「歌は世につれ、世は歌につれ・・」という言葉をガキの頃幾度となく聞いたが、この歳になってようやくその意味を実感できるようになった。
「ロッテ 歌のアルバム」。
この番組はTBSで日曜の午前11時あたりからやっていたのではないかな。
その前に「ミユキ 野球教室」とか。
昭和40年代、あの頃の歌には「男に嫌われた・・捨てられた・・私をぶって・・」とかのフレーズがこれでもかと盛り込まれていて、どう考えても女が弱い立場の歌が多かった。
ぴんからトリオの「女の道」は爆発的に売れて、近所の婆さんらがこぞって口ずさんでいたんよ。
いま思うと、なんだありゃ的な社会現象であったが、当時は今ほど娯楽は多様化してなくて、歌に限らず売れるものは一気に売れる時代だったような気がする。
当り前のことであるが、歌には作詞家の人生経験や人生観、その時々の世相が反映されているわけで、この頃は女性の社会的立場がまだ弱かったんだろうな。
男と女の間には雇用や給与体系で明確な格差があったし、それより前に戦争で多くの若い男子が戦死して、結婚適齢期の男女の人口バランスが崩れたというのも影響しているのかもしれない。(こちらの記事)
結婚したら会社を辞めて専業主婦が当り前のご時世。働く女性は少数派で、アフタヌーンはメロドラマとか「3時のあなた」とかの主婦向け番組が盛りだくさんであったのだ。
時は移り、バブルの頃。
テレビではトレンディドラマが大流行。歌はといえば、“ボクはキミを愛している”的な、男の方から積極的に女のご機嫌をとる感じの歌詞が多かったような気がする。
この頃の時代背景を考えてみると、男女雇用機会均等法が施行されて、仕事をする男女の地位はほぼ対等。バブルで景気も良くなり、女性も完全に自立できる世となったのである。
先日街なかで見た庄野真代の「飛んでイスタンブール」
観客は、ほぼ40代以上。70代と思しき人もかなり多かった。
20代から見れば、我ガキの頃の懐メロのイメージに近いのかな。
1978年(昭和53年)のリリース。
昭和50年代前半であるが、この頃はどういうイメージなのだろう。高度経済成長も一段落したせいか、歌にはおおらかさを感じるが。
もう豊かではなくなったというか、貧困に向かいつつあるニッポン。
テレビでは1万円でひと月暮らすとかの番組も目にする。
これから歌もどう変っていくのか興味あるところである。