華氏451度

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「教育基本法改定に反対する」中学生の行動に拍手

2006-11-19 19:40:21 | 憲法その他法律

 教育基本法改正案が衆院を通過した16日、札幌市にある北星学園女子中学高等学校の中学3年生達が、安倍首相宛に「改正反対を訴える」意見書を提出した。同校は現行の教育基本法を作ったメンバーの1人である河井道の母校で、生徒達は「先輩が作った教育基本法の精神を曲げないで欲しい」と訴えている、という。改正案反対の声は学校中に広がっており、高校でも意見書を作成するなどの行動が起こされているそうだ。(詳細は北海道新聞の記事を参照)

〈匿名で学校を非難する卑劣さ〉

 この意見書提出について翌朝の新聞で報道されるや否や、匿名で「おまえたちはどういう教育をしているのか。国を愛する心を持つのはあたりまえだろう」といった類の強い「非難のメール」が何通も学校に送られたという。私はそれを「徒然気儘な綴り方帳」、「Tomorrow is Another Happy」「goo-needs' blog」などのブログからのTBで知り、呆然とした。

 むろん、何かの意見を表に出せば、それに対して反対意見を持つ人々からさまざまに言われるのは普通のことだ。意見書を提出した中学生も充分わかっているはずだし、「反対意見を述べる」こと自体は一向にかまわない。しかし匿名で「どういう教育しとるんじゃ」と噛みつくのは、「反対意見の表明」だろうか?

 この「非難メール」なるものは、学校を脅かした。札幌テレビ局の取材に応じた学校側は、生徒達の身に危険が及ぶことを懸念して、生徒へのインタビューは匿名を条件にしたという。評論家などであれば、脅迫的なメールや手紙にはある程度慣れている。少々の脅しは蚊に食われたぐらいにしか感じないかも知れない。しかし未成年や、未成年を預かっている学校にとっては、僅かな脅しにも(ぶっ殺すぞとか死ねなどというあからさまな脅しでなくても)恐怖を感じるはずだ。ましてや相手は何処の誰ともわからない。そういう相手から一方的に悪意的な、または嘲弄的な、あるいは高圧的な言葉を投げつけられれば、誰だってゾクリとする。札幌テレビ局の取材に応じた学校側は、生徒達の身に危険が及ぶことを懸念して、生徒へのインタビューは匿名を条件にしたという。

〈自主性を疑うのは10代への冒涜〉

 この問題に関して、ネット上で「生徒の自主的な行動かどうか疑わしい」といった声も出ているそうだ。教師がうまく誘導して、やらせたのではないかというわけだ。

 まさかね……。皆さんも、ちょっと考えればおわかりでしょう。中学3年生・15歳といえば、もう「お子様」ではない。特に早熟な子供でなくても、大人と同じ本も読むし、結構形而上的?なことも考える。自分の意見もしっかり持っている。親や教師の言うことを丸呑みしたりする年頃では、もう絶対にない。やれと言われたことを、ハイハイとそのままやったりはしない(むしろやるなと言われるようなことばかりやったり……あ、それは私だけか)。だいたい、100年足らず前にはこの年齢で既に社会に出ている少年の方が多かったのですよ?

「徒然気儘な……」のMcRashさんが、昨日の記事の中でこう書かれていた。

【15歳が子供から大人へと大きく踏み出し、身体のみならず心も大人たらんと必死の背伸びをして、それを自分の間尺にしようと悪戦苦闘している年頃であるということや、このネット社会にあって、教師がこう言ったから、ということを15歳にもなって全て真に受けるということがまずなかろうということに対する想像力のなさと、そうした想像力を身につけて、ひとりの市民として自己の身につけた良識に従って行動した若い芽を摘み取り、台無しにしようという醜い悪意。】

 そう。この中学生達は「考える力」を身に着けた子供達であり、私はこういう若い人達が育ったことを嬉しく思う。こういった若者を萎縮させ、つぶしてはならない。直接には何の力にもなれないことを自分でも歯がゆく思うが、せめて、今すぐ学校に激励の声を届けておくつもりだ。 

◇◇◇◇◇◇◇

 それにしても……国家のやることに疑問を呈する人々が「非国民」と呼ばれ、陰に陽に嫌がらせを受け、場合によっては罪に落とされた時代がまた甦るのか。 

コメント (10)
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