「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

「せる」に衣替え 季節感に敏感だった戦前の日本人

2019-09-28 05:02:33 | 2012・1・1
亡父の戦前の日記をみると、その年によって違うが、9月末のこの頃の「備考欄」には”けふから蚊帳廃止””せるに衣替え”といった記述がみえる。僅か80年ほど前のことだが、現代には注釈が必要になってきた。戦前、日本人が木造の日本家屋に住んでいた時代、夏が来ると僕らは緑色した麻の蚊帳の下に入って就寝した。さもないと、一晩中蚊にせめられて眠れるものではなかった。

”せる”に至っては僕も言葉は聞いたことはあるが実感がない。ネットの知識によると、繊維生地のサージが転化した言葉で、これで織った着物を言うそうだが、和服を着なくなって久しい僕にもよくわからない。同じような言葉で“ねる”もある。

10月1日は「衣替えの日」である。今でもそうなのだろうが、昔のように歴然としていない。戦前昭和に時代、僕ら東京の小学生は一斉に霜降りの夏服から冬服に変わり、学帽の日よけもとった。お巡りさんや駅員さんも同じで秋深まるの風物詩であった。昔の日本人は今より季節感に敏感だったのだろうか。

"省エネ”対策として「クールビズ」が日本の社会に導入されたのは、小池百合子都知事が小泉内閣の環境大臣の時代だから久しい。定着してきたが、男性の場合、ノーネクタイがほとんどだ。戦前、昭和の時代、東京のサラリ‐マンは白の麻地の服にカンカン帽をかぶっていた。クールビズよりは見た目は良い。 回顧は加齢の証拠だが。