・・・・・・あわぞうの覗き穴・・・・・・

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成長の下手な生物:24

2017年09月25日 | つぶやきの壺焼

人類は、ごくわずかな地域の人を除いて、共通の慢性疾患を抱えています。
それは売買自縛症候群という無菌の病です。

モノには価値の大きいものとそうでないものがあります。
価値の大きさは、それを見る方向によって変わります。
見る方向をわかりやすく側面と呼ぶこともできます。
モノの価値には、文化的側面と経済的側面があると言っておけば、わかりやすいかもしれませんが、側面だけが見る方向のすべてではないので、それがすべてとは言えません。

とりあえず見やすい方向から見ておくという、おおざっぱな見方でも、せめて二面ぐらいはと思うのですが、価値を考える多くの場合、経済的側面に偏りがちになります。
モノであれ、イベントであれ、すぐに「経済効果は」と問いかけられ、そこでどの程度の売買が行われるかに考え方が縛られます。
自分の頭の働きを、売り買いという仮想のことがらで縛りつけ、ほかには知恵を回さないように、自分でしてしまうという、始末の悪い疾患の無自覚症状です。

核という難物を考え出してしまった人類が、それを個人の権勢欲を満たすための道具に仕立て、作って売りつければ、大きな経済的価値を生み出したつもりになれます。
そこでは、価値の文化的側面には真っ黒な幕が張られ、見ることができなくなっています。
経済的側面も、無相場の超高価で売ってしまうまでのことで、モノ自体に価値は残りません。
しかし、核を持つことで他の民族に脅しをかければ、それに対抗するモノを買わなければならないという奇妙な"大義名分"を発芽させ、別の経済効果を生み出すことはできます。

持っているだけの経済的価値は、買わされた持ち主にとってはゼロで、売った側にしか残りません。
価値のないモノが危険物であれば、いずれ処分しなければならなくなります。
処分の方法次第では、何百万人の命を奪わなければならないという、人類にとって極めて大きなマイナスの経済効果をもたらすことになります。

売買自縛症候群は無菌ですから、治療には切除も抗菌処置もいらず、脳の働きを変えさえすれば治癒できるでしょう。
人類の成長を妨げている、この根強い慢性疾患を何とかする方法はないものでしょうか。
それが見つかれば、経済的にも文化的にもこの上ない価値が生まれると思うのですが。

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