阿武山(あぶさん)と栗本軒貞国の狂歌とサンフレ昔話

コロナ禍は去りぬいやまだ言ひ合ふを
ホッホッ笑ふアオバズクかも

by小林じゃ

短歌 その13(2015年1月~2016年10月)

2016-10-07 19:31:14 | 短歌(まとめ)

 

       夜更聞雨音

  ひと昔前のラジオの雑音のように降る雨午前二時過ぎて

 

      冷恋 

  それにしてもなぜ好きだったのか 春の夜の雨の街灯笑い声かすむ

 

       明日会えますねとメールをもらって     

  スタジアムへ行けば会えると思ってる君のメールに何と返さん

 

       思末期友

  ゆつたりと流るゝ時を信じつゝ午前三時の君をしぞ思ふ

 

       醒夢 

  三十年つかえた言葉今やっと言えていたでも悪夢は悪夢

 

       六月にみまかりし友をしのびて

  なますの酢つよきを噛めば半夏生までと願ひし友の顔うかぶ 

 

       恨恋

  アドレスは消したのだろうmixiで一年ぶりのメッセージよむ

  核心を聞き出すメール書けぬままに布団一枚はがす雨の夜

 

      春の日の広島文教女子高 

  春霞淡い日差しの逆光を裂いて青色ユニ駆け抜ける

  背に向けて「みんなに出会えてよかった」と歌うピッチに春の風吹く

 

       爺様形見の松

  悪さして松にくくられ泣き居れば月夜にほうとふくろうの鳴く

 

       アオバズク初音

  ホッホッと聞こえて窓を見上げれば旧の卯月の十六夜の月

 

       車窓見合歓花

  クラブユース予選彩るねむの花 去年大島今日は瀬野八

 

       落栗 

  ぬばたまの夜の更けゆけば 車庫の上に栗の実落つる音三度聞く

 

        逢君於白神社

  夕闇の白神さんに待ちあひし二十歳の君の黒髪なつかし

 

       不持携帯 

  「大丈夫きっと出会える」君は言えど時間と場所を決めたい我は

 

       寄弓張月恋 

  内側に君のくちびる描き足しても向きが合わないゆみはりの月

 

      五十年前南観音に住みし頃の景色を

  夕凪や観音ネギの辛き香の留まる屋根にコウモリの飛ぶ