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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第1章-9 精神世界へ紛れ込む魔性たち

2018-02-13 02:35:38 | 私が作家・芸術家・芸人

(ついに昔年の怨みをはらす時が来たぞよ)結界を切り裂いたかぎ爪の持ち主、両性具有の魔性ビザードが思念を発した。
「虚無をかかえるもの」ビザードは、男も女もゾクゾクさせる美貌、たくましい体躯、そして敵の命を奪うのに瞬時も躊躇しない残忍さを持っていた。
 七色の虹を映す鎧には七通りの武器が隠されていると言われるが、行動を共にする魔性たちさえ、どのような武器なのかはわからない。
 魔界で、女たちから「虚無の王子」、男たちから「虚無の王女」と呼ばれた心の闇はいったい何処から来て何処に向かうのか。
 足下にはいつも側を離れぬ魔獣ドラゴムがからみついている。ヘラクレスに退治された9頭の水蛇ヒュードラと悪龍が交わって誕生した魔界最強の獣。一つの首を切り落とすと二つの首が生まれるため、めったなことでは殺せない。

(ようやく精神世界に抜け出したぞ)次に、魔界の秩序を乱し居場所がなくなったリーダー格の魔性「殲滅しつくすもの」ジェノサイダスが思念を発した。(魔界で受けた怨み、人間界を支配することではらしてやろうではないか)
 彼は、内に暗黒星雲を取り込んだ鎧に身を包む。鎧は、すべての攻撃を吸収し同じ攻撃を何万倍にも拡大して返すことができる。
 だが、真に恐ろしいのは見つめられたものを自由にあやつる魔眼であった。
 実力者を次々と籠絡し、あと一歩で絶対支配者の地位に手が届くところだったが魔王たちの返り討ちにあってこれまで逃走の旅を続けていた。

(精神世界なら我が庭のようなもの)「誘いをかけるもの」で夢魔の女王“ジル”・シュリリスが配下の黒不死鳥フェルミナの頭をなでながら、妖しい微笑を浮かべた。(魔界だけではなく天界にも一泡吹かせてやりましょう)
 シュリリスは、かつて男性の夢魔インキュバスと女性の夢魔サキュバスを束ねる立場であった。彼女自身、エロチックそのものを具現化した姿と言われるが、相手によってその理想の姿を取るために真の姿は誰にも分からない。いったんキレると相手を容赦なく切り裂くことで知られる。また、サキュバスが集めた夢精精子を使ってインキュバスは女性を妊娠させられる。そうして生まれた夢魔たちを配下に一大帝国の設立を目指しているとも言われる。

     

(まず、やることがある)ジェノサイダスが思念を発した。
(トリックスターとなりつつある魔神スネールの探索ですね)
 シュリリスが答える。
(スネールが取り込んだ狂気を、こちらに感じます)
 ビザードが答えると飛び立った。魔性二人が、それに続いた。


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