Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

弁護士の二重構造化が意味するもの(その1)

2006年03月09日 07時44分37秒 | Weblog
 昨夜、アカデミー作品賞を受賞した「クラッシュ」を観る。井筒監督ならずとも失敗作と評するだろう。人種差別にまつわる複数のストーリーをシンクロさせたものだが、テーマを露骨に打ち出しすぎて作りが粗く見える。私見だが、映画におけるテーマとは、表層に現れるものではなくて、通奏低音のように流れるべきものである。ちなみに、この映画は、「”最も俗悪な映画”賞」も受賞している。
 閑話休題。さて、法律事務所をいくつか訪問しているうちに、既に始まっている弁護士の二重構造化現象(巨大ローファームといわゆる町弁との二極分解)が、ここ数年でさらに進行するだろうと確信した。だが同時に、それが意味するところも大体理解した(と思う)。
 以下は、ある掲示板からの引用(ただし若干修正を加えてある)。

日本の田舎町。小さな法律事務所が開設されていた。
田舎者の町弁が小さな相談室に客をとってきた。その客はなんとも羽振りがいい。
それを見た都会者の旅行者は、
「すばらしい客だね。どれくらいの時間、相談にのっていたの」
と尋ねた。
すると町弁は、
「そんなに長い時間じゃないよ」
と答えた。
旅行者が、
「もっと相談に応じていたら、もっと客がきたんだろうね。おしいなあ」
と言うと、
町弁は、
「自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だ」
と言った。
「それじゃあ、余った時間でいったい何をするの」
と旅行者が聞くと、
町弁は、
「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから相談に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタして。夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって… ああ、これでもう一日終わりだね」
すると旅行者は、まじめな顔で町弁に向かってこう言った。
「ハーバード・ロー・スクールでLLMを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、相談に応じるべきだ。それで集まった紛争は提訴する。着手金が貯まったら大きな事務所を借りる。そうすると売上高は上がり、儲けも増える。
その儲けでイソ弁を2人、3人と増やしていくんだ。やがて大規模法律事務所ができるまでね。そうしたら同業者に客を譲るのはやめだ。自前の専門事務員を雇って、そこに破産事件をやらせる。
その頃には、きみはこのちっぽけな田舎を出て東京に引っ越し、大阪、名古屋と進出していくだろう。きみは、丸の内のオフィスビルから弁護士法人の指揮をとるんだ」
町弁は尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「二〇年、いやおそらく二五年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「それから?・・・そのときは、本当にすごいことになるよ」
と旅行者はにんまりと笑い、
「今度は事務所を売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」
「そうしたら引退して、田舎の小さな市街地に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。どうだい。すばらしいだろう」
                                                (つづく)

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