迷狂私酔の日々(再)

明鏡止水とはあまりに遠いこの日々。

ベストセラーの謎

2005年04月26日 | 映画や音楽や舞台や本とか。
『ダ・ヴィンチ・コードの謎を解く』読了。

いわゆる「コバンザメ」本になるんだろうが、このコバンザメの方が寄生されているベストセラーよりもレベルが高い、ってのが鍵。

著者のサイモン・コックスは、『ダ・ヴィンチ・コード』のネタ本を明らかにし、歴史的事実とフィクションを腑分けし、しかし、そこから先へは注意深く立ち入らない。
しかしだな、どうも老先生が出来の悪い(しかし人気はある)生徒をたしなめている気配は漂う。

最近の聖書考古学の成果はめざましく、私も「死海文書」関連をはじめ、いくつかの本をamazon.comのウイッシュリストに登録しているのだが、お金がなくて買えずにいる。卒業論文でパスカルを扱ったので、ジャンセニストの異端問題に関連してカタリ派を調べたこともある。一時期、美術全集の編集に携わっていたので、ルーヴルもレオナルドも知らない世界ではない。
だから、どーってことではないが。

実は、"Da Vinci Code"はバンコクでペーパーバックを発見して購入済みなのだが、いまだに捗らない。
というのも、表現があまりに稚拙であほらしくなってくるんである。
逆に言えば「わかりやすい」というか、「手垢のついた言い回し」というか。

何よりも、私にとって一番謎なのは、なんで"Da Vinci Code"がベストセラーになったか、である。
いや、きっとストーリーは面白いんだろうけどさ。
文章がひどくて読むに耐えない、って体験はペーパーバックでは初めてだったもんで。