「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

安倍総理の中東支援演説の事前の推敲

2015-02-05 07:17:10 | Weblog
昨日の衆院予算委で民主党の細野豪志、辻元清美議員が「イスラム国」(ISIL)の日本人人質殺害テロに絡み、安倍総理が先の中東歴訪の際、カイロで明らかにした中東に対する2億ドル支援演説を取り上げ、時期と配慮に欠けていたのではないかと追及した。これに対し安倍総理は”さまざまな観点から言葉を選び、選んだ言葉には不適切なものはない”と事前に言葉にまで配慮し、推敲していたと反論した。

問題の支援演説は、安倍総理が1月17日カイロの合同経済委員会で行ったものだが、改めて外務省のHPで全文を読んでみた。問題の個所は”ISILのもたらす脅威を少しでも食い止めるため、地道な人材開発、インフラ整備につとめ、ISILと闘う周辺各国に2億ドルを支援する”とある中の”ISILと闘う”の部分である。外務省の説明では”闘う”の英語は”contend"(障害や困難と闘う)を使っており、”fight"や”battle"ではない。また演説全文も、アラブの格言「中庸が最善」を引用するなど格調高いものだと僕は思う。

確かに演説全文を読めば推敲は感じられる。しかし、この支援が歴史的なパレスチナ難民を含めた1000万人対象にしたものか、それともISIL後のシリア難民約200万人を指すのか、はっきりしない。安倍総理は国会答弁で、1000万人を使っており、多分パレスチナ難民を含む中東全体を念頭に置いて演説されたのであろう。

小ブログは安倍総理の中東歴訪前から、日本の中東外交は慎重にという立場をとっている(1月12日ブログ参照)避難民1000万人が象徴するように四次にわたる中東戦争で、それぞれの国の利益が絡み混乱している。その上湾岸戦争後のイラク、シリアへの米国の介入もあって、ISILのようなテロ無頼集団まで暗躍する事態にまでなってきている。米国国務省のHPの有志連合のリストには日本の名前が記載されていると辻元議員がいっていた。真偽のほどは解らないが、中東についての考え方は歴史的に欧米とは違う。テロと戦うために国際連携は必要だが、わが国が真っ先にたたって旗を振るほど、中東の政治は簡単ではない。

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4 コメント

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では民主党なら (chobimame)
2015-02-05 09:38:00
民社党の低脳議員が、相変わらずのお花畑発言をしていますが、民主党なら中東と上手くやれ、今回のテロ行為を阻止出来たのでしょうか?民主党議員に具体的な解決法を聞いてみたいものです。結果を見て批判なら子供にも出来ます。民主党は、テロの解決や対策よりも、今回の事件をきっかけに安倍さんの追い落としをしたいだけです。実に下らない。民主党は反日と低脳しかいないのでしょうか?
テレ朝が、また今回の事件で捏造報道をしたようです。外務省が抗議をしていますが、テレ朝は謝罪しないそうです。朝日系列は、さっさと潰した方が良いと思います。悪質すぎます。
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中東専門家の養成 (kakek)
2015-02-05 12:11:31
chobimame さん
今日も福山哲郎議員が「イスラム国」に関連したまさに実の無い、くだらない質問をしていました。重要課題が山積しているのに時間のムダです..
ただ福山議員が、外務省に中東専門家養成の必要性について質問したのに対して、安倍総理も岸田外相も同意していました。これは暗に、今回の「イスラム国」交渉の反省を込めてのことだと思います。
総理が外務省の不十分な情勢分析にのって計画を立て、言わずもがなの発言をしたのは否めません。総理演説は、中東全体の避難民の援助をもっと表面にだし、それからISIRの問題にふれればよかったと思います。
総理はISILの実態にについて理解が足りなかったこと。日本人人質への影響につては真剣に考えなかったと僕には思われます。
テレ朝の報道は、官邸と外務省との間の足並みの乱れを示しているのでしょうか
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中東紛争の火種は外国からの介入が源 (lordyupa)
2015-02-06 19:58:30
ブロガーのご指摘に完璧に大賛成です。

先の大戦中のスイスの行動をみれば、「中立非介入政策」なるものが、いかに狡猾かつ、balance of powerを的確によみ、表で国際正義を掲げつつも、裏では、近隣諸国が戦火にみまわれて、大量破壊、大量殺戮に会おうとも、臆せずに見殺しにして、自国民と自国領土だけを守り抜くため、強靱な外交を展開実行する戦略的能力がカギだったと思います。

山本太郎的な、いわばフリー・ハンドでの「独立外交」を実行するための
最低条件は、
・中東に依存しないエネルギー資源(できれば国産資源で安定・低廉・制御可能なエネルギー)、
・自主防衛能力(もし必要なら、核武装・核弾頭を含めて)
を備えておかなければ、実行できないと思います。

日本が、今回も人道支援に巨額拠出する最重要な理由(目的)は;表向きは、人質解放、難民支援、テロとの戦いですが、裏には、
①中東地域の原油・天然ガスの安定調達
②軍拡膨張する中国に対峙するには、米国が弱体化しつつも日米同盟の抑止力に頼るしかない。・・この2点だけだと思います。

このうち、
①の方は、シェールガスの未来が不透明なところがあるようですから、原子力発電や石炭エネルギーへの転換(中東油田依存率の半減)をはかれば、中期的に軽減できます。また、長期的には、日本海底にあるかもしれないメタンハドレードが経済的に採取できれば、念願のエネルギーの独立(中東油田依存率が10%以下)を達成できるかもしれません。
②の方は、日本の中東での政治行動が、出来る限りイスラム圏諸勢力からも、
イスラエルからも敵国とされないよう熟慮しつつ、米国の我慢限界を見極める必要があります。
21世紀以降、ロシアの挽回、中国が頭角をあらわした2大国台頭により、もはや、米国主導の国連決議が得られず多国籍国連軍も結成できず、呉越同舟的な「有志国連合」なる正統性のいかがわしい勢力とどう取り組むか、知恵の絞りどころ。
中国が米国債券を大量購入して、米軍予算は実質その借金でまかなわれている。
中国の軍事費の毎年高率増加、米軍予算の据え置きのため、中国が暴動で国内分裂でもしない限り、このまま十年も続けば、米中軍事力の差が拮抗する時期がきます。米国は「世界を牛耳る一極覇権」から、できる限り地上戦を避けて「海空だけ支配するOff-shore balancing政策」へと移行せざるをえない。本当は、日本の自主防衛(軍事予算がGDPの3%以上とか)を進めさせて、応分に米軍の肩代わりさせるのが米国国益にかなう合理的思考のはずが、国務省・軍部・ホワイトハウスとも、東京裁判史観からぬけられずに、「日本の自主防衛力強化だけは許さない」というのが大勢のようです。万一、中国と日本とが不慮の戦闘もしくは戦争へと現実に発展した場合には、日本を防衛せず東アジア地域の防波堤と位置づけ見殺しにし、最悪、「北米とメキシコ湾岸付近だけを防衛するMonroe主義」へと、残念ながら、日本が軍事強国になることを容認するぐらいなら、むしろ、後退するのもやむを得ないと考えているように見えます。
ゲリラや過激派テロやサイバーテロのような新型グローバル内戦を伴った点が新しいが、日清戦争・日露戦争のような帝国主義戦争時代が再来。われわれ孫の時代は本当に大変な国際環境に直面しそうだと感じます。

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国際情勢に振り回される小国 (kakek)
2015-02-07 12:05:21
lordyupa さん
グローバルな大局的な見方からすれば、貴説の通りです。参考までに1950年代から60年代にかけてのアラブの国々の勢力関係地図です。
米ソの冷戦の真っ最中でした。その中でアラブの統一を目指すナセリズムの風が吹き、シリアはエジプトと合邦しました(1960年)イラクのハシミテ王国が革命で倒れ(58年)イエメン王国も崩壊(62年)。こんな情勢の中で、ヨルダンのフセイン国王はソ連に傾斜、確かソ連でパイロットの訓練を受けたと記憶しています。サウジアラビアまで、欧米の新聞はソ連寄りと報じていました。その後第三次、第四次の中東戦争を経て現在の勢力関係地図になりました。
中東の欧米によってできた”人工国家”では、時代の世界情勢により存続をかけて振りまわされます。あまり報道されませんが、イエメンでは米国支援の体制の政府が倒れました。サウジでも国王の死で、米国寄りの政策が検討されているとの報道があります。”アラブの春”の際、デモで揺れた湾岸の”首長国”の今後の帰趨が注目されますね。
一つに「石油」の国際動向ですがー。

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