華氏451度

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ああ、似たもの同士――都知事、厚労相を擁護

2007-02-03 23:47:10 | 東京都/都知事

〈石原知事、記者会見で厚労相を擁護〉

 女性を産む機械・装置にたとえた柳沢厚労相。先日来、非難ゴウゴウといった感じで、私の周囲でも老若男女を問わず、ついでに言うと政治的立場もさほど関係なく、「不愉快だ」という声が聞こえ続けている。私も「安倍政権の正体見たり」、「オス猫ムルの人生相談・3」と2回続けて取り上げてしまった。

 いくら何でもレベルが低すぎると言うことか、さすがに「立派な表現であった。何の問題もない」と擁護する声は――少なくとも私の知る限りはまだない。ただ、「ちょっと表現がまずかっただけ」という見方は結構あり、たとえば経団連の御手洗冨士夫会長も「わかりやすく言おうとして、不用意な発言になってしまっただけ。すぐ陳謝、訂正したのだからいいじゃないか」という意味のことを言っていた。ご本人も、首相も、本気でそう思っているのだろう。ちょっと言い方が悪かっただけじゃんか、ガタガタ文句言うなよ、うるせえなぁ、と。

 そんな折も折――出ました、出ました。やっぱりと言うか何というか、石原都知事の「厚労相擁護発言」。

 東京都では毎週金曜日に、知事の定例記者会見がおこなわれる。私はメジャーなメディアの人間ではないからむろん出席できないが、知事が何を言い、記者が何を質問したかを知るためにいつもこのやりとりをチェックする習慣があるのだが(ちなみに毎回の会見は都庁HP内の「知事記者会見」のページで再現されている)、つい昨日、2月2日の会見で厚労相の発言について「騒ぐような問題ではない」と言わんばかりの見方を披瀝したのだ。

【前後の文章を読むと、話しながら「ごめんなさい」とか言っている。たとえの仕方が悪かっただけ】【男には子供を産む能力がないから、女性が結婚されたら、お子さんをたくさん産んでほしいという要望を、ちょっと短絡的に言い過ぎたんじゃないか】

 おお、似たもの同士!! 類は友を呼ぶ。(都知事殿、あなたもいやしくも作家を名乗るなら、もう少し言葉をいうものをその意味と共に大事にしてほしいもんです)

「男には子供を産む能力がないから」って、都知事殿は「子供を産むこと」はヒトゴトだと思っているらしい。マリアさんじゃあるまいし、女性が一人で産めるものじゃないと思いますがね。

「女性が結婚されたら」ってのも、何度聞いても変である。結婚した女性もしくは夫婦は子供を産むのが当然であると思い、さらには子供は結婚制度の下で産むべきだと思っているらしい。  

〈世も末、というのはこのことだ〉

 luxemburgさんが、いみじくもこう書かれた。「毒の果実は毒樹に実る」。このエントリでも取り上げられていたが、都知事は以前、「生殖能力を失ったババアが生きているというのは有害なだけ」という暴言を吐いたことがある。そんなババアを養うのは社会のムダ、早く死ね、というニュアンスだった。こんなおそるべきことを言う奴がのうのうと知事の椅子に座り続けているというだけでも驚き桃の木サンショの木(おまえも都民だろって? すみません、ヒトゴトみたいに言ってしまって。石原三選阻止!)。ところで、生殖能力を失ったジジイはよいのでしょうかね。精子は一応、死ぬまで在るからいいって? あ、そう。勝手に言ってな。

 ……それはそれとして。(何か、こういう連中の言葉にまともに反応していると、こっちまで言葉が汚くなってくるような気がする。流れに嗽ぎたい~。石に嗽いでもいいけど)

 まったくもう、「わかっていない」人間が多すぎる。言葉の問題じゃないって、何度言ったらわかるんだい(だんだんムルにも似てきた)。日本ももう、ほんと終わりかも。愛国心のない私でさえ、かなり心配になる。「反日」であるらしい私にまで(笑)心配させんといてくれ。

 この問題はジェンダー・フリーがどうのこうの、男女参画社会がどうのこうの、というだけの問題ではない。根っこのところで人間の自由と尊厳を軽視している政治家たち、個々の人間よりも「国」が大切だと思っている政治家たちの、その一人がポロッと本音を漏らしたのである。国民は「それこそ烈火の如く」怒るべきだ。こういう連中すべてを、私たちは否定し、(公僕という立場から)引きずりおろさねばならない。  

コメント (6)
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