NPO主催のハイブリッドスターライスプロジェクト、種まきを終えた。
JAに務める卒業生に、種まきやるんだと言うと、「はしゅですね」と言われた。星野さんにいただいた作業スケジュールに『播種』と書かれていたが、そうかあれは「はしゅ」と読むんだ。
田植え体験、稲刈り体験、そして収穫した際のわら有効活用でしめ縄づくり体験は多くの団体がやっている。しかし、播種からやるところはそう多くはないでしょう。
播種はたいしたことやらないから少人数で来るようにと星野さんから言われていたので、陸上部3名、バドミントン部3名、計6名の精鋭達で行うことになった。
競技が違うとこうも体型違うのかと感心するほど、ギュッと絞られた無駄のない骨格をした陸上部員達。無駄がないのは体だけではなく、口数も表情も。最初に発した声は返事の必要ないところでの「はいっ」だった。
播種作業とは、苗床に土を敷き、水をかけ、種をまき、かぶせ土をする。この一連の作業は機械がやってくれるのだということが現地で初めてわかった。この作業での隊員の仕事はトレーをベルトコンベアに乗せること。出てきたトレーを台車に乗せること。そういえば最初の打ち合わせの時に、星野さんが「人手がいるのはハウスに運ぶときだけかな」って呟いていたな。
とはいえ隊員はこうして来た以上は何か仕事をせねばと右往左往し、それぞれの持ち場を各自見いだし役割分担していった。ベルトコンベアによる流れ作業でトレーが動くと言ってもそれは工場のライン作業のように高速移動ではなく、非常にゆっくりとゆったりと進む。だから隊員達もその動きに合わせゆったりトレーを手渡し、置き、受け取り、運ぶ。少ない仕事に全力でとりかかろうとするから、とても丁寧な動き、手さばきとなった。こうして少し汗ばんできた頃、陸上部員の表情が緩やかになり、透明感のある笑顔が出るようになってきた。
丁寧にモサモサ動く我々の周りを星野さんご夫婦はさりげなく先へ先へと歩を進めていた。
星野さんが奥からガーッと出してきたのは、トレーをハウスまで運ぶ為のリアカーみたいなカート。これでハウス入り口まで移動し、並べる。
ただ並べるのではない。整然と隙間なく、曲がらず並べる。そのために星野さんが目安となる紐を張った。「農業は紐がポイントなんだ」とチャーはしきりに感心。さらに、農業とは知恵と科学と化学とテクノロジーの融合だ!とかなんか小難しいこと言っていた。
ようやく仕事らしい仕事ができると全員でトレーを運ぶ。
運び終え振り向くと、いつされたのだろうか、銀色シートが被されていた。アルミホイルのようなこのシートは優れもので、保温力があり、光を通すのだそうだ。これで10日ほどで苗がびっしり出揃うらしい。途中温度管理や水やりについて質問したものの、管理は星野さんにお任せになってしまう。
こうやって作業する間にも、肥料や種を買い求めに農家の方がやって来た。
「おっ、兵隊達いっぱいいて、いいな」
やって来たおじさんはしばし高校生と談笑していった。
一通り作業を終えお茶飲みながら、次は田植えだねってスケジュール確認していると、「手が空いた何人かは炊き出しやればいいよね」って星野さんが言った。
星野さんの一言に一瞬心がざわりとした。
そうだ、炊き出しやるんだった。言い出しっぺなのに、炊きだしのこと心の隅に追いやっていた。田植え当日は高校生と一緒になって泥いりじするイメージばかりが膨らんでいた。小学生の時に学級園での田植えで男子にミミズや蛙投げられた雪辱戦カムバーックの図ばかり拡大し、炊き出し業務に張り付く自分がどこかへ行っていた。
田植えの前に炊き出しリストアップ、買い出し、下準備せねば。
JAに務める卒業生に、種まきやるんだと言うと、「はしゅですね」と言われた。星野さんにいただいた作業スケジュールに『播種』と書かれていたが、そうかあれは「はしゅ」と読むんだ。
田植え体験、稲刈り体験、そして収穫した際のわら有効活用でしめ縄づくり体験は多くの団体がやっている。しかし、播種からやるところはそう多くはないでしょう。
播種はたいしたことやらないから少人数で来るようにと星野さんから言われていたので、陸上部3名、バドミントン部3名、計6名の精鋭達で行うことになった。
競技が違うとこうも体型違うのかと感心するほど、ギュッと絞られた無駄のない骨格をした陸上部員達。無駄がないのは体だけではなく、口数も表情も。最初に発した声は返事の必要ないところでの「はいっ」だった。
播種作業とは、苗床に土を敷き、水をかけ、種をまき、かぶせ土をする。この一連の作業は機械がやってくれるのだということが現地で初めてわかった。この作業での隊員の仕事はトレーをベルトコンベアに乗せること。出てきたトレーを台車に乗せること。そういえば最初の打ち合わせの時に、星野さんが「人手がいるのはハウスに運ぶときだけかな」って呟いていたな。
とはいえ隊員はこうして来た以上は何か仕事をせねばと右往左往し、それぞれの持ち場を各自見いだし役割分担していった。ベルトコンベアによる流れ作業でトレーが動くと言ってもそれは工場のライン作業のように高速移動ではなく、非常にゆっくりとゆったりと進む。だから隊員達もその動きに合わせゆったりトレーを手渡し、置き、受け取り、運ぶ。少ない仕事に全力でとりかかろうとするから、とても丁寧な動き、手さばきとなった。こうして少し汗ばんできた頃、陸上部員の表情が緩やかになり、透明感のある笑顔が出るようになってきた。
丁寧にモサモサ動く我々の周りを星野さんご夫婦はさりげなく先へ先へと歩を進めていた。
星野さんが奥からガーッと出してきたのは、トレーをハウスまで運ぶ為のリアカーみたいなカート。これでハウス入り口まで移動し、並べる。
ただ並べるのではない。整然と隙間なく、曲がらず並べる。そのために星野さんが目安となる紐を張った。「農業は紐がポイントなんだ」とチャーはしきりに感心。さらに、農業とは知恵と科学と化学とテクノロジーの融合だ!とかなんか小難しいこと言っていた。
ようやく仕事らしい仕事ができると全員でトレーを運ぶ。
運び終え振り向くと、いつされたのだろうか、銀色シートが被されていた。アルミホイルのようなこのシートは優れもので、保温力があり、光を通すのだそうだ。これで10日ほどで苗がびっしり出揃うらしい。途中温度管理や水やりについて質問したものの、管理は星野さんにお任せになってしまう。
こうやって作業する間にも、肥料や種を買い求めに農家の方がやって来た。
「おっ、兵隊達いっぱいいて、いいな」
やって来たおじさんはしばし高校生と談笑していった。
一通り作業を終えお茶飲みながら、次は田植えだねってスケジュール確認していると、「手が空いた何人かは炊き出しやればいいよね」って星野さんが言った。
星野さんの一言に一瞬心がざわりとした。
そうだ、炊き出しやるんだった。言い出しっぺなのに、炊きだしのこと心の隅に追いやっていた。田植え当日は高校生と一緒になって泥いりじするイメージばかりが膨らんでいた。小学生の時に学級園での田植えで男子にミミズや蛙投げられた雪辱戦カムバーックの図ばかり拡大し、炊き出し業務に張り付く自分がどこかへ行っていた。
田植えの前に炊き出しリストアップ、買い出し、下準備せねば。