えっ、もう12月!?とうろたえている間に、今年もあと2週間足らずになってしまった。それにしても今年はほんとに(個人的に)無茶苦茶せわしない年だったなぁ……。
仕事で振りまわされるのが一段落したら、身近で葬式なんぞがあるし。新テロ法案、ビラ撒き有罪判決、こども戦略会議、薬害肝炎、etc,etc,etc,…… 自分の中で整理しておきたい課題は山のようにあるのだが、このところまともにメモ書きもしていない。何か、宿題をためた小学生のような気分である。
メモはぼちぼち思い出しながら書き留めることにして……
先月、(財)日本漢字能力検定協会が「今年の漢字」を発表した。2007年の漢字は「偽」だそうである。思わず笑ってしまいますネ。でも、これって「今年の」漢字なのだろうか。現代日本を象徴する漢字、じゃないだろうか。
「偽」といえば賞味期限偽装など随分騒がれたけれど、そんなもの、考えてみれば大した話じゃあない(いや、賞味期限を偽るのがいいと言ってるわけではありませんよ。念のため)。もっともっと根深い「偽り」が、この国の根っこを腐らせている。いわゆる新テロ法案でも、いったい誰のためのものなのか。国民のためだと政府は言うけれども、落ち着いて考えてみれば「ちょっと待てよ」。
我々はいったいいつまで、猫なで声のおためごかしに騙されて、肩をすぼめていなければいけないのだろう。
◇◇◇余談
『ビューティー・クイーン・オブ・リナーン』を観に行った。久しぶりの観劇である。主演の白石加代子と大竹しのぶはどちらも癖のある役者で私は好きだし、作者のマーティン・マクドナーにも興味があったので観に行きたく、先月チケットを取っておいたのだ。本当に行けるかどうか不安もあったのだが、何とか時間が作れてよかった……。劇の枠組みだけを言うならば親子のすさまじい相克を描いた喜劇(悲劇、というべきか?)だけれど、舞台であるアイルランドがイングランドから受けている差別、イングランドに対する憎悪、閉塞状況を抜け出すことに対する激しい欲望等々が隅々まで漲り、筋立てとはまた違った世界が二重写し三重写しになっていたように思う。小説であれ劇であれ、すぐれた作品はこんなふうに何重もの構造になる。そして読み手や観客に、否応なく心の何処かの部分で痛みを強いる。痛むことは生きている証であり、痛むことをやめてはいけないのだと――不意に思ったりする。
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