現代日本法へのカタバシス【新版】(木庭顕)
「包括執行の生命線は、債権者の自力執行をどのように封ずるかである。単純な占有が機能しない社会においてはとりわけ、強力な装置が備わっていなければならない。
・・・この問題は、さしあたりは「破産宣告前の保全処分」(破産法28条)の問題とされる。」(p303)
毎度のことながら、木庭先生の視野の広さと思考の深さ・鋭さには舌を巻かざるを得ない。
新版で追加された箇所で言うと、「7 現代日本取引社会における委任不全」と「8 日本の民事法が抱える問題」では先生の名人芸が披露されている。
判例、基本書、論文、海外の文献のみならず、破産管財人のアンチョコ本とも言うべき「破産管財の手引」まで引用されている。
だが、上で挙げた一節には、現在では修正が必要と思われる語がある。
それは、「破産宣告」である。
2004年改正破産法によって「破産宣告」という語はなくなり、「破産手続開始決定」の語が用いられるようになった(Q6. 最近は,「破産宣告」という言葉は使わないのですか。)。
これは、木庭先生が引用した基本書「破産法(新版)」(伊藤眞)が1991年発行のものだからだろう。
「包括執行の生命線は、債権者の自力執行をどのように封ずるかである。単純な占有が機能しない社会においてはとりわけ、強力な装置が備わっていなければならない。
・・・この問題は、さしあたりは「破産宣告前の保全処分」(破産法28条)の問題とされる。」(p303)
毎度のことながら、木庭先生の視野の広さと思考の深さ・鋭さには舌を巻かざるを得ない。
新版で追加された箇所で言うと、「7 現代日本取引社会における委任不全」と「8 日本の民事法が抱える問題」では先生の名人芸が披露されている。
判例、基本書、論文、海外の文献のみならず、破産管財人のアンチョコ本とも言うべき「破産管財の手引」まで引用されている。
だが、上で挙げた一節には、現在では修正が必要と思われる語がある。
それは、「破産宣告」である。
2004年改正破産法によって「破産宣告」という語はなくなり、「破産手続開始決定」の語が用いられるようになった(Q6. 最近は,「破産宣告」という言葉は使わないのですか。)。
これは、木庭先生が引用した基本書「破産法(新版)」(伊藤眞)が1991年発行のものだからだろう。