ファニア・オールスターズ(Fania All Stars)
『Fania All Stars Vol. 2 Recorded "Live" At The Red Garter』(1968)
最高の一枚ですな~。
ブーガルーのクールを基本に置いて、サルサのホットをブチ込んだ感じですね。
キューバ色濃厚なソン・モントゥーノもあるし、このマダラな感じが、イイデスね。
「Son Cuero Y Boogaloo」
ベースとピアノのユニゾンのラインが実にCOOOOOL!!!
しかも体温のあるクールであって、テクノのクールとは違うんスね。
引き締まった筋肉質のアンサンブルが、実にカッコよろし。
切り込み隊長、オレステス・ヴィラトーのティンバレス。切り込みまくり。
ソロも凄い。鼓動に絡む地鳴り、雷鳴。腹の底から来るのに、実にシャープ。
レイ・バレット御大のコンガ、全体を揺さぶる。
この曲って、絶対に、1960年代後半のニューヨークのラテン・コミュニティ
以外からは産まれ得なかったサウンドだと思います。唯一無二。
「Noche」
グッと溜め込む、グッと溜め込む、グッと溜め込む・・・。
溢れないように、ガマン、ガマン、ガマン。
遂に、滲み出す。少しずつ、滲み出る。
それでも、更に溜め込む。
遂に小爆発。
でも、更に溜め込む、溜め込む、溜め込む。
そして、大爆発。暴発。噴火。
んで、改めて、溜め込む、溜め込む。
・・・と言う恐ろしい、エネルギーの扱い方をしている演奏。
ってか、初期のサルサってこういう感じですよね。
(ソン・モントゥーノですけど。)
「Red Garter Strut」
真っ黒な粋でゴザイマス。
アトランティックかと思ったズラ、って言いたいくらい真っ黒デス。
NYのラテンの人々はこういうソウルが大好きだったノでしょう。
「Kikapoo Joy Juice」
茶色い粋でゴザイマス。
スゥインギン・モントゥーノって感じですね。
マンボ~サルサの流れに、ブーガルー的なニュアンスを加えた感じ。
経済的には比較的成功しているラテンの家庭のパーティーって感じ。
「If This World Were Mine」
マービン・ゲイの曲だそうですが、ジョー・バターンのヴォーカルが聴けます。
最高です。どう聴いても最高でアリマス。
やっぱりジョー・バターンは史上最高のヴォーカリストだと思います。
こういうスローな曲に於ける、ジョー・バターンの説得力の高さは、
何なんでしょうか。未だに、謎は解けていませんが、間違いなく最高です。
「Richie's Bag」
問答無用。聴けば分かる。
ファニア・オールスターズの残した演奏の中でも、
これは、最高の部類ではナイでしょうか。
目指したいグルーヴとは、結局、コレかもしれません。
68年のRed Garter、71年のCheetah Club、73年のYankee Stadiumと、
この時期のFASのライブは、ちょうどそれぞれが時代の証言のような体裁
になっていて、面白いなぁと思います。
そんな理屈抜きでも、文句なく楽しく充実した内容で、言うことないのですが。
確かに、それぞれの時代の音ですね。
このアルバムなんて、間違いなく、サルサと言うよりブーガルーの色が濃いですしね。
個人的には、チーターやヤンキースタジアムより、このレッドガーターが好きですね。