バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

ブランの大冒険

2023-09-06 13:30:34 | 風 白(バンブラン)
9月最初の授業。
夏休み明けで久しぶりに会うと、小学生達背が伸びている。
今日は一斉に、10月にある漢字検定のモギテストやる日。

低学年クラス終了まで残り5分。
そろそろ次のクラスの高学年生が入ってきて、迎えのお母さんが来る頃。

「先生、ブランいる?」
と迎えに来たお母さんが慌てた感じで入ってきた。
えっ?いますよ、ほら、ここに。
と指さした足下にいない。じゃ、庭プラプラしているかなと思うと、そのお母さんが、
「そこ!門があいてる! さっき白い犬がそこで足上げて、更に先の角、多分右曲がったと思う」
ブラン、脱走だ!
調度入れ替わりでやって来た小6の子達が「探してくる!」と走り出す。
目撃したお母さんが逃走方向に車で向かう。その後ろを全力で追いかける。
いると思われる神社にその姿はなく、近所で犬が吠える声もしない。
仕方ない。もうこれ以上追いかけるわけにはいかない。戻って授業始めないと。
そのうち戻るだろう。戻るかも知れない。戻って欲しい。
後ろ髪引かれながら追跡はここまでとして、子ども達と教室に戻る。
途中、近所の中学生のお母さんが、「あと探しておきますよ」って言って下さる。

いつも散歩に行きたがらず、駐車場から出られないくせに、ナンデ勝手に遠くまで行くカナ! 
いつでも戻ってこられるように、門全開にしたまま教室に入る。
夜授業終わったら、再度捜索しよう。

白くてふわふわして、人見知りしなくて、こんなかわいい犬うちで飼っちゃおうって、誰かに家の中に入れられちゃったら見つからない。いやいや、一番気がかりなのは交通事故だよ。保健所連絡しなくちゃ。等ツラツラ考えながら高学年生に漢字検定モギテスト配る準備し、
「もしさ、みんなの家の庭にブランが迷い込んだらさ、自分のうちの犬にしちゃう、でしょ?」
一斉に「ない、ない」「ありえなーい」「うちのお母さん犬嫌いだし」
「…」

「センセー、帰ってきましたよー!」
飛び込んできた先の捜索協力隊志願のお母さんを追い越す勢いで、ブランが教室に飛び込んできた。子ども達の歓声があがる。
黒板の前でハッハッと大口開け、眼をキラキラさせて意気揚々としているブラン。
息弾ませている。
結局、20分間逃走劇。というより、ブランにとっては大冒険。

アルパカ風の首回りキープするために首輪付けていない。これからは首輪と迷子札つけよう。近いうちにマイクロチップ装着しよう。
どこまで行ったの? 何してきたの? 楽しかった? と聞いてみたい。



おまえはそれでいいだか

2023-09-01 21:22:44 | ギャラリー輝
9/1 防災の日。そして今日から学校始まるという日。
私は今日の最高気温37.4度を記録した上田市にいる。
そんなに暑かったか?と思うのは,新しい家は窓閉めてエアコンつければ家中涼しい。
デイサービスから帰ってきた母から、「今日は上田が一番暑かったんだって」って教えられて知った次第。
陽が落ち,窓を開けると秋を感じさせる風が吹き抜ける。
温泉入ってさっぱりして、ジージーって虫の声や,別所線が到着する音を聞きながら、なんともゆったりと今日一日を反芻するのである。

今日は父の100号サイズの作品が念願のお嫁入りした日。
小説は何度か読むたびに深みが増すように,絵画も毎回が新しい出会いである。お嫁入りするのはなぜか毎回初見と思わせるインパクトのある作品。

寄贈した作品は人物画。男女がまっすぐこちらを見つめる。その眼光鋭く,ストイックに制作していた作者の気魂がこちらを覗きこんでくる。いつも「おまえはそれでいいだか」と問われている感じがする。
寄贈先の会長は「わたしは柔らかい表情だと思いましたよ」と。
私もまだまだだ。

この作品を寄贈する思いなどプレスインタビュー受け,地元のキノコ料理を堪能し,父の仏壇に寄贈を報告し、水不足で元気なくなっていたエントランスの樹木に水をやり、さて今日はつつがなく一日が終わろうとしている時。

微妙にずっと心に引っかかっていてそっと蓋をしていたことを、「これはどういうことですか?」と突きつけられた。
父の作品を整理し紐解き、画集作り、そして美術館もどきを作り,展示し,ファイリングしとガシガシやってきたが、ここまで判らないことの連続だった。絵のサイズの表記も知らない。額の付け方も知らない芸術ド素人が。その場で考え読み解き,覚えて,自己流で整理して押っつけ作業でここまでやってきた。
そうして世に出した作家に関する情報が、後になって間違っていたことに気づくのである。その気づきの連続なのである。
一度出した情報は一人歩きしてしまう。

作品情報が両手からあふれ全てひっくり返しそうになっている時に、作品整理も解釈も途上だからまだ展示できないのです、と父の知人に弱音を吐いたことがある。そのとき相談した方は、「判っているところから出せばいいよ。間違っていたら訂正すればいいよ」と言って下さった。その言葉に背中を押され,2021年秋に堂々と、ジャーンと池田輝の美術館をオープンしたのだった。

少し時間に余裕ができて,資料整理を進めると作品の制作年の間違いを発見した。
ということはそれまでの自分がつけていた作品の解釈が嘘になってしまう。
そこが今回の指摘だった。
痛い。
大発見!のノリで性急にアウトプットし後に検証不足に気づき、反省。
なんか自分の人生、いつもこんなことの連続だ。
考えるよりまず行動。思いついたらまず行動。
アイデアが浮かぶと形にしたくなる。とにかくすぐやってみたくなる。

この癖は気をつけようと、今後へのチャンスだったと言うことにして今日はもうこの辺にしよう。
思い返せば、そこまで真剣に作家、作品と向かいあい、今一緒に首をひねっている人がいるという事実が暖かい。

外ではジッジッと虫の声。
別所線の発車ベルが聞こえる。

あさっては稲刈りだ。