バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

心から離れない本

2008-06-03 23:29:34 | ライフスタイル
 偶然出会った本。
 その絵本は待合室の本棚に、雑誌に半分隠れて差し込まれていた。
 その本は、半分顔をのぞかせながら、「読んで」と私に向かって強く主張していた。
 どうしたことか、本を手に取るとまず最終ページ、要するに作者の言葉から読みたいと思った。
 「本を書くときは自分と向き合うと同時に読者である子供を意識しながら書く。しかしこの本は自分の実感をもとにひたすら思いを込めて書いた。」というようなことが書かれていた。子供を意識しない絵本ってなんなの?と思いながら本文を読む。
 以前、読み聞かせ講座で、子供に読む本の選び方について説明を受けた。その法則に則ると、読み聞かせには向かない本であった。子供に読んであげる本は、子供がその主人公になりきり、一緒に成長していくストーリーでなければならないと習った。この絵本は大人の視点で書かれた、悲しい話だった。版画による挿絵と共に流れる,詩のような文がいつまでも心から離れない。
 夕食の時この本の話をしようと思い、作者の解説にこう書かれた本があって、と途中まで言うと、娘が「『けんぼうは一年生』でしょ?」
 えっ、なんで知ってるの?
 「小学生の時、2年生頃かな、学校で読んで、悲しい話だから覚えていたんだ。学校でも話題になったんだよ」
 鳥肌もんです。
 娘の方が数年先にこの本に出会っていたなんて。
 子供の読み聞かせにはふさわしくない本。でも何年も、子供の心から離れない本。


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