財部剣人の館『マーメイド クロニクルズ』「第一部」幻冬舎より出版中!「第二部」朝日出版社より刊行!

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 第3章−7 天界の議論(再編集版)

2020-07-06 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 遠く映るその影が太陽の黒点として知られる四次元空間、エリュシオン。
そこに鎮座するユピテルの支配するオリンポス神殿。ここは「光の眷属」でなければ、瞬時に蒸発してしまいかねない光と灼熱の空間。
いつものんびり飛び回る神殿の極楽鳥のリーダー錦鶏鳥と銀鶏鳥が、緊張から宿り木から離れようとしない。
 大広間では、「天翔るもの」ユピテルが怒りのオーラを発散していた。
 中央に位置するのが親衛隊長で、「継ぐもの」アポロニア。
 父「輝けるもの」アポロンから美貌を、母「森にすむもの」ケイトから勇敢さを受け継いだ神界最強の女神。ケイトの血筋を引く者たちは、かつて人間界でスキュティアの地にアマゾネス王国を築いたと言われるが、真偽のほどは確かめようもない。
 いつもなら各々が百万の兵を率いる息子たちも顔をそろえるが、すでに人間界に送り込まれて彼らの姿はない。長男の光の軍団長「光り輝くもの」シリウス、次男の雷の軍団長「対抗するもの」アンタレス、三男の天使長で「率いるもの」ペルセリアスだけではない。組織が嫌いで、したがう上司も部下もいなかった、末っ子で真紅の龍の「舞うもの」コーネリアスまでいなくなっていた。今日は、めずらしくケイトが出席していた。

 ユピテルが、会議の開始を伝えた。
(皆の者、面をあげよ。ドルガ、メギリヌ、ライム、リギスの四人の魔女が人間界に向かったことで、三神界によるゲームのルールが変わる。アポロニアよ、まず戦況分析を聞かせてもらおう)
 アポロニアが、冷静に思念を伝える。
(最初の戦いでは、ナオミたちの側がマクミラの側に勝利を収めました。冥界の牢獄から抜け出した四人が向かう先は、マクミラのいるニューヨークです。残念ながら、我が息子たちは完全な目覚めにはほど遠いありさま。今回の戦いの先行きを考えると、親衛隊長として誠になさけない気持ちでございます)
(あせって人間界の受け皿を考えずに彼らを送り込んだのは、わしの手落ち。そう責任を感じることはない。だが、魔女たちが仮の姿で人間界にとどまれば、せいぜい1~2年の命のはず。そこが気になる。いくらマクミラ憎しといえども、あの自由奔放に生きるためならすべての掟をやぶりかねない四人が、なぜ多元宇宙ではなく人間界に逃げたのか)
(あくまで予想でございますが、おそらくもはや堕天使としてではなく、魔界のものとなって生きるつもりではないかと)
(どういうことじゃ?)


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