「お水送り」と南蛮船

今日から弥生三月。「お水取り」が来ると関西にも春が来るそうだが、
暖冬の今年はどんなものかー？　この十年以上、賀状を交換している
小浜の郷土史家Ｎ氏から”鯖街道”の雑誌を頂き、同地の「お水送り」
に想いをはせた。

僕ら関東の人間には古都のある近畿圏には”あこがれ”のような郷愁
がある。明日２日からＮ氏のいる遠敷（おにゅう）神宮寺で「お水送り」
があるという。１０日間かかって奈良の東大寺に送られるという、この
儀式は、見たこともないが、なんとなく日本人としての血がさわぐ。不
思議なものだ。

Ｎ氏とは足利時代の初期(1408年)、小浜に到着した南蛮船の調査のさ
い、ご指導を受けた。象や孔雀などを積んだ南蛮船がどから来たのかー
Ｎ氏から頂戴した古文書などから、僕は南蛮船はパレンバン（スマトラ・
インドネシア）の華僑、亜列進卿（Shih chin chin)が国交を求めて日本に
派遣したと推定した。６００年も前のことだが、小浜には当時の象つなぎの
岩が残っている。

「お水送り」の儀式は南蛮船の象が来る以前から小浜に伝わっている。
奈良時代からの古い儀式だ。わが家に伝わる系図によると、わが家は
第３０代敏達天皇を先祖とする。もちろん真偽のほどは判らないが、大
昔、近畿圏から関東へ移り住んだ一族であるようだ。多分、それで近畿
の古都に郷愁を感じ、憧れを持つものかもしれない。