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オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

チャンデバCX2310での遅延評価(音響出力)

2018-04-28 15:10:22 | 電気的評価
 前回チャンデバCX2310で低音50Hzではー180度分の時間遅延しているデータを出し、理論的にはクロス周波数以下でー180度の位相差、クロス周波数以上で+180度の位相差ができることをアップしているサイトを紹介した。今回は、50Hz以外でもー180度の位相差があること、つまり周波数依存性を調べてみました。

 ■1)実験方法(マイク位置)について
 実験風景は、前回と同じですので省きます。前回は、オシロのパルス波形を綺麗に見せるために、2231A単体のパルスはマイクを2231Aの前に、620Aのパルスはマイクを620Aの前に、両方の音を採る場合は両者の境界の前にマイクを置きました。今回は、マイク位置は2231Aの前に固定し、パルスが重なってレベルが加算さることをはっきりさせました。その代わりデメリットとして、620A側の音は斜めにマイクに入りますのでパルス波形が崩れるということがあります。これは判りやすさか厳密性かどちらを優先するかという話です。

 ■2)実験結果
 先ずは、前回と同じ50Hzです。尚、使用したのは全て1パルスのトーンバーストです。

 ①は、620Aで赤〇は最初のーパルスで、水色〇は2番目の+パルスです。②は、2231A(チャンデバ経由)で赤〇は最初のーパルスですが、これは①では赤〇に対応するのではなく、その前の+のパルスモドキに対応します。②の+の水色に対応するのは、①では赤丸のーパルスで位相が反転し且つー180度分遅れるので①の水色の+と加算されます。③が両方を駆動した場合で、最初の赤〇のーも次の水色の+も①と②が加算されて絶対値が大きくなっています。

 次は、60Hzですが、結果は同様です。

しかし、620Aはマイクから見ると20度以下の角度なので流石に指向性の為付帯波形が乱れています。これは、マイクを620Aの前に持っていけば、前回の■4)の①のように綺麗な波形になりますが、その場合には2231Aの波形が崩れます。

 次が、30Hzですが、やはり同様です。

30Hzまで下げると、620Aの方で付帯波形が大きくなってきます。

 これは、前回紹介したサイトでも検証されている通り、24db/OctのLPFではクロス以下が、180度分時間が遅れる(位相差=-180度)ことを示しています。

 ■3)10.5Ω系ATTでの試聴
 引き続き、10.5Ω系ATTで聴いています。ジャズは、前も言った様に、古いですが、トレーンの”スタンダード・コルトレーン”が圧巻です。1958年というとステレオ録音が開始されて間もない時ですが、左に居るトレーンの存在感・気配まで録音されています。更にTpのハーデンに変わる時の気配まで感じます。お気に入りの”アイルゲット・バイ”で右側から何箇所か聞こえるブツというノイズが無ければ最高なんですが。流石にRVG録音ですね。
 最近聴いたものでは、1/13の”題名のない音楽会”での辻井 伸行さんの演奏が素晴らしい録音でした。先ずは、私もお気に入りのラヴェルの『水の戯れ』が良いですね。如何にも噴水から流れ落ちた水が水面に落ちて、様々な波紋を残しているという静かな風景を思い起こさせます。

 最後のフランツ・リストの『ラ・カンパネッラ』(La Campanella)も鐘の音色を思わせるハイキーの連打から低音のコードの荘厳さも凄い。

 更に最後のクライマックスでの情熱的な高低共存部の迫力も凄かった。寂寥感を帯びて繊細で何だが心に沁みます。

 ところで、このスタンウェイは、タカギクラヴィアです。ひょっとして、これはホロヴィッツが恋したピアノ、製造番号CD75かと思いました。しかし調べてみるとCD75は製造番号156975、1912年製ということですが画面で見るともっと新しい。上の画面では、シリアルは、512290(~1989年製)と刻印されています。CD75なら、上記写真の512290が刻印されている位置にCD75(CDより75が少し小さかった)と刻印されていたし、側板も劣化していたので、どうやら違うようです。尚、CDの意味は、ニューヨークスタンウェイの貸し出しピアノで、Cはコンサート、DはD型、フルコンサート、75はシリアルです。現在はタカギクラヴィア所有です。
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チャンデバCX2310での遅延・位相評価(改定)

2018-04-22 10:47:11 | 電気的評価
 前から疑問に思っていたことで2点あり、一つは、去年の12月30日にアップしたもので620Aと2405を繋ぐ時に同相でないとインパルス応答の形と波高が最大化しないこと(両者のボイスコイルは逆巻き)と、低音側も2231Aと620Aのボイスコイルは逆巻きで逆相接続しないといけないはずが、同相でないとFFTが加算されないことです。今回は、後者について調べてみました。青字追加

 ■1)現状のシステム構成
 これは、以下の図のようになっています。

 低音側だけ説明すると、一番下のサブウーハー2231Aは、アンプ(LP2020A+)とチャンデバ(CX2310)経由で70Hzで切っています。その上の620Aは、チャンデバ非経由でアンプに繋いでいます。アンプのスピーカー端子は両方同相で繋いでいますので、チャンデバが非反転アンプであれば、FFTは打ち消しあって下がるはずが加算されます。原因としては、
 ①チャンデバが反転出力しているか
 ②チャンデバで、180度分の時間遅延している
 の2つが考えられます。

 ■2)測定風景
 FFTの場合は、いつものように視聴位置なので省きますが、トーンバーストパルス測定の場合は以下のように25cm~30cmにマイクを近づけて測定しました。


 ■3)FFTによる2231A評価
 先ずは、サインスイープによるFFT(Wave.Gene使用)で調べてみました。

 ①は、チャンデバ経由でアンプのSP端子同相でのFFTで低音はフラット、②はチャンデバ経由でアンプのSP端子逆相でのFFTで低音は打ち消しあって落ち込みます。③は、チャンデバ非経由でアンプ直で同相の場合で、これも低下します。④は、チャンデバ非経由でアンプ直で逆相でのFFTでこれは加算されています。これだけ見るとチャンデバで反転しているように感じますが、遅延の原因も可能性としてはあります。

 ■4)1パルストーンバーストによる2231Aと620Aのオシロ波形評価
 波形の+-で反転かどうかを見てみました。尚、アンプのSP端子の接続は、全て同相です。

 これでやっと原因が判りました。①は、チャンデバ経由での50Hzのトーンバースト波形で+スタートです。②は、チャンデバをスルーしてアンプ直の場合ですが、これも+スタートです。つまりCX2310は反転出力ではありません。遅延がどれくらいかを調べる為に③④を調べました。
 ③は、620Aを現状使用通りチャンデバ非経由で駆動した場合で、-スタートで2231Aとは逆相です。④が、2231Aをチャンデバ経由、620Aを非経由で現使用通りに駆動した場合で、④の赤〇のファーストーパルスは、①では一番左の少しーに下がるパルスで、③では赤〇です。次の④の水色の+パルスは、①では水色の〇、③では黄色の〇になります。①の青〇で示す2番目の+パルスは、③④でも青〇ですが、ディレーが無かったら③の緑〇のーピークに来ます。従い、①の青〇は、チャンデバが無かったら③の緑位置に来ます。④の水色の+ピークが、③の黄色❍のピークより高いので①の水色の+ピークが加算されたと考えー180度分遅延したと解釈しました。この④の赤〇と水色〇のピークの差が2231Aによるディレーです。これをオシロの画面から推定すると、1Div=20msですので、~9.5ms遅延しています。
 50Hzの1波長は、20msですので2231Aが620Aに対し~1/2波長遅れていることになります。4次(-24db/Oct)のチャンデバは、1/2波長分遅れる。

 【結論】チャンデバCX2310は、非反転出力で50Hzで~10ms(~1/2波長分)遅延している。現システムは、低音は620Aと2231Aの音声出力は逆相であるが、同相接続でも強めあうのはチャンデバの180度分の遅延があるので結果的には両者は強め合っている。逆相を遅延で帳尻を合わせており、邪道とも言えるが、現実解としては非常に良い音になっている。結果オーライというところですね。

 ■5)CX2310の仕様
 回路図とかはネットで見ても出てきませんので、時定数等の推定が出来ません。この方面に詳しい方がおられましたら、回路図等紹介頂ければと思います。オペアンプは、JRCの4580で実装は以下のような感じです。


 ■6)チャンデバでの低音の遅延についての情報
 これについては、 LEANAUDIOさんのブログで以下のURLでも話は出ています。抜粋すると、
”このようにアナログフィルタやバスレフポートを持たない単純なフルレンジ+密閉箱でも低域で位相が遅れます。”
興味ある方は訪問ください。
 http://cheapaudio.blog23.fc2.com/blog-entry-582.html

4/24追記 :ネットを検索していましたら、以下のURLで4次フィルタでクロス以下の周波数では、位相差は、-180度と示されていました。当方が1/2波長遅れているという実験結果は、既に理論的に検証されているようです。■8)の考察も書き換えています。

 https://akashikk.jimdo.com/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E7%90%86%E8%AB%96%E3%81%A8%E5%AE%9F%E9%A8%93/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC-sp%E6%8E%A5%E7%B6%9A%E6%99%82-%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E5%9B%B3%E8%A7%A3%E6%9E%90/

 ■7)余談
 実は、デジタルオシロは2CH入力あるので、これで遅延を見ようとしました。アンプのSP端子にオシロのプローブを繋いだ瞬間に周期的にボツという音が出ました。この音(正帰還或いは発信してるような?)が出る時は、アンプを長く付けていたら、石が焼けることになりますので即座に止めました。プロープの入力Zは、多分∞に近いのでアンプに悪影響は無いはずですが、BTLアンプは扱い方が難しいです。

 ■8)考察
 このチャンデバの位相差は、■6)の後半の記事で判るように、クロス以下の周波数では、-180度、それ以上で+180度になる。■3)のFFTを見ると、低音のゲインは、一定になっている(①の加算及び、②の下がる場合も同様)ので、位相差は周波数に拠らずー180度になっている。60Hz以下は位相差が一定(-180度)ということを次回トーンバーストのオシロで見てみます。
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