阿武山(あぶさん)と栗本軒貞国の狂歌とサンフレ昔話

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by小林じゃ

ランダムにサンフレ昔話 その5 ウエミーの確信

2014-04-13 10:46:04 | サンフレ昔話

 ヴィドマーがGKをやったゲーム、といえば記憶に残っている方もいらっしゃるだろう。1999年4月14日ナビスコカップ仙台戦(広島スタジアム)での出来事だ。でも、私が注目したのはそのひとつ前の場面・・・

 99年のナビスコカップはJ2チームも参加してホーム&アウェイのトーナメント形式だった。サンフレの初戦の相手はこの年Jに加わったベガルタ仙台で、4月7日のアウェイは苦戦となったが2-1で勝利、当時は平日に仙台まで遠征するサポはいなくてゴール裏はアラタ君1人だったと聞いた。これから書くゲームはそれを受けてのホームでの第2戦、その前96年広スタの天皇杯の時はブランメル仙台というチーム名でベガルタになってからは初めての広島での対戦だった。

 サンフレのメンバーであるが、トムソン監督時代の3-5-2は両サイドをどこに書くか悩む。当時は守備的な戦術で両サイドはボランチが前を向いて持ったら片方が上がって良いみたいな感じで、5バックの時間が長かった。そのころ優勝のかかった試合はBSで2元中継していて、サンフレの相手(清水だったと思う)が優勝の可能性があってその試合に画面が切り替わった時のアナウンサーの第一声が「広島は引いています」だったのが忘れられない。だから5バックで書くのが正解かもしれないが、書いてみたら長くなって見づらいのでダブルボランチと横並びで書くことにする。この試合のアウトサイドは左が古賀、右が沢田だった。99年は高橋泰のルーキーイヤーで4日前のリーグ戦が初スタメン、このゲームもスタメンだった。久保竜彦はカップ戦ということでベンチスタート、GK前川はこの年初めての出場だった。


FW 26高橋、11ヴィドマー

MF 15主税

MF 13古賀、4桑原、8吉田康、3沢田

DF 19上村、6フォックス、5伊藤哲

GK 1前川

(SUB) GK22佐藤浩、DF23川島、MF17服部、9山口敏、FW10久保


 ベガルタの10番は21歳の中島浩司、そしてサンフレユース1期生の高田純もスタメンだった。メンバー表順に書いておこう。

GK1高橋、DF2山路、5ドゥバイッチ、4渡辺、MF7千葉直、10中島、3斎藤、18御厨、8越後、FW9高田、17阿部

(SUB) GK22石川、DF6花山、MF14千葉泰、19伊藤、FW16瀬川


 このゲームはアウェイでの苦戦とは違ってサンフレが順調に加点。サンフレのイヤーブック、Jリーグ公式サイトとも出退場記録しかなくて(私はトップのゲームはあまり詳しくメモしていない)、試合経過がうろ覚えなのだけれど、問題の前川退場は68分、その時のスコアは3-0じゃなかったかと思う。その場面に移る前にサンフレの得点者を書いておくと、沢田、ヴィドマー、主税、上村の4点、交代は45分ユタカ→タツ、51分フォックス→山口、63分古賀→服部だった。

 そして、タイトルにした場面、68分に前川がペナの中で相手を倒して得点機会阻止で退場、仙台のPKとなる。キッカーは高田純だった。

 ここで高田純を簡単に紹介しておこう、ジュンは三原市出身で中学時代は普通の部活のサッカー部で、顧問はサッカー経験のない人だったと聞いている。93年サンフレユースに入団、1期生だった。当時のチームについて稲田寮長に聞いた話では、クラブユース選手権(Jヴィレッジ完成までは河口湖周辺での開催だった)に行ったら関係者に「おたくはもっと力をつけてから出て来られてもいいんですよ」と言われたそうだ。おとといおいでってことだね。それがジュンが3年生のJユースカップで初優勝、それに加えて、1期生からジュンがトップチーム昇格、これはサンフレユース七不思議のひとつじゃね。(あとの6つも考えてあるけど長くなるので別の機会に) ジュンはプロ1年目の96年のサテライトリーグで開幕してからの6試合で4得点、しかしトップのゲームでのベンチ入りはなく、その年のオフにJFL仙台にレンタル移籍、サンフレの契約満了を待って完全移籍となっていた。

 さて、PKの場面に話を戻そう。3人交代後であるからフィールドの誰かがGKをやらなければならない。ジュンがキッカーの位置にいるのを見て、GKを買って出たのは上村だった。ゲーム後ウエミーが語ったところによると、ジュンはサンフレ時代非常にやさしい性格だったそうで、大先輩ウエミーがゴールマウスにいたら、びびってしっかり蹴って来ないだろう。きっと右足サイドキックでゴール右側を狙って来るから左に飛べば止められるという確信があったそうだ。しかし、どれほど優しい性格だったのか、96年のイヤーブックを見ると抱負の欄に「まずはフェアプレーで」と書いているからウエミーに比べると勝負事に向いてない性格だったのかもしれない。

 ゲーム再開、ウエミーの確信は大外れで、ジュンは右足しっかり振り抜いて左隅に決めた。ウエミーも「成長していた」と語っている。そのあとはDFのウエミーがGKやるわけにはいかんからヴィドマーがGK、横っ飛び両手でキャッチした場面があって場内は大きく沸いた。ヴィドマーはゴールとスーパーセーブでこのゲームのヒーローだった。ゴールは覚えてないけどね・・・。ゲームは4-1でサンフレの勝利、通算2勝で2回戦進出を決めた。

 ジュンは病気でこの年を最後に現役引退、2000年のサンフレのファン感の時に後輩を訪ねてきたジュンを見かけたけど、その時は元気そうに見えた。一方ヴィドマーは2010年アデレードを率いてACLでサンフレと対戦したのは記憶に新しい。99年は11月にカズのデビューがあって、私の中ではそこからがらりと風景が変わっていくのだけれど、前の時代の記憶に残るひとコマであった・・・
 



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