面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

干し草のベッド

2007年10月09日 | Weblog
 この季節になると思い出す遠い昔の出来事に干し草のマット遊びがある。脱穀の済んだ田の中に積まれた干し草の山は学校帰りの子供達の格好の遊び場だった。バック転や宙返りを覚えたのも干し草の上だった。小学6年生で130センチ足らずだった僕は、中学を卒業するときも148センチしかなかった。父が冗談でサーカスのブランコ乗りにでもなるしかないか、といった時、母が本気で怒ったことを思い出す。僕は別にブランコ乗りも嫌ではなかったのだが、黙っていた。高校に入って一年間で10センチづつ伸びて、三年生で170センチになり日本人の平均身長を上回ったので、母もホッとしたに違いない。

 長じて舞台の脚本を手がけることになったが、子供の頃の経験が役立つことも多い。特に、名作物のファミリーミユージカルは子供が主人公の場合、書いていて楽しい。例えば、アルプスの少女ハイジに出てくるペーターなど田舎によくいるガキ大将を想い描けば生き生きしてくる。フランクフルトから心傷ついて帰ってきたハイジに「今夜は干し草のベッドでぐっすりおやすみ」という祖父の台詞は、ハイジの舞台がなくても秋が深まるといつも思い出す。出来るなら今も干し草のベッドで星空を見上げて寝てみたいとさえ思う。

 風にそよぐもみの木の歌
 もう一度聞きたい。
 干し草のベッドに抱かれて
 眠りたい。
 帰りたいけど帰れない
 病気のクララ置いて行けない
 帰りたいけど帰れない…。

 作詞 朝倉 薫
 作曲 神津裕之

 ハイジがフランクフルトのゼーゼマン家で悩みながら歌う楽曲です。1994年、市川文化会館大ホールが初お披露目でした。桜井智が初代のハイジもすでに4代目、今は発表する公演もなく、稽古場で頑張っている。僕らはいつだってお芝居と一緒に生きているのだから、稽古場だって立派なステージなのさ。と、強がってばかりいる。意地っ張りのアルム爺みたいだね。

 15周年記念公演「クリスマスファンタジー」幅広い出演者を募集しています。是非、ご参加ください。中野区の共催で、野方区民ホール4ステージです。期日は11月30日から12月2日まで。劇団HPにご連絡下さいませ。