「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            日本からチョコレートが消えた3年間

2012-02-14 06:32:23 | Weblog
きょう14日はバレンタインの日のようだ。が、40年前テレビで一世を風靡した木枯らし文次郎風にいえば”あっしにはまったく関わりのない”日である。老妻からも娘たちからも義理チョコ一枚くるわけではない。でも、血糖値が高めの僕にとってはそのほうがよい。

若い世代はご存じないけれども、70年ほど昔の日本ではチョコレートが3年間、一斉に町から消えた。昭和17年(1942年)から20年まで、日本人は誰もチョコレートを口にしなかった。その頃僕は東京に住んでいたが、昭和17年、菓子は配給制になり、1か月に1度、配給切符を持って僅かな量買えたが、チョコなどはなく”バターボール”とか”たまごパン”が多かった。今でも覚えているが、当時、僕ら東京の国民学校(小学校)6年生は伊勢へ参宮旅行へ出かけたが、そのときに菓子が特別に配給にになった。中身は忘れたが、なぜか学校では旅行中にこれを食べることを禁じた。

昭和18年になると、今まで駄菓子屋にあった乾燥バナナやにっきもなくなり、空襲が始まった19年以降は完全に甘味の物はなくなった。20年6月、僕らは家を離れて利根川運河の改修工事に勤労動員されたが、甘味に飢えた僕らは野田の薬局で糖衣の胃腸薬を買って食べた。

僕がチョコレートに何年ぶりかで巡り合えたのは、戦後の20年の秋のことだ。家から人形を持ち出して横浜の大桟橋へ行き、進駐軍の兵隊とチョコレートやガムと交換した。たしかハーシーの板チョコだったと思うが、その時食べた美味しかった味が今でも忘れられない。ものの本によると、日本からチョコが消えたこの3年間、糖尿病患者もいなかったそうだ。

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1 コメント

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悲しい時代 (chobimame)
2012-02-15 15:55:20
甘いものすら食べられない戦局はいかなるものか語らずとも知れますが、実に悲しい時代ですね。子供たちは国内事情がどうであれお菓子が食べたいでしょうし、発育にも必要な成分ですよね。戦場のピアニストという映画を観た時、ユダヤ人のシュペルマンという主人公のピアニスト一家がアウシュビッツに送られる時、集めらた駅前で全財産をはたいて一粒のキャラメルを買い、それを一家でわけあったとうシーンを思い出しました。戦争は嫌ですね。しかし子供はたくましいです。
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