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気になる報道『部屋から扉開かないマンション…高齢者虐待疑い』

2011-08-14 16:20:10 | Weblog
認知症などの高齢者11人が住む大阪の5階建ての賃貸マンションで、全ての居室ドアに内側から開けらず、家主が管理する鍵が設置されていることがわかり、大阪府内のこの市は、虐待にあたる疑いがあるとして高齢者虐待防止法に基づき立ち入り調査をしたということです。
非常階段には入居者が出入りできないようにロープが張られ、集合ポストは粘着テープで目張りされて郵便物が入れられないようにされていたとのことです。
認知症などで寝たきり状態の人もおり、全員が1階にある訪問介護事業所から介護サービスの提供を受けているのです。
市の聞き取りに対し、生活保護受給者を含む4人が「通帳を事業所に預けていた」と証言しています。
市は「生活保護受給者の自立を妨げる恐れがある」として受給者らに転居を指導したようです。
訪問介護事業所側は市に対し、「ロープは徘徊で外に出たら危険なため張った。目張りは盗難防止が目的」と説明したといっています。

介護保険が施行され、高齢者が利用する介護保険施設などでは、点滴を引き抜かないよう、ベッド柵に手を縛る、おむつを自分ではずせないよう、拘束衣を着せるといった身体拘束が原則として禁止されました。
厚生労働省は『身体拘束ゼロへの手引き』 という小冊子を作り、身体拘束ゼロ作戦を推進中です。
2001年4月には、悪質な身体拘束を続けている施設は介護保険指定を取り消すという通達も出ました。

そもそも、身体拘束はなぜいけないのか。本人の安全確保のためには必要、と考えている施設もまだ数多くあります。
しかし厚生労働省は、筋力の低下、食欲低下などの身体的弊害、本人や家族に精神的なダメージを与え、
介護・看護スタッフの前向きな気持ちを踏みにじるといった精神的弊害、
そして、介護施設に対する社会不信を招くといった社会的弊害という、3つの弊害があるといいます。

身体拘束の理由は、転倒の危険が増えているからでしょう。
ベッドから落りようとして転ぶ、イスから立とうとして転ぶ、トイレに行こうとして転ぶ・・・転倒は、骨折→寝たきりというレールに乗ってしまう危険があるから、危険な人は大事をとって拘束しておく、という施設も少なくありません。
でも、愛情ある家族がどうしても施設にお願いしなくてはならなくて、そんな姿を見たらどう思うでしょう。
拘束を解くと、経管チューブや点滴を引き抜いたり、自分の顔などを掻き毟ったりというような自傷行為も防ぎ難くなるのも事実です。

もしマンツーマンで世話をできるなら、問題行為を未然に防げるから、拘束は必要ないでしょう。
しかし、スタッフの数が十分でないので、じっくり関わっていられないというのが実情でしょう。
余裕がないから、目が届かないときには拘束しておく・・・それが恒常化してしまうケースは多いようです。
また、残念ながらスタッフの意識にも問題があります。
立ち上がらないよう、車いすに車いすテーブルを付ける、車いすにずり落ち防止の安全帯で固定するという措置を拘束だと考えていないスタッフもいるという現実は否めません。また、主任クラスなど、発言力のあるスタッフが拘束を有効だと考えている場合、それに反対するスタッフの意見を抑えこんでしまうこともあるようです。
そして次第次第に、拘束が当然になってしまうのでしょう。
こういったケースで、拘束を有効とするスタッフの決まり文句は「転んでケガをしたら、ご家族にどう説明するのか」という事でしょうか。
そう言われたら、たしかに反論はし難いものです。
施設全体として、事故の可能性についての家族の理解を促す努力も必要ですが、スタッフにも本人の家族にも知っておいて貰いたいのは・・・実際に転倒事故が起こったとしても、身体拘束をしていなかったことだけを理由として、法的責任を問われることはありません。

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