すれっからし手帖

「気づき」とともに私を生きる。

本当の欲求に気づく。

2007-05-20 13:47:28 | ひとりごと


自分の本当の欲求に気づくのは、
実は、至難の業だ。
○○が欲しい。△△に行きたい。☆☆になりたい。
簡単に思いつくレベルの欲求ではなく
自分が心の底から求めていることは、
そんなに簡単には見えてこない。

自分を振り返ってみてもそう。

いつ頃からか、
人に依存したり、甘えたりすることを、
極力排除した生き方をしてきた気がする。
少なくとも目指してきた。
どうしてなんだろう。
経済的にも、精神的にも、
自立した人間が、
一番かっこいいのだと、
信じて疑わなかった。
いつ頃からか、そう思い込んできた。
女性としても、そう。
だから、男性に甘えてすがりついているようなタイプの女性を見ると、
どこかで軽蔑していたし、
「素直でいいよなー」なんて言いつつ、
ああはなりたくない、
自分はあんなふうじゃなくってよかったと安心していた。
実際、私は「自立した人」と周囲にそう見られていたし、
そう見られることに満足していた。

でも、幸せじゃなかった。全然幸せを感じなかった。

今思えば、当たり前なことだ。
私の本当の欲求は「絵に描いたような自立」などではなかったからだ。
そんな自立は、
私が求めていたものではなく、
周囲が、世間一般が、私に求めているだろうと、
私が勝手に思い込んでいた虚妄にすぎない。
心底求めていないものが満たされたところで、
幸せを実感できるわけがないのだ。

私の本当の欲求の蓋を開けたのは、
今の恋人だった。
彼との関わりの中で私は、自分の欲求を知った。
私は、たっぷりと誰かに依存し、甘えてみたかったのだ。
私の欲求を見抜いたのかどうかはわからないが、
彼はごくごく自然に
私がそうした状況に浸れるように導いていった。
依存、甘え・・・・、無意識に忌み嫌い、
あるいは見ないようにして、
自分には許してこなかったキーワードだったはず。
そんな未知な世界に、傾いていこうとしている自分。
私は戸惑いつつ、時に抵抗しつつ、
それでも、少しずつ少しずつ、
人に依存し、甘えることに自分を慣らしていった。

私はこんな人間だったんだ。
彼との関係で、私は何度かそう心でつぶやいた。
今までの自分が壊れていく恐れが押し寄せてくるものの、
自分が長い間無視しつづけてきた欲求が満たされ、
本当の自分が解放される感じは格別だった。
私は不器用ながら自分を開いていった。
彼はそんな私を楽しんで引き受けた。
私は、幸せというものをはじめて実感し、
心の底からの安心できる時間を得た。
自分の中から静かに湧き上がる力、
自信とかしなやかな強さを感じた。

そんな時間の中で、気づいた。
これまで頭でっかちに描いていた「自立」は、
偽物だったのかもしれない。
本当の自立なんていうのは、
その対極にある「依存」「甘え」を自分に許した上でしか、
体得できないものなのかもしれないと。

そして、思うようになった。
人は、
自分だけでは本当の自分さえ見つけられない。
関係性の中でしか、
人は自分の本当の姿を見つけられないものなのだ。