映像機器から始めても良いのですが、一応このブログはオーディオ重視であるので、先ずはAVアンプの選択から始めましょうか 価格や大きさ、機能など各種あり、大体の区分けをしたほうが説明しやすいので、以下の表と同時に参照してください。
他力本願ですが、使いやすいので紹介します。 ちょっと注釈を。
① 区分けは価格が基準ですが、価格が上がるにつれてパワーアンプ部も増強・安定し、たとえ大音量でも音のヘタリ、違和感が少なく済みます。 (単機で使う場合)
② (2011.7現在) Pioneer製 SC-LX73はパワーアンプ部の全ch総合出力が高いので、サラウンド(映画)再生時のパワーは表中の「トップクラス」レベルと考えて良いです。
③ なにがなんでも「トップクラスの選択を」ではありません。 機体の先進機能、お住まいの環境によっては活きません。 (下で説明)
■ 広さでの選択
単純に考えると、お部屋が広ければ広いほどアンプは高出力が望ましく、高価なものになります。 ただ、これはAVアンプ1機のみで全chをカバーする場合の条件です。 AVアンプには『プリアウト』といって他のアンプへ信号を送る機構を持つものがあるので、音声のプロセッシング(調整や、圧縮音声の解凍)を比較的安価な(定価10~20万円以下辺り)AVアンプに任せ、スピーカー駆動を音声の増幅に特化した"プリメインアンプ"や"パワーアンプ"に受け渡すことも可能です。
また、定価20万円ほどの機体(ミドルクラス)には、開発/発売サイクルが比較的早く、各種補正機能や音場プログラムが最新のモノであることが多いので、これらも考慮すると希望により近い環境が組めると思います。
トップクラスは、単機で20帖以上など広域もカバー出来るような機種です。 ただサイクルが長い製品がほとんどで、設計・規格が古いものもあります。 2011.7現在、ミドルクラスの方が先進的機能を搭載し、補正力・音響生成性能などが高い傾向にあります。 ルームが広く、ご予算と設置スペースが余裕があれば、『ミドルクラスAVアンプ+大出力パワーアンプ』という構成がもっとも理に適った贅沢な仕様となります。
もちろん、パワーに拘りが無かったり、スピーカーの感度(90dB以上)が良好で音量に不満が無ければ、ミドルクラス単機採用で十分です。 8~10帖までのお部屋にとってもミドルクラス単機でも贅沢なほどです
一方、エントリークラスはどうしても音質的に厳しいです。 定価10万円を超えるくらいでないと導入する意味は無いと私は思っています (超えてもトントンかな?) しかし、薄型TVの音声増強用として、または最低限映画BDを見る用途なら、価格的には先ずここら辺が現実的かと思います。 しかし、わざわざ別途アンプを導入する意味としては、もうちょっとガンバってミドルクラスが買えるまでガマンして欲しいナ、と助言いたします
■ メーカーの選択 (2011.7時点)
AVアンプが音質的にも認知されてきて10年以上経ちますが、それでもメーカーによる差というものが確実にあります。 先ずはホームシアター、AVアンプ音質面の最も本筋と思われる設計思想を列挙。
・ 映画(コンテンツ)制作者の意図を尊重する。
・ 各家庭に、それを変質させずに提供する。
たったこれだけなんですが、従来のオーディオではそれすら意図的に守られない場合がありました。 (初見の方は信じられないでしょう??) そこで、メーカーや機種にこだわりが薄い初めてのホームシアターな方に選んで欲しいのが以下のメーカーです。
・ YAMAHA
・ SONY
・ Pioneer
このチョイスは偏見だけではございません。 今のところ国内ではこの3社だけが、自社スタジオで高精度な計測・テストをし、それを音質面はもちろん、独自開発の音場プログラムや補正機能双方に反映させています。 そして、音作りでも目だった自己主張(余計な味付け…)は少なく、Y社P社はTHX規格という映像・音声の忠実度が高いというお墨付きを取得。 S社に関してはTHXは取得して無いものの自社グループで映画会社を持ち、映画音楽・音響への造詣も深いのです。
更にこのメーカーの中から現行機種を選抜すると、
・ SONY TA-DA5600ES、TA-DA3600ES
・ Pioneer SC-LX83(生産終了)、VSA-LX55
これらの機種が現在のところ、多種多様なスピーカーの周波数だけでなく、様々なクセも自動で揃えてくれる機能を持ちます。 そのうちの"位相差"(群遅延)は、全て同機種のスピーカーにしたとしても、設置の仕方で発生する可能性がありますので、セッティングが面倒な初心者(または私のようなモノグサ者)の強い味方になってくれます
しかし、これ以外のメーカーがマズい訳では全然ありません。 ほかの主だったメーカーも最低限、自動周波数計測・補正機能は持っていますし、また、ピュアオーディオ機器を永らく製造しているメーカーでは、その独自の方向性も評価・愛好されています。 ホームシアターとオーディオは似て非なるモノですが、既にオーディオをやっている方でしたら、現在使用している(満足している)機種と同メーカーから選ぶと、音質的な違和感を最小限にしてホームシアターに入っていけると思います。
■ プリメインアンプとの比較
巷では、「5~7チャンネル分もアンプを積んでいるから、プリメイン(ステレオ、2チャンネル)アンプの3倍程度の価格のもので音質が並ぶ」と言われていますが(とりあえず"3倍説"としておきましょう)、これは必ずしも当てはまりません。
・ 音質の、特に低域音の造り方が、AVとプリメインでは傾向が違う。
・ メーカー、モデルの販売戦略の違いがあり、価格では比較できない。
多くのメーカーでは、"映画"と"音楽"の再生を別と考えています。 AVアンプは、映画の音声を再生する入力された信号を正確無比に再現する必要もあります。 更に、繊細な人の声や高域音、暴力的な重低音を同時に処理するという難しいこともやらなければなりません。 そのため、音楽を掛けたときにフラット過ぎてつまらなく感じたり、廉価品(~10万円)ではそもそも当面のパワーのみを重視し、音質がないがしろにされている場合がありますね。
なので"音質"といっても単純に比較出来ません。 上でも書きましたがメーカーによる音作りの違いも関係します。 2011年時点では、音響専門メーカーは自社色を濃くする傾向、他の国内総合家電メーカー・楽器も作っているメーカーでは、"再現性・フラット"重視という傾向があります。 そういう諸事情にもあり、AVアンプ主体で展開しているメーカーはどうしても「詰まらない音(音楽)」とされてしまう傾向があります。 (よく言うと、"無個性"は音源尊重でもあります)
価格。 これが最も誤解して欲しくないところですね。 例えば、皆さんは仕様を見ただけで原価率・利益率が明確に分るでしょうか? 私もメーカーの内情は分らないので、明確には申せませんが… ただ、メーカーの財務状況・販売戦略の方針の違いにより、各所掲示板・質問板、ブログに当たり前のように書いてある"3倍説"が常識にできないことは明白です。
個人的意見では、映画観賞主体であれば…まぁ各社20万円以上の機種からそこそこ満足できるようになると思います。 音楽再生も1台で済ませる予定なら、ここら辺の価格の機種から試聴していくのがイチバンです。
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* ブログ形式なので続けて読みにくい面がありまして申し訳ないです。 当連載は⇒の"ホームシアター解説"タグもご利用ください。