すれっからし手帖

「気づき」とともに私を生きる。

「かもめ食堂」を観る、そして読む。

2014-09-09 11:43:03 | 本・映画・音楽
小林聡美さん主演の映画「かもめ食堂」をDVDで久しぶりに見ました。

2006年とあるので、もう8年も前の映画なんですね。まだ独り身で、仕事帰りに友だち2人と待ち合わせて見に行ったっけ。見事に女の人ばかりが見に来てる映画でしたね。

とにかく、素敵な映画です。38歳の女の子がフィンランドでおにぎりを出す日本の食堂を開いて、人々との静かで温かな交流があって、閑古鳥が鳴いていたお店が最後には満席になる。ざっといえば、たったこれだけのストーリーです。

でもね、北欧の家具も食器も、おにぎりもシナモンロールもコーヒーも、主人公サチエさんの装いも、全部が全部いいんです。

当時はロハスとかスローライフとかが盛んに言われていたから、時代にマッチしたんでしょうね。シネコンでやる映画ではなかったけれど、多くの女性たちにじわじわと支持されました。

改めて見て、一番何がいいのかっていうのを再確認しました。

サチエさん、ですねやっぱり。わかっていたけれど、サチエさんの醸す雰囲気、立ち振る舞い、そして言葉です。

人となりを言い表す、飾り気のない、芯の通った言葉は、感動的!っていうたぐいのものではないけれで、サチエさんのセリフを聞くと、なぜか涙が出てきます。

私が今一番欲している、なじみつつある言葉なのかもしれません。


「やりたくないことは、やらないだけです」

「毎日まじめにやっていれば、そのうちお客さんも来るようになりますよ。それでもダメなら、その時はやめちゃいます。でも、大丈夫」

「本人にしかわからないことですし。どちらにせよ、私たちはマサコさんの決めたことを喜んであげないといけませんよね。」


サチエさんは、やりたくないことをやったことがある人で、その違和感を大事にして、あるときパッと反転した人なんですね。

雑念が少なくて自分や他人の良心を素直に信頼できる人でもあります。

そして、「ほっとおいてあげる」という高度な優しさの持ち主でもあります。相手の力と自由を尊重する近寄り過ぎない距離で、ちゃんと人に寄り添える人なんですよね。

DVDのあと、原作も読んでみました。群ようこさんが書いたものです。

サチエさんは食堂を開くために得意のくじ運で宝くじを当てた、といった登場人物の背景や事情などのディテイルが書かれていて、小説としても面白かったです。

サチエさんは小説でも素敵な女の子なんですが、映画とは違うイメージです。私はやっぱりどちらかというと、その辺にいそうでいない映画のサチエさんの方が好きです。





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