SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

JANET SEIDEL 「SMILE」

2009年08月25日 | Vocal

さらりとした歌声がさわやかだ。
ジャズ・ヴォーカルというと、ねちっこくて絞り出すような歌い方をする人が多い。
一時代前の黒人ヴォーカリストなんかがその典型だ。
もちろんそれはそれで悪くないのだが、こんな生野菜をかじった時のような新鮮さは味わえない。

昨日は車で約3時間かけてお隣の県に出かけてきた。
お天気は最高。日差しは眩しいがぜんぜん暑くない。
カーオーディオからは、このジャネット・サイデルの歌が流れている。
道が川に沿って大きくカーブする辺りで、私が好きな「Rockin' Chair」がかかった。
ハーモニカの音色が牧歌的なムードを漂わせてくれ、身体が徐々にカントリータッチに染まっていくのが嬉しい。
そう、何を隠そう、私はカントリーウエスタンの曲もよく聴く人間なのだ。
特にこんなからりと晴れ上がった日は、カントリーミュージックがよく似合う。
事実、昨日もリアン・ライムスとこのアルバムを交互に聴いていた。
ジャネット・サイデルが性に合うのは、こういうカントリーのいいところをうまくジャズに昇華させているところだと思っている。
どの曲を聴いても懐かしさと澄んだ空気を味わえる人なのだ。

車はやがて山を抜けて広い田園地帯に入った。
かつて旅行家のイザベラ・バードがこの田園風景を見て、「東洋のアルカディア」だといった場所がここだ。
田圃はやや黄色みを帯びてきてはいるがまだ充分に青い。
そこに陽が当たって、きらきらと輝いていた。
私はエアコンのスイッチを切って、窓を全開にした。
秋の匂いが涼風と共に思いっきり入り込んできた。