脳のミステリー

痺れ、言葉、触覚等の感覚に迫るCopyright 2001 ban-kuko All Right Reserved

片麻痺とベッド(本漆と漆風呂)

2013-11-28 15:40:29 | Weblog
私の本業は豪州の美術館での鎌倉彫・和賀江塗を通しての日本伝統漆工芸の英文献担当です。
毎日、飽きることなく漆文献にドップリ浸かっていると妙なことに自分の右片麻痺と重なってくるのです。

片麻痺の身にはベッドはとても大切で・・・本漆には漆風呂(ムロ)がとても大切なのです

漆といえば、どんな言葉が頭に浮かびますか
高価、綺麗、かぶれ、取り扱いが難しい・・・等などでしょうか
人間は、誰もがそれぞれ貴重な存在価値を持ち、時には心美しく(綺麗)、時には心醜く(かぶれ)、扱いが簡単なようで難しい、そうです十人十色ですから・・・
 漆の工程に似ているでしょう

生漆は粘土の高い黄淡色の液体で、湿潤な環境の下で樹液が空気中の酸素と結合して酸化、重合すると黒色の樹脂に変化し、更に粘度の高い液体になって、やがて凝固するのです。
和賀江塗の漆塗師曰く、漆風呂(ムロ)の中で塗った漆を乾かすのですが、漆の室内は人間が不快を感じるような梅雨時の状態が最適で、塗り後7時間経って少しでもべた付くようだったら、表面を剥がして塗り直さなければ一生乾かないのです。
漆塗師は更に言います。
ムロは、最初はあまり湿しを与えず、そこそこ漆が乾いてくる頃にチョッと湿しを与えて漆を固めるように乾かすのがいいのです。
妹の私は姉が夜中に起き上がって、一生懸命霧吹きでムロの内側の杉板に湿りを与えて適度な湿度を保っていたのを知っています。
漆は、早く乾くと色が黒っぽくなり、ゆっくり乾かすと明るい色になって塗り肌もよくなります。
それでも自然優先の漆塗りですから乾燥時間は天に任せるということです。

蘇り人生を自然に任せて生きている私の右片麻痺は・・・
日中は、騒音や来客やらで落ち着かず、麻痺側は母指屈曲・肘や手関節の屈曲・内反尖足・足趾過屈曲で悩まされますが、夜はベッドで少しは寝易くなります。
漆塗りに関しても・・・ムロはきっちりと戸が閉められるようになっていて埃や塵が入らないようになっています。
つまり、漆を塗った後は、ホコリの立たない湿度が適当に保てるむろの中で、ゆっくりとねかせて乾かすのです。
そうです、私も日中動き回った後は騒音のない温度・湿度が適当に保てるベッドでゆっくりと身体を休ませたらいいのです。
右半身麻痺の体は寝返りが難しく、一度仰向けに寝たら朝まで同じ格好で眠っています。
無理なく熟睡した後は、目覚めると一瞬は右に痺れや痛みを感じないのです。
でも、チョッとでも体を動かすと忽ち痺れと痛みが私を襲って来るのです。
私は生身の身体で、死んでしまった右半身と生き残った左半身の共存ですから、始終ムロつまりベッドの世話にならないといけない、ということです


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。