空が澄んでくると、渡り鳥の季節かとふと思う。
いつだったか、Yさんの撮った渡り鳥に、頂点の1羽より、両側が少し前に出ているのがあったのを思い出す。
列の先頭を飛ぶのは疲れるらしいから、鳥の知恵でときどき入れ替わるのかと思った。
この様子を「先頭の1羽より、両側が少し前に出ている」と書いたら、「その二羽が先頭ではないのか」とお返しがきた。
なるほど、いちばん先に出ているのが列の先頭だから、ほかの鳥がそれより前に出ていることはありえない。
人間の集団でも、先頭に立っているはずの人が実はそうでなく、ほかの人が先に出ているのはよくあること。
渡り鳥の場合には、先頭の1羽が少し下がることはあっても、ほかの群れに引っ越してしまうことはないだろう。
人間の集団では、どういうことが起こるかわからない。
秋とは、どこか背中の後ろを風が通り抜けるような思いがする季節である。
わたり鳥の旅 | |
重原美智子 | |
偕成社 |