刻化していることを示した。このほか、エイズは33位から5位に、うつ病は15位から11位に上昇した。

 チームの渋谷健司・東京大教授(国際保健政策)は「これまで感染症対策を重点にしていた。これからは、生活習慣病や精神疾患の対策も視野に入れた保健医療に変えていく必要がある」と話す。【河内敏康】
++++++++++

映画「むかしMattoの町があった C'era una volta la citta' del matti...」

2012-12-15 11:02:31 | 日本で・・・
イタリアの精神医療改革、特にその中心にいた バザーリア Franco Bazagria 医師の動きを描いた映画。

「180人のMattoの会」大熊一夫(元朝日新聞記者の)代表が、各地の支援者を掘り起こして映画会や講演会を開いている。

ぼくは稲城市で昨日在った、(特非)「わくわく」主催の会に出かけてきた。
1030から、たっぷり90分の大熊さんの講演、わくわくショップの名物カレーで食事、質疑1時間程、そして映画が1部と2部を、これもたっぷり3時間。
終わったのは日が暮れた5時を過ぎていた。

当事者や家族が多かったのはさすが、わくわくの東谷さんたちの準備と思えた。
大熊さんとは久々の再会で、握手などをしてしまった。

特に2部には、旧サンジョバンニ病院の旧病棟や小高い丘の上の建物、港や街の広場などトリエステのシーンが各所にあって懐かしかった。
当時はさっぱり聞き取れなかったイタリア語が、その後学んだスペイン語と似ているせいか、耳に入って来るのに気付いた。
ただ、寂しさが狂気の原因としているようで、気になったけど。

ぼくは1986年?にアフリカ経由で出かけ、ちょっといろいろあって松葉づえをつきながら、大熊さんたちのチームと現地で合流し、1カ月ほどいた。

わが日本の精神医療改革の歩みは遅々としている。
とても残念だ。

「もう進むべき方向ははっきりしているのに・・・(進まない・・・)」
これは、大隈さんが週刊朝日に詳細な連載を始めた時にインタビューを受けてぼくが言った言葉。
同じ想いだなあ・・・

・診療や訪問、短期入院ベッドなどの機能を持つ24時間体制の地域精神保健センターを人口3万人程度(日本の中学校区くらい?)ごとに、10人程度の職員体制で設置。
・リーダーが支援の方向性を明確にして、強力に専門職チームを引っ張る。
・働く場所、住む場所、年金などの福祉施策を丁寧に実施する。
などがあれば、そう大変なわけではない、というのがぼくの想い。

あすは総選挙の日、原発廃止を声高に叫ぶのはいいんだけど、
反治療的な単科精神病院を廃止して、地域精神保健ケアシステムに移すという切り替えを政策化している政党はない・・・


カンボジアの地域精神保健支援、SUMHは続ける

2012-12-03 14:37:13 | 国際協力・保健/リハ/心理学分野
きのうはカンボジア精神保健支援NGO=SUMH(途上国の精神保健を支えるネットワーク)が毎月開いている拡大理事会。
駅前クリニックを持つひとりの理事が会議室を提供してくれている。
現地での活動が10年を超え、今はデイ通所活動の中での心理社会教育や集団活動などがシュムリアップ州病院精神科外来と連携し、また精神科のなかったアンコールチュム保健区病院に精神科医師とSUMHスタッフなどを派遣して精神科診療や地域活動を州保健局との連携のなかで継続している。

経済成長が著しいことは喜ばしいが、スタッフの昇給にも影響。
医療系団体のスタディツアーでの訪問希望や、医学生の訪問希望などへ対応。
人材育成についてのカンボジア保健省担当者との打ち合わせでは、地域精神保健分野の大切さは共有できても、その専門医や専門看護師などの高い専門性を持つ人を望んでいることが明確になり、つまりそういう人は田舎には行かないわけで、多くの人々が住む村落部での活動は重視しているとは言えない、つらい現実。
不況を反映して企業からの募金金額の減少。
現地側が収入を得るようなソーシャルビジネスに取り組むべきではないか、などなど。

年明けの次回には、特別に長い討議時間を用意して、資金獲得と、活動の新たな焦点づけなどについて、新たな方法や道を求めてしっかり話し合うことになった。

ブータンで一人目の精神科医師

2012-11-30 09:27:39 | 地域精神保健
近代医療と伝統医療の役割について考えさせられる。
それなりに長くかかわってきたカンボジアでもネパールでも、現地の精神科医師は薬を言うばかりで、伝統医療との統合を言う人とは出会ったことがない;

++++++++++++引用 2012/11/29付 西日本新聞朝刊
http://nishinippon.co.jp/nnp/lifestyle/topics/20121129/20121129_0001.shtml

「感謝すれば人は幸せ」 ブータンで初の精神科医 鹿児島で患者と交流

 国民の97%が幸福と感じ、「幸せの国」と呼ばれるブータン。国民総生産(GNP)ではなく、心の豊かさを示す国民総幸福量(GNH=グロス・ナショナル・ハピネス)を国の指針としている。そんなブータンで最初の精神科医となったチェンチョウ・ドルジ医師(53)が14、15日に鹿児島市を訪問。精神障害者の就労支援と自立訓練事業を展開する「ラグーナ出版」で、心の病を抱えた人たちと交流した。人間にとって真の幸せとは何なのか‐。ブータンの孤高の医師と、精神の自立を目指す人たちの対面に立ち会った。

 「ブータンで1999年から、たった1人で国中の精神障害の治療に当たってきたチェンチョウ医師を、ぜひラグーナのみんなに会わせ、いろんな話を聞かせたかった」。ラグーナ出版会長で精神科医の森越まやさん(52)はこう語る。ラグーナでは、統合失調症や不安障害、うつ病などの53人が、治療を受けながら製本や編集などの作業や自立訓練に取り組んでいる。

 チェンチョウ医師はスリランカやインドの大学で西欧の精神医学を学び、ブータンに西洋式の薬物療法などを導入した。一方で、仏教に根差した祈祷(きとう)や薬草など、伝統の治療法も併用し、独自の治療システムを構築している。森越さんは2年前、チェンチョウ医師が勤務する国立病院を視察し、来日を働き掛けていた。

 チェンチョウ医師は14日夜に鹿児島国際大学で講演した後、15日に丸1日、ラグーナに滞在。自立訓練中の8人、利用者13人と約2時間ずつ意見交換した。

 チェンチョウ医師と森越さんによると、ブータンに西洋医学が入ったのは1960年代。今も祈祷や薬草による伝統療法が一般的という。精神医療が世界保健機関(WHO)の支援で導入されたのは97年のことで、まだ歴史が浅い。

 精神障害の人はシャーマン(みこ)に相談に行き、どうしても治癒しない人だけがチェンチョウ医師の病院を訪れる。「西洋の薬は統合失調症などによく効く。一方で、薬草などの自然成分は長く摂取しても副作用がない利点がある。西洋医学と伝統医学とのバランスをうまく取ることが大切」と説く。「今年ようやくわが国2人目の精神科医が誕生した」と喜んだ。

 「なぜブータンで精神科医になったのですか」‐。その問いにチェンチョウ医師はこう答えた。

 「私には4歳上の兄がいる。賢い僧侶だったが、19歳で精神障害に陥った。伝統療法では治らず、10年も部屋に閉じこもった。私は本当は外科医になりたかったのだが、兄を治すために精神科医を志した」

 兄は回復し、今はチェンチョウ医師の家で一緒に暮らしている。弟も統合失調症にかかったが、治療で全快し「今は立派な2児の父親だ」と笑顔を見せた。

 自殺についての質問も出た。チェンチョウ医師は「ブータンでも2010年、10~15人の若者が自殺したとの報告があった。ただ、仏教徒が多いブータン人は輪廻(りんね)を信じているので、基本的に自殺はしない。自殺は過ちだ」と強調した。

 やりとりは日本人論にも及んだ。「100年前の日本はブータンと似ていたが、古い文化を見失ってしまった。今は経済力で世界のトップにあるが、何でもコントロールできると、人は横柄になる。長く深呼吸して、自分たちが何をしているか考えるべきだ」。日本人が心豊かに暮らすには「みんながつながり合い、頼り合うことで宇宙ができていると自覚することが大切」と語った。

 「長年、心にもんもんとした問題を抱えていたけれど、少しヒントが見えた」「新鮮な気持ちになれた」‐。意見交換を終えたラグーナの利用者は、それぞれ心の中に何かを得た様子。チェンチョウ医師は「全てのことに感謝すれば、人は幸せになれる。いろんな心の問題を抱えつつも、ラグーナのような場所で人と関わっていくことが大切。あなたは独りではない」とメッセージを送った。
   
 ブータンは中国とインドに挟まれたヒマラヤ山脈南麓の国。人口約70万人で、面積は九州とほぼ同じ。立憲君主制で仏教を国教とする。GNHは1970年代、前国王が提唱した国の指針で、経済成長よりも伝統文化や環境に配慮して国民の幸福実現を目指す。2005年の国勢調査で国民の97%が「幸福」と回答し、08年に施行された憲法にも盛り込まれた。心理的な幸福、国民の健康、教育‐など九つの指標がある。このため、ブータンでは医療費と教育費は無料。国土の森林面積を60%以上に維持することも定められている。

+++++++++++++引用終了

停戦合意、ひとまず安心か?

2012-11-21 04:44:07 | いろいろ
ひとまず、安心できるか?

1.++++++++++++共同より引用 2012,11月21日.01.21

ガザ、停戦合意発表へ イスラエルとハマス

 【エルサレム、プノンペン共同】ロイター通信によると、パレスチナ自治区ガザを支配するイスラム原理主義組織ハマス当局者は20日、イスラエルとの停戦で基本合意したと述べた。同日午後9時(日本時間21日午前4時)に発表され、その3時間後に発効するという。

 ローズ米大統領副補佐官は20日、カンボジアで記者会見し、ガザ情勢への対応のため、クリントン国務長官がイスラエルなどを訪問すると発表した。イスラエル軍がガザに対する軍事作戦を開始して21日で1週間。イスラエルがガザ地上侵攻に備えた態勢を維持していた。

+++++++++++++引用終了

2.+++++++++++(朝日新聞) 2012年11月21日 08時13分より引用

ガザ停戦合意を延期 ハマス側「イスラエルの回答待ち」

 【カイロ=石合力】イスラエル軍とパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの「停戦」について、在カイロのハマス当局者は20日夜(日本時間21日未明)、アルアラビアなど複数の衛星テレビに「ハマス側の条件に対するイスラエルの回答を待っており、発表は明日以降になる」と述べた。

 在ガザのパレスチナ筋は「20日午後9時(日本時間21日午前4時)に停戦を発表する」としていた。

++++++++++引用終了

ヨルダンでも緊張!

2012-11-17 11:26:16 | いろいろ
ヨルダンでの大規模デモ
大規模な内戦が続く、その隣国シリア
パレスチナ暫定自治区ガザ地区とイスラエルでの、ロケット弾と空爆の開戦

3つのニュース、今後が気になる・・・

引用1.+++++++++ NHK
ヨルダン 国王退位求める異例のデモ 11月17日 9時25分

中東のヨルダンで16日、燃料価格の値上がりに抗議する大規模なデモが行われ、デモ隊から異例ともいえる国王の退位を求める声が上がり、緊張が高まっています。

ヨルダンでは去年、チュニジアやエジプトなど中東の各国で反政府デモが広がってから、物価の高騰や高い失業率などに抗議するデモが頻繁に起きています。

今月13日には、政府が財政赤字を削減するために、暖房や調理用のガスなどの燃料価格を最大でおよそ50%値上げすることを発表したことからデモが拡大し、16日も首都アンマンでおよそ3000人が参加する抗議活動が行われました。

デモ隊は「国王は去れ」などとスローガンを叫び、国家元首であるアブドラ国王の退位を公然と求めました。
ヨルダンでは公の場で国王を批判することは違法なため、デモ隊から国王の退位を求める声が上がったことは異例の事態で、首都アンマンでは緊張が高まっています。

事態を受けアブドラ国王は来週、予定していたイギリス訪問を急きょ取りやめています。
中東では反政府デモがヨルダンのような王制や首長制を敷く国々にも飛び火していて、今後、民主化を求める動きがさらに広がるか注目されています。
++++++++++引用終了


引用2.+++++++++朝日新聞 11月17日1時50分

 【カイロ=石合力】英国に拠点を置く反体制派・シリア人権監視機構は15日、昨年3月に始まったアサド政権と反体制派との紛争で3万9112人の死亡を確認したと発表した。

主な内訳は市民2万7410人、政権側からの離脱兵1359人、政権軍9800人。これ以外に確認が取れない死者、行方不明者が少なくとも数千人規模でいるとしている。
++++++++++引用終了

引用3.+++++++++++ NHK 11月16日 21時2分
イスラエル軍が予備役招集

イスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスの戦闘が激しくなるなか、イスラエル最大の商業都市テルアビブの近郊にロケット弾が着弾したことを受けて、イスラエル政府は1万6000人の予備役を招集するなど、地上戦も辞さない構えを見せています。

パレスチナ暫定自治区のガザ地区では、16日もイスラエル軍による空爆が続いて2人が死亡し、これに対して、ハマスやパレスチナのほかの武装勢力もロケット弾で反撃しています。
ガザ地区からのロケット弾は15日、イスラエル最大の商業都市テルアビブ近郊に着弾し、テルアビブ市内では湾岸戦争以来、およそ20年ぶりに警報が鳴り響きました。
最大の人口密集地が狙われたことに、イスラエル政府は危機感を募らせており、ガザ地区の周辺に戦車を配置するとともに、1万6000人の予備役の兵士を招集するなど、地上戦も辞さない構えを見せています。

一方、ガザ地区には16日、隣国エジプトのカンディール首相が訪れ、ハマス幹部のハニーヤ氏と会談しました。
カンディール氏はこのあと、空爆によるけが人の治療が行われている病院も訪問し、記者団を前にイスラエルによる空爆を非難しました。
イスラエルとエジプトは平和条約を結んでいますが、ムバラク政権の崩壊後、両国の関係は冷え込んでおり、イスラエルがエジプトとの関係悪化を覚悟で、ガザ地区への攻撃を強化するのか注目されます。
+++++引用終了