上野公園。
上野はなにかと馴染みがあって、このあたりに来るとホッとするのである。
上野駅はかつて(今もか)東北地方への玄関口であったし、学生時代は常磐線沿線に住んでいたこともあって、必ず経由する駅であったのだ。
当時は何となくションベンくさいイメージがあったけど、今は綺麗になって様変わり。
でも当時の雰囲気はまだ残っておるね。ところどころにある狭い通路とか低い天井。これぞ上野駅。
公園口を出て、あたりをぶらついてみる。
しばらく通っていた上野の旧国立国会図書館はどうなっているのかなと思ったら、もう別の施設になっていたのね。
その昔、あそこの地下にはレトロな食堂とか床屋さんがあって、食堂には学食に匹敵する格安のメニューが揃っていた。今だったら行列は間違いない。
食堂にメガネかけた太ったおばちゃんいたけど、元気かしら。
客の注文を大きな声で厨房に伝えていたのを思い出す。
「コロッケ定食ひとつね~」
案内板の通りで、このオランダ人の進言がなかったら、今はどこにでもある普通の街になっていたに違いない。
何かの資料に書いてあったのを思い出したが、当時の日本には“公園”という概念がなかったとか。
経済合理性だけで考えれば無駄な空間と思われてしまう。
行き交う人の表情はみな穏やか。
緑と広々とした空間がそうさせるのだろうな。
今の日本に必要なのは、心の余裕ではあるまいか。
仕事でも生活でもとにかく余裕がなさすぎる。
これでは前向きの思考はムリムリ。
先の美術館でツタンカーメン展が開催されていたので見てみようかと思ったが、入れるのはしばらく後だったのでヤメタ。
そばの建物で日本芸術院の作品展が無料開放されていたので、ちょい眺めてみた。
普段は芸術作品に無縁の生活を送っているけど、たまにはゆっくり観て回るのもよいね。
2012年10月7日