「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

消えてゆく女の子の遊び歌 八十八夜

2018-05-03 05:42:25 | 2012・1・1
昨日は立春から八十八目、二十四季節の「八十八夜」であった。この季節になると、僕は戦前、小学校の唱歌の時間で習った「茶摘み歌」を想い出す。
♭ 茶摘み歌(尋常小学校3年唱歌 明治44年)
  夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る あれに見えるは茶摘みじゃないか
  茜(あかね)たすきに菅(すげ)の笠
東京生まれ、東京育ちの僕には茶摘みの実体験はないのだが、”茜たすきと菅の笠”の女性が目に浮かんでくるから不思議だ。

同時にこの歌には僕らの世代には懐かしい風景が脳裏に残っている。それは女の子たちが二人向き合って”せっせせっせ、トントン”と手をあわせながら歌っていた姿だ。早くしてこの世を去った姉が、少女時代、縁側に腰掛けながら従妹と”せっせ”遊びをしていたのが今でも忘れられない。

近所に少し年上の女の子が大勢いたせいか、僕は少女たちの遊び仲間の”おみそ”(半人前)として加わった。そのせいか、今でも当時の女の子の遊び歌を覚えている。列挙してみた。▽通りゃんせ遠りゃんせ ここはどこの細道だ 天神さまの細道だ この子の七つのお祝に お札をおさめに行きまする 行くきはよいよい帰りは怖い 怖いながらも遠りゃんせ遠りゃんせ

▽かごめかごめ 籠の中の鳥はいついつ出やる 夜明けの晩に鶴と亀がすべった隣の正面だれ▽隣の牡丹(ぼたん)はいい牡丹 お耳をからげてスッポンポンもう一つからげてスッポンポン▽あぶくだった煮いだった 煮えたかどうか食べてみろ

戦前昭和の時代はまだ明治維新から百年たっていなかった。子供の遊びにも江戸の名残が残っていたのだ。明治百五十年、江戸ははるか、はるか遠くなりにけりである。












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