世界で初めてウナギの「完全養殖」に成功 独立行政法人水産総合研究センター(横浜市)は8日、卵から育てたニホンウナギから採取した卵と精子を使って2世代目のウナギを人工ふ化させる「完全養殖」に、世界で初めて成功したと発表した。 現在のウナギ養殖は、漁獲したシラスウナギと呼ばれる天然の稚魚をウナギの成魚にまで育てているが、過去30年余の間にシラスウナギの漁獲量が10分の1程度まで急減、資源保護が急務になっている。 人工ふ化の成功率はまだ低く、年間に必要とされるシラスウナギ数億匹を量産するメドは立っていないが、シラスウナギの安定供給と資源保護に向けて1歩前進した。 同センターの養殖研究所(三重県)は2002年、人工ふ化させた仔魚(しぎょ)を育ててシラスウナギにまで変態させることに世界で初めて成功した。 このシラスウナギが成長して体長45~70センチの親ウナギになったため、同研究所と鹿児島県の志布志栽培漁業センターで、ホルモン処理をして性成熟を促し、今年になって精子と成熟卵を採取することに成功した。この精子と卵を使った人工授精で3月26日に約25万粒の受精卵が得られ、翌日、約10万匹の仔魚がふ化した。4月2日から人工的に与えた餌を食べ、順調に成長しているという。 人工ふ化で得られた親ウナギから精子と卵を採取して人工授精ができるようになると、飼育環境に適応したウナギを選んで掛け合わせ、人工ふ化の成功率を高めることができるようになると期待されている。 |
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