「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

             軍隊は"運隊”

2009-01-24 07:18:05 | Weblog
観光のメッカバリ島から東へロンボク、スンバワ、コモドー、スンバ、フローレス、
チモールと島が鎖状に連なっている。小スンダ列島と一般にはいっているが、昨
日、僕は戦争中、ここに駐屯したことがある米寿をこえた"老兵"二人と食事を
共にした。戦時期、小スンダ列島では地上戦はなかったが、敗戦の年の昭和20
年、大本営の戦術転換で豪北(オーストラリア北部地域)にいた日本軍の西への
大移動が行われた。

"老兵"二人のうちUさんは、スンバワ島から小舟に乗ってロンボク、バリ、ジャワ
経由、終戦時にはマレー半島のクルワンの警備についていた。一方、Yさんはチ
モールから偽装病院船に乗せられ、ジャワ島のプロボリンゴ港へ移動した。

従軍世代の間には"軍隊は運隊だ”という自嘲的な言葉があった。運がよければ助
かるし、悪ければ、それまでだ”という意味だ。Uさんが属していた第46師団のうち
二歩兵連隊は無事スンバワへ向け出発できたが、残りの一連隊は乗船する船がな
く硫黄島へ行き全滅している。一方、Yさんの乗った偽装病院船の橘丸は、次の航海
で連合軍に見破られて拿捕され、全員捕虜となっている。

二人の"老兵”とも米寿をすぎてもかくしゃくとして元気である。とくにUさんはまだ月一
ゴルファーで、スコアも時には100をきる腕前だそうだ。Yさんも母校の図書館通いしな
がら新しい外国語に挑戦している。"運隊”の悪戯で早逝された方々は本当にお気の
毒であった。