・・・・・・あわぞうの覗き穴・・・・・・

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無謬病という名のやまい

2013年01月12日 | つぶやきの壺焼

 「災厄防圧」とはどういう意味かという質問をFAQで見かけた。
普通の言葉は「災害防止」だが、「災害」だけではなくもっと範囲を広げようという意味もあってか「災厄」としたのはまあうなづけるとして、「防圧」には合点を見出せない。
文字の意味からすれば、これは圧力の防止で、何か物理的な圧力のかかるところに防止策を施して、中のものあるいは圧力源と反対側にあるものを守ることである。

「災厄防圧」という四文字は、木に竹を接ぐのたとえに使えそうな妙な言葉になっている
それでも、最近のカタカナと記号をめちゃくちゃに並べたような異星語とは違い、漢字を組み合わせてあって、それを質問として載せたからには、まったく架空の言葉ではないだろうからと検索してみたら、なんと実際に使われていたのである。

「貴殿は消防団員として〇〇年以上に亘る長い間消防の職務に精励され、郷土の災厄防圧に貢献された功績は誠に顕著であります。茲に記念品を贈って厚く感謝の意を表します」

ある地の消防団員への表彰状に書かれていたのだ。
なぜこうなったのかを想像してみた。

表彰状を作るとき、「災厄防止」と書くところを何かの拍子に「災厄防圧」としてしまい、誰も気づかなかった。
事務局も、表彰対象者の名前は入念にチェックしても、表彰文を一字一字校正はしないだろう。
間違ってできあがるはずがないと、誰も思っているから。

さて、表彰当日、最初に表彰される人が前に立つ。
厳かに読み上げられる。「・・・郷土の災厄防・」とここでつかえそうになるが、とにかく書かれているとおり読み上げられる。
表彰式が済んでしまえば、ちょっと変だと思った人も、そういう言葉遣いもあるのかと、さほど気にしなくなる。
次回も、前例に倣って、滞りなく表彰状は授与される。
三度も続けば、お役所で使っている言葉に間違いはないと、これが公式用語として収まる

役所に限らず、どんな役職にも巣食う病原菌が多少なりともあるもの、それは無謬病の菌だと思う。
間違いのあるはずのないところでは、間違いを正すことはつつましさを欠いたよくないことであると、口には出されないがそういう空気が、濃淡の差はあっても必ずある。
無謬病菌は、その空気を吸って生き続けているのである。



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