夢のあと

釣りには夢があります。夢を釣っていると言っても過言ではありません。よって、ここに掲載する総ては僕の夢のあとです。

心変わり・・・第四回犀川弧月釣り大会への参加

2017年10月10日 21時03分07秒 | 渓流釣り
今月の22日に長野で第四回犀川弧月釣り大会が開催されます。
http://teruzo.extrem.ne.jp/kogetu/taikaiyoukou2.htm
当方、これに参加する予定です。

 本来、釣りは魚との勝負であって、人と勝負するものではありません。ですからこういう大会とかトーナメントと言われるものにはまったく興味を示さない僕です。このスタンスはずっと変わらないのですが、じゃーなぜ今回は参加するのか?これは7月にこの世を去った渓流釣りのカリスマ、細山長司氏が我が家に遊びに来てくれた時に誘われたからです。彼とは40年来のお付き合いでしたから、僕がこのテの事が嫌いなのは充分に認識していました。そして彼自身も僕の意見に賛同していました。そのようなベースがあっての上でのお誘いでしたから何かあると感じていました。そしてそれを尋ねると、「大会主旨がいいですから。だから僕も大会役員を引き受けたのです。とにかく初めての開催ですから正直良く解らないのですが、もし成功すれば素晴らしい大会になると思います。とにかく一度参加してみて下さい。』とのことでした。
 そして第一回の犀川弧月釣り大会に参加しました。結果は惨敗。というより僕の中では参加することに意義があって勝つことは意味を持たないのですから誰か他の人に勝っていただいた方が望むところなのです。ちなみに当会会員も数名が参加したのですが、全員惨敗(エントリーは50㎝以上の魚のみ)。大会が終わってから53㎝が釣れましたが・・・こんなモンです。帰路に友達に『何か他の大会と変わった事ってあった?』と尋ねてみたのですが、みんな???。当会の仲間も僕と同じで大会とかトーナメントが大嫌いな人たちですので、そもそも他の大会との違いを聞いたって、他の大会に参加していないのですから解るはずがありません。細山さんが僕を誘った真意は何処にあるのでしょう?
 その後、母が高齢で大変になり、僕の人生の1/4を共にした犬までも高齢で立てなくなってしまって。。。介護の日々となり、釣りさえも行けない状況が続いたため大会に参加できませんでした。というより一日掛けての釣りは不可能になってしまったのです。そしてそういう生活を続けること二年半。とうとう今年の春に二人とも旅立って行きました。これで釣りに行けるようになったかというと、家族がみんな凹んでしまって、今度は家族の面倒を看る必要が出てしまいました。そして努力の甲斐があって徐々に普通を取り戻して来た家族に胸を撫で下ろしていました。本来なら僕が一番凹まなくてはならないのですが、みんなの落ち込み様を見ていると、とても落ち込んでなんかいられない状況で、だからこそ僕は凹まないで頑張ることが出来ました。しかしそれもここまで。やっと家族が普通を取り戻してきて「僕もそろそろ落ち込まなくちゃ」などと冗談を言っていた矢先、釣り仲間の細山氏が突然この世を去ったのです。ダブルパンチだけでもしんどかったのですが、このダメ押しのようなトリプルパンチには流石に耐えられず、精神的に少しおかしくなってしまいました。彼とは彼が他界する4日前にもお会いしてお話をしました。その時は二度目の肺炎を起こして喋るのがきつそうでしたが、それでもあのニコニコした顔で応えてくれ、奥様も献身的な介護に満足していると。そして釣りの約束までもしました。ですからここで逝くなんて微塵にも考えていなかったのです。その4日後、奥様から突然彼の訃報を告げられ、頭が真っ白になってしまいました。そして僕の心が音を立てて壊れて行くような感じがしました。いままでの人生では釣りさえあればどんな辛い時でも乗り越えらた僕です。しかし、今回は釣りに行くと細山氏が心に出て来て、釣りをしている事自体がとても辛いくなってしまったのです。釣りができない僕は、要は八方塞がりに陥ってしまったのです。何もする気が起こらず、ただ悶々とした日々を単調に過ごしているだけの人生。とてもつまらない人生になってしまいました。そこで、細山氏とあまり関係のないソウギョ釣りに走ったのです。とりわけソウギョが掛かって上げるまでの時間は至福の時でした。相手が大きいのでちょっとしたミスで糸が切れてしまいます。慎重に、しかしある時は大胆に、そして繊細に事を進めなければなりません。こんな中で細山氏の事や家族の事を考える事は不可能です。要は総てを忘れさせてもらえる唯一の時間なのです。渓流は流石に無理を感じて行く気が起きませんでしたが、ソウギョ釣りにわずかな光が見えた気がしていました。
 そんなある日、封書が届きました。この大会への参加依頼です。細山氏の事で上記のように苦しんで、精神的におかしくなっていた時ですから、この封書はまるでアテツケのように感じてしまいました。ですから参加はしないと決めていました。その後、突然沈み込んだりする妻を元気付けようと新潟の片貝の花火を見に行った時、妻が「行くの?」って聞いてきたので『行かない』と応えました。すると「どうして?」って。訳を話したら・・・「パパが大会嫌いなのを知っている細山さんがパパに来て欲しいと言ったのは細山さんに何かしらの考えがあっての事だと思います。そしてそれは彼亡き今も変わらないと思います。落ち着いてよく考えてから結論を出せば?」と言われてハッと我に返りました。そして妻が言う事に賛同し、釣りしていて辛いのは解っているのですが、それでもとにかく参加しようと考えました。
 そして時は過ぎ、9月末日が迫って来ました。この日はほとんどの渓流が禁漁期に突入する日なのです。そこで、一大決心をして再び渓流に身を委ねてみました。するとやはり出て来る出て来る細山さん。頭の中は細山さんだらけ。あそこをこう流してたナとか、あそこに立って釣ってたなとか。。。そういう一つ一つの想い出が僕を苦しめるのです。しかしこの時、一匹のヤマメがその悲しみを払拭してくれたのです。そのヤマメは釣れれば自己記録更新サイズの大ヤマメでした。結局切られてしまったのですが、まるでソウギョが掛かった時のようにすっかり他の事を忘れての攻防でした。釣れなかったのはざんねんですが、この釣りを終えた後の爽快感は、以前何の不自由もなく釣っていた頃の、釣りを終えた時にいつも感じていた感覚そのもの。僕の心が彼から少しだけ離れられた証です。その後僕の事を心配してきてくれた当会会員の小次郎さん、そしてその後あった駒彫り師でやはり当会会員のヘラおじさんとお話して完全復帰を確信しました。とても清々しい気持ちです。その後夕方のひと時も竿を出したのですが、とても気持ちの良い釣りをすることが出来ました。これも、何となくではありますが細山さんが大会を楽しむために仕組んだ出来事のようにも感じられました。
 そして先週、大会の舞台になる犀川に行って川を見て来ました。しかし小さなニジマスが4匹釣れただけだったので何の知見も得られないまま帰宅しました。
 今回は大会に向けて最後のテスト釣行です。犀川ではありませんが、昔から大物が多い川で、偶然にも先にも出てきたヘラおじさんが所属する駒の会の展示会が催されるので行く予定でいました。これなら朝夕のひと時はテストできると思って行って参りました。朝一から大物に恵まれ、60cmオーバーのニジマスを筆頭に40㎝台がほとんどでしたが40匹くらい釣ることが出来ました。久し振りの大釣りです。沢山の知見を得られ、色々な記憶が蘇って来ました。
 二年半のブランクはそう簡単には埋まりません。大会で勝てるなどとは微塵にも考えていません。でも、これが細山さんの意なのです。人と勝負する気はまったくありません。でも大物がいるという川で、たとえ釣れなくても期待に胸を膨らませながら竿を振るのもまた良し。そんな感じで参加して来ようと思っています。
 今回は会員のコバちゃんがお付き合いしてくれます。ありがたいことです。とりあえず出来る限りのことをして楽しんで来ようと思っています。

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4 コメント

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Unknown (私役所)
2017-10-11 23:05:37
凄くいい構図。
いいシャッターチャンスです。
ただピントが惜しいですよね。
結構いいデジカメ使っていたような気がしますが・・・、アナログなら高速シャッター切れますけど普通のデジカメではどうなんでしょうか・・・。

文でなく写真で失礼しました。
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Re:Unknown (管理人)
2017-10-11 23:43:44
私役所様
ヘタクソですみません。
なんか目が悪くなったような気にさせるピントですね。
写真は難しいです。
 ちなみにこれはコンデジのAUTOで撮っていますので、いわゆるバカチョンです。AUTOだけにアウトだったようです(笑。
 最近大きなカメラは肩がこるので使わなくなってきています。特に川に入る時は。いままで川で転んで何度もカメラを壊しています。ですから壊れても財布に優しいように安物のカメラの登場が多くなってしまいました。
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Unknown (私役所)
2017-10-12 21:51:59
なるほど。

私もコンパクトデジカメ使っています。壊れないので8年くらいたちます。スマホにとってかわられてデジカメは高級機以外は人気ありませんが、カメラの方が好きです。
肩がこる!。
ニコンF2に交換レンズで1kg以上、翌朝、肩が痛かったことを思い出させてくれました。

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Re:Unknown (管理人)
2017-10-13 12:43:46
昔、釣り雑誌に何回か出た時の撮影班にとても素敵な絵を撮るスチールカメラマンが居て、撮り方を聞いた事があります。コツはとにかく大きいフィルムを使うこと(当時はアナログしかありませんでしたから)そして、構図などは考えずに、まずは撮る事。それから後でトリミングしたりして構図を整えること。それでマミヤの6×4を買い込んで使ってました。たしかに綺麗に撮れるのですが、渓流というロケーションだとカメラが起因した危険が多発し、深山に分け入る際には持ち込まなくなりました。そんな時はバカチョンが一番です。でもこれに慣れちゃうとついサボり癖が出てしまうようになります。いいカメラで撮った写真を見ていると安いカメラで撮った写真は見たくなくなります。でも、慣れてくるとそれも我慢できるようになってしまいます。要は苦労との対価があるかどうか?って事になります。
 最近はコンデジを買ってしまったので、こっちばかりになってしまって。人は楽なほうにはすぐに流されてしまいます。我慢強くなりました(笑。
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