英国のヘールシャムに続いては、奈良の女子高が舞台の『鹿男あをによし』をご紹介です
『プリンセス・トヨトミ』以来、万城目ワールドにハマっています(笑)。
今日も『鴨川ホルモー』(京都の大学生が主人公の式神版ポケモン)とどちらを紹介するか迷いましたが、月夜の東大寺・転害門(てがいもん)に佇む鹿の姿が美しかったのと、本編で大活躍する女子高生・イトちゃんのマイカーならぬ「『マイシカ』が駐禁切られた」、という遅刻の理由がツボにはまり、『鹿男』に決定
東京から奈良に臨時で赴任してきた男性教師が鹿島神宮に縁がある(春日大社の鹿は鹿島神宮から連れてこられたと言われています)など、日本の歴史や文化背景を巧みに織り込みながら展開される物語は、太古の土の匂いが感じられてほのぼのとしたおかしみがあります。京都・伏見の狐や大阪の鼠といったキャラクターも楽しい。
鹿島神宮の鹿は囲いこまれていて、直接は触れ合えません。
(結構前の写真などで今は変わっているかも)
周りは鬱蒼とした森。
ぼやっとしたまま人類を救うミッションを託されてしまうイマイチな教師の頼もしい味方となってくれるのが、少し目の離れた魚顔の剣士・イトちゃん。人を食ったような言動に、強靭な精神と肉体。その溌剌とした姿がとても魅力的で、物語のクライマックス、剣道の強豪相手に果敢に挑む姿は圧巻です。くたびれた大人が見失いかけている命の輝きと、その裏にひそむ乙女心に胸がきゅんきゅんすること間違いありません。
古代から現代までさまざまなうねりを乗り越えてきた人類ですが、そうやって生き延びてきたのは人間だけではないですね。読み終えた後は、春日大社の鹿たちに会いに行き、肩の一つでも叩いてやりたい気分です
こちらは奈良の鹿たち。
【読んだら行ってみよう!】
東大寺・転害門(奈良県)
飛火野(奈良県)
【足を伸ばせる方は】
鹿島神宮(茨城県)