茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

花鎮祭(はなしずめのまつり)

2010年04月12日 | Weblog
桜の花が散る頃になると
各地の神社で花鎮祭が執り行われます。
第二日曜日が多いようですが、
昨日はあたたかなお日よりで
桜の静かに散りゆく様が青空に映え
やすらう花の精霊を感じる一日でした。

花鎮祭りはもともとは宮中の行事で、
奈良県三輪大神、狭井神社で行われていました。
霊力をもつ花が散ると
疫病神や悪霊が活動すると考えられ、
これを鎮めるために花鎮祭りを行ったのだそうです。
また、花を稲の花の象徴と捉え、
実らないうちに散ることがないよう
「やすらえ(ゆっくりせよ)花よ」と
唱えるそうです。

このお祭りは、
『大宝令』(701)に
「国家の祭祀として毎年行うよう定められ、
 国民の無病息災を祈願した」
と記されています。
三輪神社では
今年も4月18日に花鎮祭がありますが、
毎年、奈良、京都、大阪の製薬業者や医師が多く参列し、
多くの医薬品が奉献されることから、
「くすりまつり」とも言われているようです。

三輪神社のご神前に供せられる薬草は、
お茶の葉!?!
ではありません。
三輪山に自生するもので
薬効の高い忍冬と笹百合の根です。
忍冬酒は体が温まりリウマチ等の関節痛にも効果があるとされ、
無病息災を願って参拝者に供せられるそうです。

701年には
まだ唐で『茶経』も書かれていませんでしたから、
お茶の薬効は認識されていなかった
ということになるのでしょうか。
でも、聖武天皇の時代(729年)に
行茶(ひきちゃ)という儀式を行っていたり、
『正倉院文書』にも
734~771年に茶を15束買ったという様な
記述があります。
それなりに伝わってはいたのでしょうね。