「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

”撃ちてし止まむ”の時代の英語教育

2013-08-29 06:36:07 | Weblog
数年前「攻玉社中学2年C組大東亜戦下の記録」という私家本を編纂した。この中で戦争中(昭和18年―20年)英語の授業はあったかどうか調査したところ、我が校では中学1年時(18年4月から19年3月)は外国語第一(読解)同第二(作文)として勉強している。しかし、2年時の3学期(20年1月-3月))と3年時の1学期(20年4月―7月)は勤労動員で英語だけでなく、全学科ほどとんど授業はなく通信簿にも成績の記入がない。しかし、級友の一人が昭和19年版の三省堂コンサイス英和辞典を所有していた。裏表紙には「撃ちてし止まむ」という航空兵の軍刀を下げた口絵が載っている。(写真)英語は敵性語ではあったが、完全に禁止はされていなかった。

こういう時代に育った世代だけに、あまり英語が好きで得意な友人は少ないが、何故か僕は違っていた。亡父が残した日記によると、終戦から数週間後には父から英語を習っている。戦後すぐのベストセラーとなった「日米英語会話手帳」も標題に騙されて購入した。この本を片手に横浜の大桟橋へ行き、家から持ち出した人形とチューインガムと交換したことがあった。英語が好きになった動機はこんなところにあったのかもしれない。

先日行われた小6、中3対象の全国学力テストの際、”英語が好きかどうか”のアンケート調査もあったそうだが、これによると、小6で76%、中3でも53.1%が英語が好きだと答えたという。ところが、将来、留学したいかとの質問には、小中とも行きたいと答えたのは30%台だとのこと。これは何を示唆しているのだろうか、最近の子供の”内向き”指向の現われなのだろうか。

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6 コメント

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飢えがない (chobimame)
2013-08-31 07:15:02
勉学や語学に対する興味は、探究心や好奇心が必要だと思います。私などの学生の時代は、パソコンの普及が低かった(学校にしかなかった)ので、海外の情報は新聞・雑誌かテレビの旅番組(かねたかおかるの世界の旅でしたっけ?)で知るだけです。
それが今ではパソコンがあれば、世界中の情報が見れ、場所まで詳細に見れてしまいます。だから行く必要がない。それに今の子どもは、数が少なく、過保護に育っていますから、親の腕の中から飛び立てもしません。親離れ子離れが出来ない。いくつになっても親の傍にいれば、食えてしまうし、助けてもらえるので、どんどん外界に飛び出す気持ちはなくなるでしょう。豊かな時代には、想像力、発想力、探究心、冒険心、好奇心、これらは日本人から消えました。
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PC (kakek )
2013-08-31 11:37:09
chobimame さん
戦時中外来語は一切禁止され、野球用語まで日本語に言い換えを強要されたと、いわれますが、僕は体験がありません。昭和19年の文部省版英語教科書もありました。海兵でも英語を教えていた、ときいたことがあります。
今の子供たちが英語に比較的関心があるのは、PCと何か関係があるのでしょうか。いずれにせよ、国内企業の中にも英語が社内語になtっているそうですから、留学はイヤだが、関心があるのかも。今一つ理解できませんが。
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海外留学は嫌い、海外勤務はもっと忌否 (lordyupa)
2013-09-01 13:38:09
国にもよりますが、米国の大学などは入学は比較的容易ですが、米国大学での授業は厳しく、ついてゆくのは大変です。猛烈に勉強をしないと、学生を容赦なく落第させて退学させます。日本と異なり、韓国や中国の若者・社会人は、今でも米国留学が盛んです。国際競争を勝ち抜くスキルを身につけ、心身を鍛え、国際的人脈を築く意気ごみのためだと思います。

国内企業で英語を公用語とするのは、日本人以外の海外従業員と日本人社員との意志疎通が必要なほどに、今後の、事業規模拡大には国内雇用よりも海外雇用を増やす計画があるからだと思います。もちろん、長期の海外勤務も社員には期待していると思います。しかし、最近の若手中堅日本人社員の大半は、ホンネでは、出張で短期に訪問ならよいが、現地に長く居住する海外転勤をいやがっているようです。

不思議なことに、反日気運の高まる中国で、日本語学習者が増えて百五万人もいるそうです。韓国を抜いて、世界で第1位の日本語学習者数となったそうです。中国人の日本アニメ・漫画熱が原因ではと国際交流基金が伝えています。反日親中の韓国では、インドネシアに抜かれて、1位から3位に転落しているそうです。chobimameさんの書かれたように、日本の若者もスマホでinternetを使うのに英語が役に立つからということも妥当なのかもしれません。
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フルブライト奨学制度 (kakek )
2013-09-01 15:01:40
lorduypa さん
戦後すぐの1950年代は海外留学したくともできず、一部成績優秀者のみがフルブライド資金で米国で勉学しました。また、社会に出た後も、海外へはなかなか行くチャンスがなく、僕の勤めた新聞社では70年代初めまで社内留学制度があり、1か月、100ドルの奨学金を授与する制度がありました。時代が変わったものですね。
今の日本人全体が海外留学や勤務を嫌うとは思えませんが、日本の社会構造が、海外での体験をあまり配慮しないからのようにも思われます。青年協力隊員が勤務を終えて帰国しても就職難のため志望者が少ないという話もよく聞きます。
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過酷で危険な海外勤務者の主体は中高年? (lordyupa)
2013-09-02 09:33:41
時事通信 1月24日(木)17時52分配信
アルジェリア人質事件で、死亡、安否不明のプラント建設大手「日揮」の社員ら10人の身元が24日、複数の関係者への取材で分かった。10人は、同社最高顧問の新谷正法さん(66)※伊藤文博さん(59)※緒方弘昭さん(57)※木山聡さん(29)※後藤康次さん(59)※渕田六郎さん(64)※前川秀海さん(60)※山田隆さん(72)※川端圭右さん※内藤文司郎さん。
70歳代が1名
60歳代が3名
50歳代が3名
20歳代が1名
働き盛りの40歳代と30歳代とがきわめて少ない。
・・・日揮の社員構成は50歳代と60歳代が一番多いのだろうか?一体、どうなって、いるのだろうか?
勿論、プラント技術指導には、英語も使える「熟練」技術者が必須であることは分かりますが・・・・


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外国に行かなくとも (kakek)
2013-09-02 14:53:52
lordyupa さん
逆説的にいえば、若者にとって日本は住み心地がいいのでしょう。特別な技能がなくても、親がかりならば、コンビニでバイトをすれば小遣いには困りません。苦労して外国に行く必要もないのでしょう。
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