美術館にアートを贈る会

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第4弾寄贈プロジェクト説明会(3/9) ご報告

2014-05-06 12:36:37 | Weblog
第4弾寄贈プロジェクト説明会 in 伊丹市立美術館 (ご報告)

第4弾寄贈プロジェクト「今村源 シダとなる・イタミ2013」の説明会を、
寄贈予定先の伊丹市立美術館にて開催しました。

日時:2014年3月9日(日) 14:00~15:30

会場:伊丹市立美術館 講座室

参加者:一般出席者(5名)伊丹市立美術館 学芸員(1名)
    美術館にアートを贈る会理事(2名)、スタッフ(2名)

内容:【美術館にアートを贈る会の活動意義の説明】事務局岡山拓より


1) 展示施設の歴史
* ミュージアムの語源はムーセイオンという建物。古代ローマ時代にあった美の女神「ミューズ」を祀る神殿で、その中に文化財が飾られていた。
* 誰でも見に行けるような現在の美術館の始まりはルーブル美術館。それまでは特権階級のための美術館だった。フランス革命によってルーブル宮を所有していた貴族たちを追い出した後、革命政府がルーブル宮に飾られていた文化財を見て、「これらは国民の血税によってつくられたものだから国民のものである。公開してすべての市民が見る事ができるようにしなければならない」となり、フランス革命のひとつの成果として、ルーブル宮の公開が行われた。
* 日本の場合、文化財保護のため国立の博物館は比較的早くできたが、国が美術館をつくるのは遅かった。代わりに民間の努力が大正から昭和にかけて多くなされて大原美術館。大原財閥の学資援助を受けていた児島虎次郎がヨーロッパ留学の際に、本物の美術品を見て感銘を受け画業が発展していく。他方で、自分は運良くほんものを見る事ができたが、ほとんどの人は見る事ができない。そこで児島虎次郎は大原孫三郎に、日本の画学生のために、本物の西洋絵画を買ってくれないか、と懇願。児島虎次郎の人格と考えに賛同し、多額を投資し、大量の美術品を孫三郎は購入。大原美術館ができた理由は、市民のため、狭い意味では画学生のため、本物の美術品を見る機会をつくりたいという純粋な思いでできている。

2) コレクションについて
* コレクションは美術館の基礎の部分。ルーブル美術館では企画展を見に行く人は少ない。モナリザを見に行く人が多い。一番美術館で面白いのはコレクションの中にある。展覧会はコレクションの応用編である。基礎がしっかりしている美術館はお客さんを集める事ができる。
* 伊丹市立美術館であれば、風刺とユーモアをテーマにしたコレクションが充実している。オノレ・ドーミエなど風刺画のコレクションがある。
笑いやおかしみをテーマにした美術展を毎年している。方向性が定まっていて、美術好きには評価の高い美術館である。

3) 美術館のコレクションを増やす方法
* 購入
* 寄贈
現在は美術館のコレクションは寄贈で支えられている場合が多い。

現代美術をコレクションすることは難しいか。現代美術は価値が形成されている途中。これが100年後、200年後残るかどうか、美術館にとっても学芸員にとっても市民にとっても未知数。さまざまなハードルがある。現代のものを購入するのは時代のドキュメンタリーを残すという意味もある。

4) 美術作品は誰のものか
アートは人類のものと考えるとよいのではないか。作品を手に入れた場合、それは所有物だが、預かっているという感覚。作品は社会のものであり、人類のものであり、なるべくたくさんの人と共有し将来に託したい。

【第4弾プロジェクトの説明】伊丹市立美術館 学芸員 藤巻氏より


*いまコレクション展を開催中で、今村さんの今回の作品もコレクションに入ればよいなと思って聞いていた。今村源さんと伊丹との関わりは二つ。ひとつはお父様の作品をもともとコレクションしていたご縁がある。二つ目は、当館のテーマ「風刺とユーモア」に即して考えると、今村源さんの作品は非常にユーモアを含んだ作品で、2006年には「連菌術」という展覧会を開催できた。今回の作品は、美術館の場所に合わせたものをつくりたいということによるコミッションワークになっている。贈る会、作家、美術館の三者で相談しながら現在はプロジェクトが進行している。

【質疑応答】


活動の紹介を終えてから、参加者を囲んで率直な意見交換を行った。

この活動への参加の理由は「美術館は少々敷居が高い。何か面白いことがあれば行くという市民だが、もう少し積極的に美術館の企画に関われないかと思って参加した(Sさん)」「自分では寄贈できないが、自分でできる範囲の1口ですごい美術作品を寄贈することができる。そのほんの一部でも関わらせてもらっている喜びと一体感をもっている(Sさん)」。
副理事長の田中恒子さんは「美術作品を多数購入してきたが、作品は私物ではない。私は文化財だという意識が強い。歴史的に次の世代に残したい。作品を残す一番よい方法は美術館に寄贈すること。寄贈活動は、コレクションしている人と美術館、両方がOKにならないと成り立たない。美術館、贈る会、作家がみなwinwinwinの関係で、見に来る人も幸せな気分になる」
そのwinwin感をどう広げて行くのか。藤巻さんより「いまは体験がキーワードになっている。自分が何かをして楽しかった、というのをSNSで発信したい人が多い」。

【まとめ】
この活動は少しずつ裾野が広がりつつありますが、さらに深さと広がりを持たせるために、アイデアを出し合いながら普及を続けて行きたい。

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