SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

MARCO DI MARCO 「MY LONDON FRIENDS」

2010年02月06日 | Piano/keyboard

ネイサン・ヘインズという名前だけは知っていた。
但し、私は彼のアルバムを一枚も所有していない。
だいたいクラブ系のジャズは滅多に聴かないから当然である。
しかしこのアルバムを聴いて、彼の他の作品も聴いてみようかなという気になっている。
彼がストレートジャズの人だったなら、すでにファンになっていたかもしれない。
「Brazilian Waltz」でのフルート、「Walking In St. James' Park」でのテナーサックス、「Solaria」でのソプラノサックス、どれをとっても一級品だ。
一人でいくつもの楽器を使い分けるジャズメンは、概して大物になれないような気がしているが、ネイサン・ヘインズは特別だと思いたい。
もう10年もすればそれもはっきりするだろう。

マルコ・ジ・マルコのことはもちろん知っている。
アルバムもこれ以外に3枚ほど持っている。
この人のアルバムはどれもこれも評判がよく、以前から、やれ哀愁が漂っているだのとんでもない名人芸を見せる人だのと騒がれていた。
あんまり評判がいいものだから、「よし、これは聴かねばならない」という気になって最初の1枚を買ってみたが、どうもグッとくるものを感じなかった。
それでも「たまたま買った作品が、私と相性が合わなかっただけなのだ」と自分に言い聞かせ、「みんながいいといっているからいいはずなのだ」と信じて2枚目を購入した。
またしても外れた。
あまり過剰に期待しすぎる自分が悪いのはわかっているが、さすがにこれにはがっかりした。
で、3枚目である。
これはもう、半分惰性で買った。
「こんどこそ」という気持ちもあった。
聴いてみると、まだ不満は残るものの、前の2作よりはよかった。ほっとした。
そしてこのアルバムである。3枚目を手に入れてから4年くらいは経っていた。
ネイサン・ヘインズというゲストを迎えて新境地を開いたのではないかという期待もあったし、久しぶりに彼の作品にチャレンジするという妙なわくわく感もあった。
結果はいい曲が目白押しで、初めて満足のいく作品に出会った気がした。
全編に渡って、重くバウンドするようなベースもいい味を出している。スタイリッシュな一枚だ。

マルコ・ジ・マルコのピアノはネイサン・ヘインズの影で、いぶし銀のように光っている。
また、ピアノトリオで演じられる「Soft Rain, Gentle Breeze」を聴いて、これまでのイメージが払拭された。
彼がこんな端正なピアノを弾く人だったとは...。
私は今、以前買った3枚も、もう一度じっくり聴き直してみようと思っている。
ひょっとしたら、今聴けば大感激するかもしれないと期待しているのだ。