すれっからし手帖

「気づき」とともに私を生きる。

違和感。

2015-08-14 16:31:16 | 日記・できごと
歯医者嫌いで、深刻な虫歯に悩まされることがなかったけれど、去年、しつこい奥歯の痛みに音をあげ、とうとう近所の歯医者に出向いた。

歯医者は小学生以来だから、おそらく30年ぶり。

私の歯の詰め物の殆どが、今は使われないものになっていて、若くて優しい歯医者さんは、

「あのぉ、この素材、今は体によくないという理由で、使われてないんですが…」

と、遠慮がちにいい、
私は、歯医者が30年ぶりであることを、気まずい気持ちで告白した。

怒られたり呆れられたりするかな、と思いきや、今の歯医者さんは、全然偉そうじゃなくて、控えめで、昔の歯医者のイメージと随分違う。新鮮な驚きで、幼い頃に植え付けられた恐怖と緊張が和らいだ。

丁寧なインフォームドコンセントのあと、奥歯の虫歯と、詰め物の交換とで、週に1度は歯医者に通うことになった。そして、それは半年にも及ぶことに。

小学生の頃は、どうだったんだろう、この半年間、虫歯の治療をした後に必ずといっていいほど経験したのが、違和感だ。

痛み、噛み合わせ、しみる感じ、物を食べた時の何とも言えないヘンな感じ。

治療の度、私の意識は、この違和感に吸い込まれるように集中する。普段は全く意識に登らない歯の詰め物。口内に突如現れた新参者か、ものすごい存在感を帯びる。

あまりの不快さに次の診療を待てずに歯科医に飛びこむこともあった。すると、相変わらず優しい先生は、穏やかに言う。

「違和感は脳が感じているんですよね。慣れるまでには、二週間はかかるかもしれません」

そうか。そうなんだ。違和感って、何が感じているのかって言えば、脳が感じてる。

でも、脳は可塑性が高い。最初は強い違和感があっても、脳は徐々に慣れていって馴染んでいくんだ。

脳科学のトップランナー、池谷裕二さんの本にも、確かそんなことが書いてあった。

天地が反対に見えるメガネをかけて生活する実験をしたところ、最初は強烈な違和感があっても、脳は、なんとその状況にすら慣れて、やがては、その天地が反対の世界が前提になって、普通に生活できるようになるというものだった。

その状況に比べたら歯の違和感なんて大したことない。先生の説明通り、時間が経てば経つほどに、違和感は存在感を弱めていった。

そして、半年ぴったりで、治療は無事終わった。新参者だった詰め物たちも、全部が全部、今ではすっかり当たり前の存在として、私の口内に収まっている。


この歯の治療経験、「違和感→当たり前」の図式が、実は引っ越したばかりの私にはちょっとした心の支えというか、
お守りのようなものになっている。

だって、そりゃあ、もう、毎日違和感ばかりだから。今の私には、言葉も、食べ物も、住むところも、買い物する場所も、郵便受けの開け方も、電車の乗り方も、ホントに何もかも。

この違和感を、不快なものとして強烈に反応してこじらせるのか、脳の当たり前の反応としてやがて収まるのを静かに待つか、そして、むしろその違和感を積極的に楽しむのか…。

私は、2番目かな。少なくとも1番目は回避できている。

新しいものばかりに囲まれる毎日の中で、大中小さまざまな違和感にゴツゴツぶつかりながら、私は、やがて慣れる日を静かに待っている。どうせ、その日はやってくる、とつぶやきながら。


アサガオも、今の土地に来てから全く咲かなくなったのに、昨日やっと咲いた(*^^*)アサガオの脳も慣れたかな。笑

このアサガオを育てている人は、どんな違和感も「これ、すごーい」と楽しめる3番目の、稀有な人です。

PTA役員から学んだチーム仕事の秘訣。

2015-08-04 11:47:49 | My メソッド
息子が年長さんになって引き受けた幼稚園のPTA役員。

去年の秋に立候補して、4月に実際の仕事が始まり、こんな世界かあるのか、と驚きの連続だった。

マンモス園かつ、母親に課せられる負担が大きく、昭和的要素が広く幅をきかせている園風というのもある。色々な前例やしきたり、伝統に「ちょっと、ヘンじゃない?!」となることも日常茶飯事。

本来は、報酬が発生しないボランティア。報酬によって他者を縛ったり責任を突き付けたりできない特殊さ。その一方で当然引き継がれる無言の義務の数々、今までやってきたことをやらないとお母さんたちからも園からも何を言われるかわからないという怖さもあったり。

こんなことを感じたり、こんなことを経験したりした。

いや、なめてたなぁ。たかが、PTA役員、って。

実際は、奥が深かった。報酬のある仕事の方が、責任関係や指示系統が明確で楽な面もあるのかも、とも思った。そして、母という自我を背負う人たちのパワーは、良い意味でも、逆の意味でも凄まじかった。

でも、やったモン勝ちとはこういうことを言うんだ。渦中に飛び込む醍醐味。こわごわ引き受けた役員なのに、蓋を開けたらもう楽しくて、楽しくて仕方なくなっていた。もちろん、嫌な気分もプレッシャーもたくさん味わったけどね。

何と言っても、役員チームのメンバーに恵まれた。みんな素晴らしくて、個性的で、カッコよかった。

特に10歳も下の若い会長の、500人のお母さんたちを束ねたり園と上手に交渉する人間性(包容力と前向きさとおおらかさ)には恐れ入った。

普通の人ならトラブルとして処理してしまう出来事を、次につなげるチャンス、チャレンジに変えてしまうミラクルパワーを秘めた人だった。

大人しそうで、柔らかく、控えめな印象で、仕事の経験も数年しかないという彼女が、逞しいリーダーに化けていく、その成長の過程を見るのも楽しかったな。

何の因果か、夫の転勤で私はこの夏に途中離脱。どの職場を去るときよりも寂しかった。

振り返ったら、社会に出てから就いたどんな仕事よりも、「チームでする仕事」という点では一番得るものの多かったかもしれない。

1人でする仕事に就くことの多かった私が、チーム仕事の魅力を知り、それをうまくやる秘訣も学んだ。

◯ルールは少ない方がいい。

◯仕事を振るときは、自由裁量の範囲をできるだけ広く。

◯自分の得意分野を頑張る。苦手はお願いする。

◯自分の正しさと、誰かの正しさは同じじゃない。つまり正解はひとつじゃない。

◯メンバー同志、褒めあうことと、感謝の言葉を忘れずに。

◯完璧を目指さない。

◯活動の大切にしたいこと(ミッション)の共有化。わからなくなったり、迷ったらその原点に戻る。

◯失敗やクレームにいちいち過剰反応しない。

◯リーダーは、しっかりしすぎない方がいい。

◯休むこと、代わりにやってもらうことは、誰かに活躍の場を与えることでもある。

名付けて、チーム仕事の秘訣10箇条!

いつかまた、この10箇条を携えて、報酬のある仕事でもボランティアでも、チーム仕事をやりたい。絶対にやりたいぞ。