Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

”みゆ”じかる化

2024年03月10日 06時30分00秒 | Weblog

 抽選で申し込んだらプレビュー公演が当選。 但し、席を選べないため、2階席になってしまった。
 結構大きな劇場の2階席なので、役者の表情が全く見えず、声と身体の動きしか味わえないのが残念である。
 バレエでも、「表情で踊る」演目があるというのに・・・。
 さて、シェイクスピア悲劇においては、「オセロー」のイアーゴーや「マクベス」のマクベス夫人がそうであるように、”ストーリーを支配する人物”(いわゆる「狂言廻し」)が存在する。
 「リア王」で言えば、それはエドマンドである。
 なので、この「狂言廻し」を演じる役者(あるいはオペラ歌手)には、主役に負けないくらいの一線級の役者を持ってくる必要がある。
 そういう意味では、今回の Sean Holmes (ショーン・ホームズ)演出による「リア王」は、配役においてひとまず成功したということが出来るだろう。
 というのは、引用した動画からも明らかだと思うが、エドマンド役の玉置怜央氏の声が実によく通り、動きもキビキビとしていい感じだからである。
 もちろん、リア王役の段田安則氏は、認知症(?)が進行して錯乱状態に陥る老人を完璧に演じており、ケチの付けようがない。
 グロスター伯爵役の浅野和之氏は、前半は他の役者に比べて声がやや小さめの感じだったが、幕間で指摘を受けたのか、後半は上手く修正していた(この辺はヴェテランの腕というべきか)。
 以上の3人は役者一筋の経歴を持つ人たちだが、これに対し、そうでない経歴の人たちが3人存在する。
 それは、コーディリア役の上白石萌音さん、エドガー役の小池徹平氏及びコーンウォール侯爵役の入野自由(いりのみゆ)氏である。
 上白石さんは、得意の歌をちょっとだけ(序盤と終盤)披露したが、パンフレットにも書いているように、少なくともプレビュー公演の時点では、「セリフを覚えるだけでせいいっぱい」という印象である。
 実家のある鹿児島では、こういうセリフが日常会話で出てくることは絶対ないはずなので、これは大変だろう。
 むしろ、メロディーに乗せて発生する方が、彼女にとっては楽なのではないだろうか?
 小池氏は、歌手としての活動歴が長いためか、「歌手」である自我が飛び出してきて、今にも歌い出しそうな勢いを感じる。
 対して、もともと声優だったはずの入野氏も、上白石&小池コンビとは違った意味で「歌い出しそう」な勢いである。
 それももっともなことだ。
 彼は、声優業を一時休業し、海外留学していたのだが、その間、ミュージカルの勉強をしていたのではないかと思われるのである。

 「海外留学中の人気声優・入野自由さんが、日生劇場の12月公演“ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』”に出演すると判明しました!

 もしかすると、上白石&小池コンビにも、入野氏の”ミュージカル圧力”が作用して、歌い出しそうな雰囲気を醸成していたのかもしれない。
 ちなみに、1605年に作品登録されたもともとの「リア王」(福田恆存氏いわく「原リア」)では、ラストでリア王が復位し、コーディリアも死なない筋書きなので、ミュージカル化にふさわしいように思う。
 いや、このメンバーだと、”みゆ”じかる化というべきか?

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