脳のミステリー

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266.木の芽時

2008-05-02 18:19:38 | Weblog
樹木に新芽が出て来る「木の芽時」は春の季語だが、あまりいい意味では使わない。
血が騒ぐ季節といわれ、漢方では「春は病、肝に在り、頭に在り」 と言われている。
確かにこの時期は暑かったり、寒かったりで、少し冷たい風が無理やり運んできた春が初夏に急ぐから、身体を温める働きのあるエネルギーがうまく全身に回らない。
陽気が頭に集中すると、イライラしたり、不眠症になったり、血圧が上昇したり、精神的に不調になりやすい。
この陽気がうまく発散されないでいると、神経痛や皮膚病が表面化してきて、鬱状態になったり、5月病等が出て来る。
徐々に暖かくなるにつれて人間の身体に備わっている陽気も増えてくるという自然をよく考えよう。
気候とか木々などにいいものだけを望んでも、そうは問屋が卸さず、病気でも木の芽時期は身体の中で眠っていた持病やアレルギーが吹き出すという訳である。

蕪村は、春の海 終日のたりのたり哉

芭蕉は、春の夜は桜に明けてしまひけり

春の海はのんびりだが、、春の夜は夜桜を見ている内に早々に明けてしまった、と言うのか。

早寝早起きを心がけ、歩くなどで、ゆったり身体を動かし始めることが大切で、心身ともにののびのびとした気持ちで活動するのが、春の陽気に応じるのが最高だという事だろう。出来るなら、日の入りと共に寝て日の出と共に起きる、を心がけたいものである

外出から帰宅してすぐにブログに書き込もうと思ったのだが、とってもショックで哀しい報が私を待っていた。
相手は私の大切な女友達!
私たち二人の出会いはお互いが16歳の時で、チョッと不思議な間柄である。彼女は青春時代をアメリカで過ごし、私はオーストラリアで過ごした。何十年ものブランクがあって再会した時は二人は「メル友ならぬ麻痺友」と呼びあう事にした。
病巣は違っても悩みは共に麻痺という事実からどちらからともなく命名したのである。
暫くの間、音信不通だった。
私は「何があったのか」と詮索はしなかった。
時がくれば、きっと連絡してくる、と思っていたからだ。
桜の季節が話題に出始めた頃「ゴメン!話したくなったら話すから!」と言ってきた。
久しぶりの連絡に、私は「待っているから、話したくなったら、聞いてあげる」と返事を出した。
だが、今、私の麻痺友がくれたメッセージはあまりにも突飛で、あまりにも哀しいものだった。
そこに書かれたいくつかの文字が未だ春なのに走馬燈のように私の脳裏を駆けた。
夫、肺ガン、四ヶ月の闘病生活、納骨・・・
私は目を疑った。
去年の事だった。「彼女は旅行で明日帰って来ます」電話口の彼の声が今、私の耳に蘇ってきた。あの時、翌日麻痺友からコールバックを受け「何? 何の用だったの?」と話し始めたが・・・
身体に不自由を感じることのある二人だが、あの時は「会わない?」という朗らかな会話だった。
東京で、成城と高輪と言えば、健常者同士なら問題にするような距離ではない。
私は右肩麻痺で右半身全くの不随という事で外出には車椅子が欠かせない。
一方、彼女は体の動きには全く問題ないが、突然襲ってくる顔の内部反乱と心痛は想像を絶するものだと、訴えていた。
だが、あの時「会おう!」と言いながら、珍しく外国育ちらしくない〆は日本式に「そうね、会おう!」という曖昧な約束は・・・電話の向こうに消えた。
夫が肺ガンで急遽逝ってしまった事実を話せなかった麻痺友を私はたった今、受け止めた。
そして、ある言葉を引用して彼女に哀しみと励ましを裏表にしたメッセージを送った。
「死者にたいする最高の手向けは、悲しみではなく感謝よ!」

ごめんなさい!
こんな風に締め括るつもりはなかったのに!

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2 コメント

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Unknown (魔法遣いの弟子)
2008-05-03 00:14:19
愛する方とのお別れ・・・

避けることは出来ない大きな試練。

未熟な自分を試されているような

穏やかに感謝で見送れるようには

まだまだなれそうにもありません。


今夜は、フォーレのレクイエムを聴いて

ご冥福をお祈りさせて頂きます。


すみません・・・

とても直ぐにはコメント出来ませんでした。

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Unknown (ココ侭)
2008-05-08 23:06:39
 私が、初めてこのページを開いた時、なんと言っていいのか分からなくて拝読して一度閉じました。
今夜、もう一度ゆっくり拝読してみました。
 そのお友達には、はやく立ち直って欲しいと思っています。
 私は、お友達にバッハのカンタータ「主よ人の望みの喜びよ」を送りたいと思います。
 ご主人のご冥福をお祈りするとともに、これからも続く未来に、希望と勇気を持って歩んで欲しいと願っています。
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