『美術館にアートを贈る会』について
いつも「美術館にアートを贈る会」の活動にご参加・ご注目いただきありがとうございます。
美術館、アートとそれを生み出す作家と、観る私たち、支える社会。視点は違いますが、
それぞれに熱い思いがあり、投げかけるメッセージがあります。
「贈る会」は、15年を越える活動の中で、<美術館にアートを贈るプロセス>を
ひとつひとつつくりあげるなかで、そこに関わっている者どうしの理解を深めあう
ことに努めてきました。
そのほかに、アートの現場を訪ね、さまざまな声に耳を傾ける機会を持ちました。
それらの取組みを通じて、アートがなぜ社会にとって不可欠なのかを感じ取ろうとしています。
現実に、アートや美術館はどこかに帰属しているのかもしれません。
ですが、その価値は社会が共有する資産として、もっと広く共有されてよいはずです。
どちらも人をいきいきとさせ、社会をよりよいものにする力を秘めていると思うからです。
まずは、ご一緒にアートを味わい、美術館の扉を開けて、アートについて語りあいませんか。
そして、その経験を手掛かりに、未来の社会の姿を描きだしましょう。
「贈る会」の2019年度は、9月の総会のおりに作家の榎忠さんに自らの足跡を
語っていただきました。鮮やかな切れ味は決して衰えるところを知りません。
寄贈プロジェクトについては、「第5弾」で児玉靖枝さんの作品を無事に
兵庫県立美術館に贈り届けたあと、続く「第6弾」の準備をすでに開始しています。
一方で、ずっと続けてきた美術館訪問が2回延期となりましたが、
その理由のひとつが新型コロナウィルス感染症拡大でした。
これは美術館運営や作家活動への大きな影響が及んだできごとです。
長く足止めを余儀なくされる日々でした。
でも、そのことでかえって私たちは、アートに出会いにゆく機会、
アートとともに過ごす時間の大切さをあらためて知ったのではないでしょうか。
しばらく戸惑いを見せていた人々のこころを、
きっとアートが確実に結びなおしてくれる役目を果たすはずです。
「贈る会」はもういちど活動の原点を見つめ、新たな試みにも取り組みつつ、
秋からの本格的な活動充実を目指してゆこうと考えています。
皆様には、引き続き2020年度の活動を支えてくださるようお願いいたします。
理事長 佐野吉彦
2020.5.27