「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

産経新聞の”沖縄米兵美談”記事のお詫びと検証

2018-02-09 06:10:01 | 2012・1・1
購読している産經新聞(2月8日付け首都圏版)一面に「おわびと削除」の記事があり、さらに三面には紙面の三分の一をさき、おわびに至る「日本人救った米兵 沖縄二紙の黙殺」(昨年12月12日)の記事削除と、おわびにいたる「検証」が載せていた。あまり紙面に謝罪記事を載せない日本の新聞社としては珍しいことだ。

産経の「検証」によれば、おわびの記事は昨年12月1日、沖縄市で起きた車6台の事故で、一台の車に乗っていた米海兵隊員が事故の後、車道に出て横転していた別の車から日本人を救い、自身もケガを負ったというものだ。記事を書いた記者は、米海兵隊の関係者に取材し、米兵の妻のフェイス.ブックを参考にして記事を書いたが、沖縄県警察には取材しなかった。記者の先輩として理解できないではないが、記事に関連して、地元県紙の琉球新報と沖縄タイムスが”美談”を黙殺したと書いたのは余計なことだ。

沖縄県では県民の大半が、県紙二紙を購読しており、そろって基地問題の扱い方が、翁長知事の”オール沖縄”一辺倒で、時には”反日”的な記事さえある。これに対して産經新聞が反対しているのも周知に近い。沖縄では数重なるヘリコプター事故で”反米”感情が高まっている。その時期に確証もない”米兵美談”を載せたあげく、何故、地元二紙がこれを黙殺するかと書けば、県民の気持ちを逆なでして火に油を注ぐようなものだ。産経の”勇み足”と言われても仕方がない

問題あり 老人単身者が半分を占める生活保護受給

2018-02-08 07:01:23 | 2012・1・1
厚労省から昨年11月の生活保護受給者数が発表になったが7か月連続で過去最高を記録している。中でも注目されるのは、総数164万2973世帯のうち65歳以上の高齢者が86万5784世帯が全体の半数を上まわり、しかもその9割が単身者ということだ。まさに超高齢者時代の老人福祉の厳しい現実そのものである。

しかし、生活保護費受給の老人たちが巻き込まれる事故が最近多いのはどういうことか。先日も札幌の「生活支援ハウス」の火災で11人が犠牲になったが、その大半は高齢で生活保護費受給の単身者だった。2015年の川崎日進町の簡易住宅の火災でもそうだったが、同じような生活保護費受給の老人の犠牲者が多すぎる。

原因の一つは、残念ながら「介護」を目的にする老人施設があるが、生活支援を目的にする公的な老人ホームがないことだ。要介護、要支援の高齢者だけでなく、身体は元気で働きたくとも仕事がない高齢者が多いのは現実である。生活保護費で最低限の生活は保障されても住む家がない、結果として「生活支援ハウス」的な施設に頼らざるをえない。

戦前から昭和30年代まで、わが国には身よりのないお年寄りのために「養老院」という施設があった。社会部の駆け出し記者だった頃、東京板橋の「養老院」を取材したが、お年寄りが広い畳の部屋で、座って袋はりをしていた姿がまだ目に残っている。当時の老人施設は”介護”だけが目的ではなかった。

"一億総参加社会”時代である。生活保護支給で”ことたり”とはせず、元気なお年寄りが安全に生活できる生活支援型の老人施設があってもよいのではなかろうか。

日露共同経済活動と関心が薄くなった「北方領土の日」

2018-02-07 06:08:25 | 2012・1・1
早朝のNHKラジオ番組「今日はなんの日」で2月7日が「北方領土の日」なのを思い起こした。毎年、この日をはさんで1月21日から2月20日までは、北方領土への国民の理解と関心を深める”特別啓発月間”なのだが、僕の身辺では、あまり「北方領土」について話題にならない。阿倍総理大臣が出席して東京で領土返還全国大会が開かれるのだが、わが家で購読している新聞は一行の報道がない。

改めて何故2月7日が「北方領土の日」なのか。ネット情報を孫引きすると、1855年2月7日、江戸幕府がロシアとの間で下田で日露通商条約を締結した日で、この条約で千島列島の国境が、日本側択捉島、ロシア側ウルップ島と確定された。以来北方領土四島(国後、択捉、歯舞、色丹)は、わが国の固有の領土であり、先の戦争のドサクサに紛れてソ連(当時)が占領、実効支配しているにすぎない。

安倍総理はロシアとの間の平和条約締結には、戦後歴代の首相の中でも熱心で、プーチン大統領とすでに20回も首脳会談を持っている、その成果として、両国間での共同経済活動が進展を見ており、新聞報道によれば、北方領土での海産物の養殖、温室野菜の栽培、観光事業など具体的な話が進んでいる。元島民の飛行機による墓参も実現した。しかし、一方では択捉島飛行場の軍民使用など領土返還に水をさす動きがる。

安倍総理とプーチン大統領との間では、日露両国が戦後70余年、平和条約が締結できない”異常”については合意しているという。安倍総理は自分の世代で領土問題の解決したい意欲を持たれている。両国の共同経済活動は全面解決への一歩と理解しているが、それには同時に国民の「北方領土」への関心が深まらなくてはならない。狸穴のロシア大使館へ日の丸で抗議しようとは言わないが、年々、若い世代の領土への関心が薄れてきたのは気になることだ。

名護市長選挙 ”オール沖縄”候補の敗北

2018-02-06 07:47:06 | 2012・1・1
沖縄県名護市長選挙で新人の渡具知武豊氏(56)が現職の稲嶺進士氏(72)の三選を阻んで当選した。人口6万少しの市だが、”世界一危険な”米軍の宜野湾市普天間の基地の移転先として市内の辺野古への建設が進められれており、これをを推進する安倍自公政権とそれに反対する翁長県知事の”オール沖縄”勢力と間の激突で注目されていた。

結果は沖縄の現地新聞の予想に反して、渡具知氏が20,389票、稲嶺氏の16,931の票に2,300票の差をつけて当選した。投票率は76.8%と前回より0.21ポイント高く、期日前投票が21,660と44.4%だった。沖縄タイムスは、自公の組織票による事前投票を勝因の一つにあげている。

いずれにせよ、渡具知氏の当選で頓挫していた辺野古移設計画は加速されよう。稲嶺前市長でストップしていた国からの交付金は再開され、渡具知氏の公約の市民生活の向上や経済振興は、政府との協調路線で加速されるのは間違いない。

辺野古への移転問題は日米間の10年来の約束である。今に始まった事ではない。民主党政権下での鳩山由紀夫総理の”最低でも県、外”発言で問題は複雑化し、翁長県知事になって、いっそう問題はこんがらせてしまった。”オール沖縄”を歌い、あたかも沖縄県人全部が辺野古反対化のように与論を誘導した。環境破壊など問題は抱えているが、普天間基地の移転先は、辺野古しかない。日米間の約束事である。翁長知事も”小事を捨てて大事に”に従ってほしい。

開き直りの貧困ビジネス 札幌の「生活支援ハウス」の火災事故

2018-02-05 05:57:50 | 2012・1・1
11人の犠牲者を出した札幌の「生活支援ハウス」を運営する合同会社の責任者がやっと記者会見し謝罪した。犠牲者に対して”助けられずに御免なさい”と謝罪する一方で、施設は役所の許可を得て運営しており、法に違反はしていない”と開き直りともとれる発言をしていた。僕は事故発生時の小ブログでNPOが運営と誤記したが、合同会社の運営が正しく、実態は”貧困ビジネス”なのである。

火災の原因はまだ調査中だが、これまでの調査で火元は1階の通路に置かれてあった居住者の灯油ストーブのタンク付近のようだ。僕は1970年代、10年間札幌に住んでいたが、札幌では冬季の暖房器具は今でも83%は灯油ストーブでエアコンは3%にすぎない(2013年総務省調べ)僕の体験では、長い冬季(11月―3月)中、道民は室内にストーブを置き、室温を20℃以上にして温まる。東京生まれ東京育ちの僕にとっては札幌の室内は東京より快適だった。

札幌市の生活保護支給規定によれば、冬季期間中2万円ほどの暖房手当の支給があるそうで、「生活支援ハウス」の居住者も受給していたはずである。しかし、50年も前の旅館を改造した古い木造共同住宅で居住者全員がそれぞれの部屋で灯油ストーブを使用すれば、考えただけでもぞーっとするほど危険だ。それも高齢者が多い施設である。

「生活支援ハウス」は厚労省の通達によって地方の自治体監督の下に設立された施設である。しかし、今回の合同会社の代表が言うように「生活支援ハウス」にはスプリンカーなどの設置など細かい消防法の規定はない、合同会社の代表が、行き先のない高齢者などをギリギリの線で支援していると、開き直った発言をしている。多分実態はそうかもしれないが、”貧困ビジネス”には間違いない。厚労省の「生活支援ハウス」設立通達には”高齢者が安心して生活を送れるようにとある。”貧困ビジネス”に任してはいけない。

変る節分行事 ”柊ひいらぎ)に鰯の頭” から「恵方巻」へ

2018-02-04 06:50:30 | 2012・1・1

今日は暦の上では春分。わが家では昨日、昔からの習慣に従い豆まきの真似事をした。夕刻、近くのスーパーから節分行事の小道具一式(豆、柊、鰯、鬼の面)=写真=を買い求め、”鬼は外”を三回”福は内”も三回、ご近所に迷惑にならないよう、小声で豆の量もすこしだけ撒いた。僕が子供だった戦前昭和の頃の東京では、節分の夕刻になると、各家ごとに”福は内”の声がこだました記憶があるのだが。

娘が作ってくれた「恵方巻」を食べながら老妻と昔の節分行事の話しをした。もちろん、東京で「恵方巻」を食べる習慣が今のように一般に根づいてきたのは、せいぜい平成の御世になってからだ。その話の中で、結婚60年にもなるのに老妻から生まれ故郷の長野市では豆まきに大豆だけではなく、殻つきの落花生も撒くと聞いた。ネットで調べてみたら、落花生の豆まきは、北海道、東北を中心に各地にあり、成田山新勝寺では昨日の豆まきには大豆豆860キロ、落花生400キロを使用したとあった。新勝寺で落花生をまくようになったのが何時ごろか知らないが、千葉県は日本一落花生産地であり、その影響だろうが、そんなに昔からではない。

玄関先に柊の小枝に鰯の頭を指す習慣はわが家にはない。僕の記憶にもないが、地方によっては依然としてあるらしい、家の近くのスーパーでも写真のようにセットにして売っているのだから。しかし、年々、この習慣は、廃ってきた。若い世代にとっては”鰯の頭”より「恵方巻」のグルメが好まれる。

節分行事はもともとは中国から伝わったもので、奈良時代には宮中で追儺(ついな)式として行われていたが、吉田兼好の徒然草によれば、鎌倉時代には大晦日の行事として庶民の間で行われていた。徒然草の第19段には、庶民が大晦日から四方拝(新年)にかけて夜通し、松明をかかげて他人の家の門を叩いてまわる行事が書かれているが、江戸時代にはなくなっている。すべて、このような行事は時代とともに変遷があるみたいだ。「恵方巻」に代わってデパートでは、ロールケーキが登場してきたとのことだ。

貴乃花親方の独り相撲とそれに踊らされたマスコミの愚報

2018-02-03 06:51:45 | 2012・1・1
相撲協会の理事選挙で貴乃花親方が自分が投じた一票を入れて僅か二票で、大方の予想を裏切って落選した。たかが相撲協会の理事選なのに、これをめぐるテレビの報道ぶりは、僕にいわせれば狂っているとしか言えない。僕もそれに踊らされた一人だが、昨日NHKの国会中継をきって、民放のチャネルに回したら、4局のうち3局までが同じようなワイドショーで、競馬の予想屋まがいの予想をしていた。将棋の駒みたいな札をあちこち動かし、評論家諸公ががもっともらしく解説していた。が、一人として予想は的中していなかった。

貴乃花親方は”罪つくりな”人である。昨年の日馬富士による暴行事件に端を発した不祥事は、貴乃花親方は弟子がケガを負い、被害者であるにもかかわらず、その後とった親方の言動で、逆に相撲協会から怒りを買い、理事を解任されてしまった。にも拘らず、今回、理事選に出馬したことは、勝算あると判断したからであろう。そのうえ理事選を前に一門と同調者を集め、会合を開いたりすれば、たとえ一門は同門の益荒雄親方にに投ぜよとの合意が出来たとわかっていても、マスコミからみれば何か”隠し玉”か”裏”があるのではないかと疑う。

理事選を前に書かれた貴乃花部屋のHPで、親方は部屋の10か条の教訓を述べた後、相撲協会は公益法人の立場を忘れるなと反省のない協会執行部を批判している。これを見れば、貴乃花親方が理事に当選して、協会の内部改革にやる気十分なことがわかる。なのに、勝算がない、というより勝算を避けて立候補したのであろうか。すべて親方の独り相撲である。何か親方には魂胆があって、マスコミへの露出度狙いが目的のように見えてきた。しかし、協会としては一応、内紛が回避されよかったのではないだろうか。

行き場所のない老人たちの悲劇 札幌の生活支援ハウスの火災

2018-02-02 05:54:22 | 2012・1・1
札幌市東区のNPO法人の経営する「生活支援ハウス」が31日深夜の火災で木造モルタル二階建ての家屋が全焼、住人16人のうち11人(男性8人、女性3人)死亡した。犠牲者の大半は生活保護受給の高齢者であった。正直いって、また同じような悲劇かと思った人が多いに違いない。僕がとっさに想い出すだけでも2015年の川崎市日進町の簡易宿泊所の火災(11人死亡)06年の台風10号による岩手県岩泉町のグループホーム流失の事故(9人死亡)がある。いずれも今回の火災と同じように、老人施設に入居できない予備軍的な高齢者であった。

しかし、今回の札幌の「生活支援ハウス」は川崎、岩泉と違って厚労省の通達によって全国の自治体が認可した施設であることだ。厚労省の平成18年通達によれば「高齢者生活福祉センター」(生活福祉センター)設立の目的は”高齢者に対して介護支援機能、居住機能及び交流機能を総合的に推進し高齢者が安心して健康な生活を送れるよう支援する”とある。確かに「生活支援ハウス」は、特養老人施設に入居の資格を満たさない高齢者や生活保護受給者の”生活支援”の場としては機能してきたようではあるが。

NHKは意識してか「生活支援ハウス」という言葉を避け”集団住宅”を使用しているが、たんなる”集団住宅”の火災ではない。”高齢者が安心して生活できるよう”にと政府が自治体に通達して出来た施設である。今回火災のあった建物は50年以上前の旅館を改造したもので、入居者は各部屋ごとで灯油ストーブを使っていた。しかし、消防署の事前の査察に違反するものはなかったという。
法律的にはそうかもしれないが、10年以上札幌に住んだ僕の体験からいっても、高齢者だけで16人も夜間寝泊りさせるのは危険極まることだ。たんなる集団住宅の火災ではない。国は「生活支援ハウス」の実態を調べ、再発防止に勉むべきだ。

「受動喫煙」防止に後ろ向きな議員名を公表せよ

2018-02-01 05:29:06 | 2012・1・1
今の国会に提出される「受動喫煙」防止などの厚労省の健康増進法改定案の骨子が公表された。これを見て驚いたのは昨年3月の原案では30平方m超の飲食店全店が禁止だったのが150平方mに後退してしまったことだ。東京都の調査では都内の飲食店の7割以上がが100平方m以下だとのこと。これでは事実上ザル法で”健康増進”に役だたない。

WHO(世界健康機構)の調査では、わが国は喫煙についての4段階評価で最低だという。これだけ喫煙の健康害が叫ばれているのに意外である。その原因の一つは、自民公明与党議員の中に依然「タバコ議員連盟」など税制面から喫煙を支持する人がいることだ。理解出来ないわけではないが、タバコによる健康害がこれだけ、はっきりしているのに本末転倒している。

東京都の小池百合子知事が2月の都議会に「受動喫煙防止法」案を提出する予定だったが、厚労省案が当初の原案から大幅に後退するのを見て、見送る決断をした。当然である。この厚労省案が国会で通れば、2020年の五輪パラリンピックを前にしての「受動喫煙防止法」とあまりにも違いすぎる。「受動喫煙」防止に後ろ向きの議員の中には、受動喫煙防止は東京だけでやらばよいという極論まであるそうだ。

早逝した昔親しかった友人の8割9割はヘビースモカーであった。僕自身も36年前までは喫煙していたが禁煙したため、80歳半ば過ぎまで元気でおられる。言い過ぎかもしれないが、「受動喫煙防止法」案に後ろ向きの議員諸公は”殺人幇助”にも値する。週刊誌は諸公の名前と写真を公表したらどうだろうか。