「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         平成21年元旦  昭和21年元旦

2009-01-01 06:55:53 | Weblog
平成21年元旦、東京は世相とは裏腹に静かに穏やかに明けた。おめでとうございます。
”門松や冥土の旅の一里塚めでたくもあり、めでたくもなし”(一休禅師)。馬齢を重ねる
と一休さんの心境が、なんとなく解ってきた気がする。天皇陛下は新年に当たって”人々
の絆を大切にして助け合い、この困難を乗り切ろう”と感想を述べられれた。

63年前の昭和21年元旦、昭和天皇は”天皇と国民との靭帯は神話や伝説によるもので
はない”とのいわゆる「人間宣言」を発表になった。中学3年だった僕も覚えているが、それ
より僕には、暮の29日亡母がやっと手に入れてきた僅かな餅でお雑煮を祝えたほうが鮮
明な記憶にある。多分昭和21年の元旦は平時では史上最悪、悲惨な新年ではなかったか。

大正時代から几帳面に日記をつけてきた亡父は、この年だけ日記をつけていない。入手
できなかったのであろう。僕の記憶は1月5日に栄養失調で他界した伯父の見舞いに腹を
へらして出かけたぐらいだ。この年の5月には東京で25万人が皇居に押しかけ”米寄こせ”
デモをしている。海外や戦地からはまだ660万人の同胞が抑留されたままだった。

平成21年元旦「年越し派遣村」で不幸な新年を迎えた人もいたが、幸いわが家では老妻と
二人だけでささやかにお屠蘇を祝えた。明治時代から続く重箱の中身は貧弱だがこれは、
メタポ対策だからである。あの、ないない尽くしの昭和21年元旦に比べれば幸せは天と地
の差である。



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4 コメント

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おめでとうございます (chobimame)
2009-01-01 22:12:35
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

元旦から近所のスーパーが開いていて、いつになくいっぱいです。
年々正月の風情が なくなる感がありますが、それでも正月は特別な心持ちになるものです。

たかが31日から1日と月が変わるだけなのに、正月は家族や御節がないと、格別の寂しさがありますよね。派遣村の様子を見ていてそう思いました。

同じ21年でも昭和は過酷極まりなかったことでしょう。今は平和ですが、過酷な一面も見せる幕開けです。
全ての人たちが心から安心でいられる世の中になって欲しいですね。
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厳しい新年 (kakek)
2009-01-02 11:03:31
chobimame さん
お年賀有難うございます。今年もコメントお願いします。日比谷公園の”派遣村”、改めてここ数年の政治の貧困、自己中心の政治家たちに怒りを感じます。親友から、彼の21年新年の体験のメールが届きました。彼一家は東京で2回空襲にあい、元旦から焼跡で親子4人でバラックをしていてお屠蘇どころではなかったそうです。ただ、一家は復興への希望があり、希望に燃えていたそうです。日本人全体があの頃は敗戦からなんとか立ち直ろうとしていました。
”日本丸”の舵取りは、自己を犠牲にしてでもぐいぐい国を引っ張る人物でなければなりません。民主党の
いまの指導者には期待できません。
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あけましておめでとうございます (やん)
2009-01-02 11:38:25
今年もよろしくお願いいたします。
私の子供のころも門松を飾っていた記憶があります。
kakekさんの記事を読むといろいろと子供のころを思い出します。
平成も早いもので21年。みんなが笑顔でいられる年にしたいものです。
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昔の事 (kakek)
2009-01-02 16:22:33
やん さん
謹賀新年
今年もブログ拝見させてもらいます。
昔の事がとりえです。
僕の子供の時には、まだ江戸時代生まれの
老人がいました。それと同じです。
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